CASO ネットワークアプライアンス向けホワイトボックス 「欲しい製品がないなら作る」時代に! ホワイトボックスで自在なデザインを支援

ネットワーク業界でもハードとソフトの分離が進んでいる。この新たな潮流において急速に存在感を高めているのが、搭載するOS/ソフトを自由に選べる「ホワイトボックス」だ。Foxconn傘下のCASOは多種多様なネットワーク向けホワイトボックスを国内展開し、セキュリティやSDN/NFV、IoTといった新ニーズに応えるソリューション開発を支援している。
武田和広氏

CASO
代表取締役
武田和広氏

 従来は一体型で提供されてきたハードウェアとソフトウェアを分離し、用途に応じて自在に組み合わせられるようにするオープン化の波が、いよいよネットワークの世界にも押し寄せてきた。これによって、ユーザー、そしてネットワークソリューションを開発・提供するベンダーは、環境や用途に応じて必要な機能・性能を持つOS/ソフトと「ホワイトボックス」ハードを選んで自由に組み合わせられるようになる。

 つまり、これまでに比べて格段に容易に“欲しかったソリューション”が実現できるようになるのだ。

ホワイトボックス+OS/ソフトでネットワークインフラ全体を革新


 ネットワーク分野におけるホワイトボックス活用はデータセンター向けスイッチから始まったが、この流れは早晩、ネットワークインフラ全体へと広がっていくはずだ。Foxconnグループでネットワーク向けホワイトボックス製品を提供するCASOの代表取締役、武田和広氏はトレンドの変化について次のように語る。「セキュリティゲートウェイやUTM、VPNルーターでは、当社のx86ベースのホワイトボックスを使ったアプライアンスがすでに豊富に存在する。さらに、最近はSDN/NFVソリューション、産業用ネットワーク機器やIoTゲートウェイなど様々な用途でホワイトボックスを使いたいという話が増えてきた」

 例えばSDN/NFV関連では、SD-WANソリューションのベンダーにもホワイトボックスを提供。また、宅内通信機器(CPE)の機能を仮想化してクラウド提供するvCPEソリューションについても「通信キャリアやISPから多く話をいただいている」と同氏は話す。

 セキュリティ関連でも、既存のUTM製品ではオーバースペックとなる中小企業や工場向けに、必要十分な機能をワンボックスで提供する“SMB向け”“IoT向け”アプライアンスを開発する動きも出てきているという。そのほか、産業用ネットワーク機器やPoEスイッチなど、IoT需要を背景としたアプライアンス開発も進んでいる。

図表1 ホワイトボックスの適用例

図表1 ホワイトボックスの適用例

豊富なラインナップとカスタム対応 コンサルティングで開発を支援


 CASOがこうした様々な需要に対応できる理由は、製品ラインナップの豊富さとカスタム対応にある。

 同社は、Foxconnグループでネットワーク分野のODM/OEM事業を手掛けるCASwell社の日本法人であり、CASwellの多種多様なホワイトボックス製品を国内で展開している。

 ラインナップは「ラックマウントタイプ(2U/1U)」「デスクトップタイプ」「ファンレスタイプ」等を取り揃え、データセンター向けのサーバー・ストレージから、オフィス・工場内で使うゲートウェイ/スイッチまで幅広くカバーしている。

 また、インターフェース部分がモジュール式になっており、ポートの種類・数を自在に変えられる点も大きな特長だ。用途に応じてCPU/メモリ、ネットワークインターフェースを選び、柔軟にシステムを構成できる。これにより「ネットワークインフラ全体をカバーするトータルソリューションを提案・提供できる」(武田氏)のだ。

図表2 ネットワークインフラ全体をカバーするプロダクト・ポートフォリオ

図表2 ネットワークインフラ全体をカバーするプロダクト・ポートフォリオ

 これに加えて、ホワイトボックスの用途を広げるために様々なOSへの対応も進めている。NTTが開発し現在はオープンソースとして公開されているSDNソフトウェアスイッチ「Lagopus」、ブロケードのソフトウェアルータ「Vyatta」、IP Infusionの統合ネットワークOS「OcNOS」は一部機器ではすでに動作検証済み。そのほか、主にルーターに使われるLinuxベースの「OpenWrt」を搭載したアプライアンスの実績もある。

 CASOでは、例えばLagopus搭載スイッチのように、OSを搭載したハードの提供も行っている。こうすることで、ユーザーは上位のソフトウェア開発に集中し、迅速にソリューションが提供できるようになるのだ。

 また、ホワイトボックスを活用しようとする顧客企業に対するコンサルティングも同社の大きな差別化ポイントになっている。目的や用途、ニーズに応じて、適切なハードウェア構成とOS/ソフトの組み合わせまで含めて提案する。「お客様がより簡単にソリューションを作れるよう、こうした取り組みにもさらに力を入れたい」と武田氏は話す。

アイデア次第で広がる活用法 SDN/NFVの“性能問題”も解決!


 武田氏は今後、特にSDN/NFV、SMB向けソリューション、そしてインダストリー4.0領域への展開を加速させる考えだ。冒頭で述べた以外にも、すでにいくつもの使用例が出てきている。

 あるSD-WANベンダーは、SIMスロットを搭載したファンレスボックス(下写真)を使って、有線ネットワークとLTE/3Gを組み合わせて使える新たなSD-WANソリューションを実現した。また同製品を使い、工場でセンサーデータを収集してモバイル網経由でクラウドに送るIoTゲートウェイを作ろうとしているベンダーもあるという。

CASOの最新製品の1つであるSIM搭載ファンレスタイプ(背面)

CASOの最新製品の1つであるSIM搭載ファンレスタイプ(背面)。3つのSIMスロットを備えており、有線・無線の複数の通信規格を組み合わせて利用できる

 LANスイッチ向けのホワイトボックスを使った製品開発も幅広く行われている。小型SDNスイッチからL2/L3ホワイトボックススイッチ、PoEスイッチと幅広いラインナップを揃えており、これらを使って、ビル・マンション内のLANのSDN化を検討したり、ストレージサーバーにPoEスイッチのインターフェースを組み合わせて、新たなIP監視カメラシステムを作ろうという取り組みも進んでいる。

 NFV向けサーバーも通信キャリアやISPの注目を集めそうだ。NFVに“付き物”のパフォーマンスの問題を解消できる可能性が高まるからだ。

 現状、NFVインフラにはIAサーバーを用いるのが一般的だが、その場合、ネットワーク機能の処理とフォワーディングの両方を汎用CPUで行うため、どうしても従来型の専用機に比べて性能が劣ることになる。一方、CASOのNFV向けサーバーは、メインとなるIntel製CPUとスイッチICを搭載しているため、フォワーディング処理をスイッチICで行い、SDN/NFV機能の処理をCPU側で高効率に行うことができる。

 こうしたCASwell製のネットワーク向けホワイトボックスのみならず、CASOではFoxconnグループで製造する幅広い製品群、Ennoconn社の組込用コンピュータや産業用コントローラー、ThecusのNASなどを組み合わせたソリューション開発も提案可能だ。

 このように、すでにネットワーク/セキュリティソフトウェアの開発力を持つベンダー等が次々と、CASOのホワイトボックスを活用してソリューション開発に乗り出している。こうした企業にとって、Foxconnの部材調達力とワールドワイドの対応力も大きな魅力となっているようだ。なお、CASwellは数百台からの小ロットのODM/OEMにも対応する。

 「当社にお任せいただければ、お客様のアイデア次第でどんなソリューションでも可能。初期投資を抑えてチャレンジングなことができる」と武田氏。オープン化の流れの中、ビジネスを成長させていきたいと意気込んでいる。

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