レコモット
代表取締役CEO
東郷剛氏
スマートデバイスを使ったワークスタイル変革を実現するには、端末のセキュリティを担保しつつ、音声をはじめとするUC(ユニファイドコミュニケーション)のポテンシャルを存分に発揮可能にすることが不可欠となる。
ところがMAM(モバイルアプリケーション管理)とUCは現状、提供するベンダーも違えば、サービスも分かれているのが実情だ。
これに対し、「ユーザーの利便性を考えると、MAMとUCは統合されるべき」とレコモット代表取締役CEOの東郷剛氏は主張する。
同社が提供するセキュアMAM「moconavi」は、Microsoft Exchange ServerやOffice 365、IBM Notes/Domino、Google Appsなどさまざまな業務アプリを1つのアプリで、しかもクラウドシステムでも社内システムでも意識せずに利用できる。MAMをワークスペースとして捉え、moconaviに必要な業務アプリがすべて含まれるという概念だ。
データを端末に書き込まずにアプリのメモリ領域のみで展開して同期しないため、メールに添付されたファイルや顧客情報などのデータが端末に一切残らず、リモートワイプなど端末のデータを管理する必要がないセキュリティ強度の高さとアプリのユーザビリティの高さを特長とする。
ここ数年前は、moconaviをハブとして、電話やビデオ会議、IMなど音声もデータも含めてあらゆる業務システムを連携させる“モバイルUC(ユニファイドコミュニケーション)”の構築に取り組んできた。
このうち電話(音声サービス)については、Cisco Jabberや050 plusなどのVoIPアプリ、シスコ「Cisco Unified Communications Manager(CUCM)」やNEC「UNIVERGE SVシリーズ」といったIP-PBX、NTTドコモ「オフィスリンク」やKDDI「ビジネスコールダイレクト」に代表されるキャリアの内線ソリューションというように、さまざまなサービスと連携している。
図表1 モバイルUCとして活用できるmoconavi
この4月には新たに、楽天コミュニケーションズの「モバイルチョイス“050”」にも対応する。
モバイルチョイス“050”は、社員が所有するスマートフォン(携帯電話)に業務用の「050番号」を付与することで、1台の端末で業務用とプライベート用に番号や通話料を使い分けられるようになるサービス。これにより、通話料金の公私分計を実現する。
私物のスマートデバイスを業務に活用するBYOD(Bring Your Own Device)は日本でも許可する企業が増えているとはいえ、米国をはじめとする海外と比べればまだまだ普及が遅れている。
日本企業がBYODの本格導入に二の足を踏む理由として、情報漏えいなどのセキュリティに対する不安が完全には拭いきれないことがあるのは言うまでもない。
加えて、私物デバイスを業務利用する際には、プライベートでの通話と仕事で取引先などにかけた通話とを切り分け、業務用の通話料金を企業が負担する仕組み作りが必要なこともネックとなっている。その点、モバイルチョイス“050”ならばこの課題を解決することが可能だ。
さらにmoconaviと連携した場合、050番号と利用する携帯電話番号の紐付けをmoconaviから設定できる。また、アドレス帳機能をクラウドで管理するだけでなく、モバイルチョイス“050”網との直結により、端末のアドレス帳に登録がなくても、発着信の情報をプッシュで予告通知可能で、発着信履歴をクラウドで管理することもできる。
このようにセキュアに公私分計を行えるようになったことで、「moconavi導入企業の間では、セキュリティに厳格な金融機関も含め、あらためてBYODを具体的に検討する動きが目立っています」と東郷氏は話す。
最近では、BYODと会社支給、あるいはスマートフォンとタブレットというようにスマートデバイスをハイブリッドに活用する企業も増えている。moconaviは端末側のアドレス帳に依存しないので、端末を変えても同じ番号で発着信履歴を一元管理できるのも企業にとっては魅力的だろう。
アドレス帳連携では、この3月から、Sansanの名刺管理サービスへの対応を開始した。
Sansanの名刺データをmoconaviのアプリからセキュアに利用できる。プッシュ通知の対象となるアドレス帳データにも指定可能で、同期せずにActive DirectoryやSansanも利用できるのはmoconaviだけだという。
図表2 名刺データをセキュアなアドレス帳に
レコモットではモバイルUC連携の一環として、今春を目途にチャット機能の追加も予定している。
最近、LINEなどコンシューマー向けのチャットアプリを情シスの許可を得ず“なし崩し的に”ビジネスにも利用するケースが後を絶たない。企業側もチャットアプリを業務に活用するメリットを無視できなくなっており、よりセキュアに使えるビジネスチャットに注目が集まっている。
moconavi同様、チャット機能だけでなくPBXやSansanの名刺管理サービスとのアドレス帳連携機能に対応しているものもあるが、いずれも自社のサーバーやPBXに限定されたり、データを同期する必要があり二重管理になるといった制約を伴う。moconaviであれば複数のPBXメーカーに対応し、アドレス帳も複数のサービスを一元管理できる。「世の中にある音声機能ソリューションとデータ機能ソリューションを統合でき、なおかつセキュアにしたのがmoconavi」(東郷氏)というわけだ。
しかもAndroidとiOS、さらにはWindows 10 Mobileへの対応を予定するなどマルチOS、マルチデバイスをサポートする点も他社にはない強みといえる。
レコモットではまず独自のチャットアプリを提供するが、将来的にはマイクロソフト「Skype for Business」やシスコのJabberなどのクライアントの役割も担うコンセプトだという。
最近では、MDMとMAM、MCMの機能をまとめたEMM(エンタープライズモビリティ管理)が存在感を高めている。そうした中には、MAMだけを利用したいというニーズに応えられないものも存在する。
例えばBYODにはMAMの機能しか必要ないにもかかわらず、MDMを使用しないとMAMの機能が利用できないといった場合だ。その結果、MDM導入が必須となり、コスト面や運用面のデメリットになるが、moconaviであればMAMとして機能が独立しているので、余分な機能を契約する必要がなく、コストを抑えられる。
こうした仕組みから、会社支給端末の場合、他社のMDMと併せて利用することも可能だ。実際、他のベンダーからは、自社のMDMとmoconaviを組み合わせ、EMMとして発売されており、好評だという。
ここまで見てきたように、moconaviは高いセキュリティを保ちつつ使いやすさも追求できるという意味で、企業の働き方改革の実現に欠かせない存在といえそうだ。
お問い合わせ先 |
株式会社レコモット TEL:03-6380-8567 URL:http://www.recomot.co.jp/ |