導入事例 東京海上日動コミュニケーションズ Skype for Businessで働き方を進化 距離を越えて社員が支え合うオフィスに

オフィスの分散化を進める中で、各拠点の社員を有機的につなげて能力を最大限に発揮できるように社内コミュニケーション環境の整備を進めている東京海上日動コミュニケーションズ。離れた場所で働く社員同士がチームプレイで業務を遂行する、その環境を支えているのが日本マイクロソフトのコミュニケーション基盤「Skype for Business」だ。
岩越健一氏

東京海上日動
コミュニケーションズ
代表取締役社長
岩越健一氏

 「皆で助け合い、学び合い、励まし合う。そうして支え合ってチームワークで仕事をすることが我々のビジネスの基本。それにはやはりコミュニケーションの活性化が大切だと考えている」

 そう語るのは、社内コミュニケーションの強化を軸とした働き方改革を進める東京海上日動コミュニケーションズの代表取締役社長・岩越健一氏だ。

 東京海上日動の保険代理店や社員からの照会に対応するコンタクトセンター業務を行う同社にとって、人はまさに“サービスそのもの”。有能な人材を育て、その社員に「いつまでも会社を好きでいてもらうことで高品質なサービスを提供する」という方針の下、産休育休制度や時短勤務制度を充実させるのと並行して、社内コミュニケーション環境の改善にも注力している。

<User Profile>
東京海上日動コミュニケーションズ

設立
1991年1月10日

本社所在地
東京都八王子市横山町19-4

事業概要
主に東京海上日動の保険代理店や社員からの照会に対応するコンタクトセンターを中心に、システム登録事務、研修などのサービスを提供

東京のSVが大阪をサポート 拠点またがるチームプレイを実現


 岩越社長がビジネスの基本とする“チームプレイ”の質を高めるため、新たなコミュニケーション基盤として2015年に導入したのが、日本マイクロソフトの「Skype for Business」だ。連絡したい相手のステータスがわかるプレゼンス機能とWeb会議機能を活用して、コンタクトセンターのオペレータと、その監督・管理を行うスーパーバイザ(SV)がスムーズに連携できる環境を実現した。

 Skype for Businessを導入した直接的なきっかけは、大阪拠点の拡大だったという。東京3・大阪1の計4拠点を持つ同社は、事業継続の観点から大阪のオペレータ増員を進めていたが、そこで課題となったのがSVの人材不足だ。

 育成に「最低でも3~4年かかる」というSVを十分に配置するのが難しいうえに、経験の少ないオペレータが多いためSVへの照会も増える。オペレータはSVに相談したくても、全員が埋まっていれば“折り返し”で対応せざるを得ない。大阪だけで業務を回せば、どうしてもお客様を待たせるケースが増え、オペレータもストレスを抱えていた。

 そこで、大阪のオペレータを東京のSVが遠隔でサポートできる仕組みをSkype for Businessで構築した。イメージを示したのが下の図表1だ。オペレータはPC画面に表示されるリスト(電話帳)で、大阪・東京の別なく、対応可能なSVを探して即座に相談できる。SVの空き時間を有効に使い、その能力を最大限に発揮できるようにしたのだ。

図表1 Skype for Business導入後の運用イメージ

図表1 Skype for Business導入後の運用イメージ

 また、コミュニケーションの質も変わった。音声通話だけでなくビデオチャットや画面共有が可能なため、SVはオペレータの表情を見て“ちゃんと理解しているか”を確認し、必要なら資料を共有しながら説明できる。この音声通話/ビデオチャット/画面共有をスムーズに切り替えられることが、Skype for Businessを採用した決め手の1つだったという。

タテ・ヨコ・ナナメの連携で人材育成にも大きなプラス


 大阪拠点のニーズに応えて立ち上げられたこの仕組みは、現場の25席とIT・総務部門の計50人程度で小規模にスタートしたが、その成功体験が東京にも広がり、1年半後の2016年度末頃には約300席に拡大し、2017年度以降も展開範囲を広げていく計画だ。

 また、拡大したのは規模だけではない。当初の目的はSVの有効活用だったが、Skype for Businessの用途と効果は今やそれに留まらない。

 1つが、コンタクトセンターで常に課題となる“サービスの均一化”だ。

 従来はどうしても拠点ごと、グループごとに運用の違いが生じていたが、その垣根を超えたコミュニケーションが活発化すれば、運用を統一しやすくなる。他グループ・拠点の実態を知り、SV/オペレータが良いところを学び合う機会も自ずと増える。岩越氏は「タテ・ヨコ・ナナメに社員がつながり、オペレータがいろいろなSVに相談できる環境ができることは、人材育成にもプラスになる」と話す。

 もう1つ、SVのミーティングも変わる。サービスの均一化を図るうえで、SV同士がコミュニケーションを密にすることは極めて重要だ。しかし、これまではSVが一斉に現場を空けて会議室に集まることは難しく、残業時間にミーティングを行うしかなかった。

 そこで、SVが自席からミーティングに参加できるWeb会議を使って、その問題を解消する。SV同士の考え方や回答の内容・質を合わせることが容易になるのだ。現在は一部の部署に限定してWeb会議を行っているが、2017年度は広範囲に展開していく考えだ。

 加えて、テキスト/ビデオチャットを使ったコミュニケーションスキルをオペレータやSVが身につけられる点も見逃せない要素だ。コミュニケーションカルチャーの変化に対応することは、ホスピタリティの強化にもつながる。

図表2 主な経営課題とSkype for Businessへの期待

図表2 主な経営課題とSkype for Businessへの期待

目指すは執務室のバーチャル化 Skype for Businessを“使い倒す”


 このように、場所の制約なしにSV・オペレータ、その他のスタッフがスムーズに連携して業務が行える「執務室のバーチャル化」を進めることが東京海上日動コミュニケーションズの狙いだ。これにより同社は、さらなる拠点の分散化や在宅ワーク環境の整備を進めようとしている。

 現在、東京と大阪の比率は10対1程度であり、東京有事の際、大阪だけでは最小限の対応しかできない。分散比率の改善は喫緊の課題であり、中長期的にはさらなる拠点の分散化も計画している。また、育児・介護等によって出勤が困難になった社員が在宅で仕事を継続できるよう、在宅勤務制度も2017年度から試験的に導入する。Skype for Businessは、このような分散ワークの環境を最適な人数で運営するための基盤として位置づけられているのだ。

 この執務室のバーチャル化に向けて同社はPBXのクラウド化にも踏み切る。Office 365で提供される「Cloud PBX」を用いて、これまでオンプレミスで運用していた内線電話をクラウド化し、テキスト/ビデオチャット等と統合したコミュニケーション基盤をクラウド型で構築する計画だ。既存のPBXが保守切れを迎える拠点から順次、Cloud PBXに移行する。IT部門の試算によれば、これによりPBX保守料等の関連コストは約3分の2に圧縮できるという。Skype for Businessの導入費用をほぼ賄うことができる計算で、副次的な効果とは言えそのインパクトは大きい。

 もう1つ、IT部門が期待を寄せるのがOffice 365の新機能「働き方AI」だ。Office 365で行われるコミュニケーションの状況を分析して、社員間・グループ間のコミュニケーション密度を可視化したり、業務効率を阻害する要因と改善策をアドバイスしてくれたりする機能である。今後、新たなコミュニケーション基盤を全社展開していくうえで、利用状況の把握や導入効果の測定、改善などにその機能が役立てられることを期待しているという。

 岩越氏によれば、東京海上日動コミュニケーションズはこれまでも最先端のICT技術を取り込んで活用してきた歴史があるという。「導入して効果があるとなれば徹底的に使い倒し、イマイチなら止める。そういうスピード感で、テクノロジーに関しても業界最先端を目指している」と話す。Skype for Businessも徹底的に使い倒し、働き方改革で業界をリードしていく。

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