ヤマハ ヤマハVoIPゲートウェイ専用電話帳サーバー「YSL-V810」 満を持して登場した新・電話帳サーバー 内線VoIPの番号をラクラク集中管理

2005年にヤマハが発売したVoIPゲートウェイ専用電話帳サーバー「RTV01」。2014年に生産終了となり、後継機を望む声が上がり続けていた。その要望に応え、ヤマハは2017年6月に「YSL-V810」を発売した。前機種と比べ、電話番号の最大登録数が2倍になるなど機能が大幅に向上し、企業ユーザーの期待を大きく上回る製品となっている。
(左から)平野尚志氏、細江誠一郎氏、小島務氏

(左から)ヤマハ 楽器・音響事業本部 音響事業統括部 SN事業推進部 国内営業グループ 主幹 平野尚志氏、同グループ 主事 細江誠一郎氏、SN事業推進部 ネットワークグループ 主事 小島務氏

 ヤマハVoIPゲートウェイ専用電話帳サーバー「RTV01」が発売された2005年当時、企業におけるコミュニケーションデバイスの主役は固定電話だった。だがその後、携帯電話やスマートフォンのビジネスシーンでの利用も進んだことから、固定電話のニーズは徐々に減っていく。「2014年にRTV01の生産を終了したのは、その潮流に沿った、いわば当たり前の出来事でした」と平野尚志氏は話す。

 ところが、話はそれで終わらない。RTV01の後継機を望む声があちこちで上がったのだ。最盛期よりも減ったとはいえ、部門や部署の代表番号を持たせるなどして固定電話を使い続ける企業は数多く、電話帳サーバーのニーズは決してなくならなかった。

 そして、企業ユーザーからの強い要望に応える形で、ヤマハが2017年6月に発売した後継機が「YSL-V810」である。性能は大幅に向上。電話番号の最大登録数を前機種から倍増の1000とし、最大同時通話数も2倍の200に増やした。外部メモリ(USBメモリ、microSD)に各種ログや通話履歴などを出力する機能も付加している。YSL-V810の発売以来、ヤマハには新製品を待ち望んでいた企業から数多くの引き合いが舞い込んでいるという。

前機種のGUI踏襲で簡単移行 冗長化でダウンリスクを低減


 YSL-V810は、ヤマハVoIPゲートウェイで構築した内線VoIPネットワークの電話番号を一括管理できる電話帳サーバーだ(図表1)。YSL-V810がない場合、拠点ごとのVoIPゲートウェイで電話番号を個別に管理するため、拠点の増減があるたび、すべての拠点で電話番号の設定変更が必要となる。だが、YSL-V810を導入することで電話番号の集中管理が可能になり、電話番号の運用管理負荷を大幅に軽減できる。

図表1 「YSL-V810」を活用して内線VoIPの番号を集中管理する場合の例

図表1 「YSL-V810」を活用して内線VoIPの番号を集中管理する場合の例

 設定・管理機能が充実しており、WebブラウザからGUIで簡単に電話帳の設定ができるのもポイントの1つだ。電話帳の設定はGUIからだけでなく、CSVファイルによる入出力にも対応。通話履歴と障害履歴、統計情報をCSVファイルに出力し、表計算ソフトで編集してグラフ化することができる。また、通信障害が発生した場合、メールで通知することも可能だ。RTV01のGUIを完全に踏襲しているため、リプレース時の設定も簡単に行える。

 更に、YSL-V810を2台利用して冗長構成を組むことも可能だ。それによってシステムのダウンリスクを低減できる。また、設定変更時もシステムを止めることなく作業を進められる。

連携で拠点数と同時通話数を拡張 ODトランクの使い勝手をCOTで


 YSL-V810は、さらなるシステム拡張を可能にする3つの特長を備えている。

 1つめは、YSL-V810同士を連携させることにより、電話システム全体の拠点数と同時通話数を拡張できること。YSL-V810は最大で5台まで連携でき、連携時の最大電話番号登録数は5000、最大同時通話数は1000となる。複数のYSL-V810で分散運用することで、内線VoIPネットワーク全体のシステムダウンを回避し、局部的な障害に留めることもできる。

 2つめは、1つの事業所番号で利用可能な音声チャネル数を拡張できること。YSL-V810が備えるハントグループ機能により、拠点単位の同時通話数制限(単体での同時通話数は2、カスケード接続では6)以上の同時通話が可能になる。同一事業所番号に最大5台のヤマハVoIPゲートウェイを登録して利用できる。

 3つめは、事業所番号対応でODトランクの使い勝手をCOT(Central Office Trunk)で実現すること(図表2)。従来の企業内線はODトランクなどを用いた音声専用線を使用し、事業所番号を利用して電話をかけていた。事業所番号は使い勝手が良い反面、システム価格がとても高いのが欠点だ。

 「そこで当社はCOTを利用した内線VoIPネットワークで事業所番号に対応し、低コスト化を実現しました。すでに事業所間に音声専用線を構築している場合、今までと同じ内線電話番号を利用し、同じダイヤル手順での内線電話のIP化が可能です」と細江誠一郎氏は説明する。

図表2 「YSL-V810」を活用して事業所内線番号でODトランクの使い勝手をCOTで実現する例

図表2 「YSL-V810」を活用して事業所内線番号でODトランクの使い勝手をCOTで実現する例

「YSL-V810」への移行が進展 内蔵無線WAN 搭載機とも連携


 RTV01を利用していた企業では今、YSL-V810へのリプレースが進んでいる。例えば、全国に数多くのフランチャイズ店を持つスポーツショップやファミリーレストラン。また、港湾運送会社やバス会社といった、拠点数はそれほど多くないものの、各拠点で利用される固定電話の台数が多い企業でもヤマハの電話帳サーバーが必要とされ続けている。

 「大型のSIPサーバーや専用の電話帳システムを導入するほど企業規模が大きくない、あるいはそこまで大きな投資をしたくないという企業にとって、当社の電話帳サーバーはとてもマッチした製品になっています」と小島務氏は話す。

 また、YSL-V810を活用して新たにVoIPネットワークを構築する企業もある。その際、YSL-V810と合わせて採用されることが多いのがLTEアクセスVoIPルーター「NVR700W」だ。同製品は無線WANモジュールを内蔵しており、NTTドコモあるいはMVNO 事業者のSIMカードを装着することで、3G/LTE網を利用できる。有線回線の代替として無線WAN環境を検討している企業や、有線回線の未提供エリア、仮設店舗など短期間の通信環境を必要とするケースにも最適だ。「有線回線にトラブルが発生した際、自動で無線回線に切り替える自動バックアップ機能を搭載しており、有線回線のバックアップ用としても適しています」と小島氏は説明する。

 ところで、なぜヤマハはRTV01の生産終了からYSL-V810の発売まで3年の期間を要したのだろうか。「電話帳サーバーの需要があるといっても、ルーターなどと比べると台数は多くない。そこにジレンマが生じていました」(小島氏)という。そこで同社が生み出した解決策が、既存のハードウェアに電話帳サーバーのソフトウェアをインストールすること。具体的にはVPNルーター「RTX810」のハードウェアを利用した。

 ヤマハの知恵と工夫が詰まったYSL-V810。その登場を心待ちにしていた企業だけでなく、新たに内線VoIPネットワークを構築する企業にとっても頼もしい製品となっている。

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