ジェンバンド・ジャパン 「KANDY」「fring」「NUViA」 クラウドでUCを安価かつ迅速に提供 格安通話やかけ放題プランの提供も

VoIPのスイッチングなどで世界トップの米ジェンバンドは、リアルタイムコミュニケーションの製品群をクラウド化して展開する。日本法人のジェンバンド・ジャパンでは、クラウドにより安価な料金体系でさまざまなコミュニケーションツールを迅速に利用できることを強みに、MVNOなどへの導入を推進している。
(右から)ジェンバンド・ジャパン営業副社長の易傑氏、アジアパシフィック・カスタマーソリューション・シニアマネージャーのジャン・ドロレ氏

(右から)ジェンバンド・ジャパン営業副社長の易傑氏、アジアパシフィック・カスタマーソリューション・シニアマネージャーのジャン・ドロレ氏

 固定電話は1876年の誕生以来130年余りの間に、アナログからデジタル、IPへと目覚ましい進化を遂げてきた。合わせて、通信機器もハードウェアからソフトウェア、クラウドへと移行している。

 こうした市場環境の変化とともに、ハードウェアの通信機器ベンダーもビジネスモデルの転換を図ってきた。VoIPのスイッチングで世界トップのジェンバンド(本社:米国テキサス州)もそうした1社だ。

 同社はIP網とPSTN網をつなぐメディアゲートウェイを取り扱うベンチャー企業として1999年に設立されたジェネラルバンドウィトスを前身とする。2006年以降は通信関連企業のM&A(買収・合併)を繰り返しながら、ハードウェアメーカーからの脱却を進めてきた。

 10年には、ノーテルネットワークスのキャリアVoIP/アプリケーション・ソリューション事業の買収により業容が一気に拡大。現在はVoIPのスイッチングをはじめ、NGN/IMSやメディアゲートウェイ、などで世界のトップシェアを誇る。顧客企業は北米や欧州、APAC、中近東などの主要キャリアを中心に世界76カ国700社以上にのぼり、日本ではNTTグループ、ソフトバンクグループ、NECなどが名を連ねる。

 近年、IP化が急速に進む中でジェンバンドは自社製品群のクラウド化を進めており、現在は「KANDY」「fring」「NUViA」の3種類のクラウドサービスを展開している(図表)。

図表 GENBANDクラウドサービスの概要

図表 GENBANDクラウドサービスの概要

必要な機能の自由な組み合わせも パッケージで迅速かつ容易な開発


 KANDYは、キャリアグレード通信技術を核として構築した音声通信やプレゼンス、チャット、ビデオ会議といったリアルタイムコミュニケーションの開発者向けプラットフォーム。併せてREST APIやMobile SDK、Web SDKなどのツールキットやサンプルアプリケーションを用意しているので、簡単にサービスを構築できる。必要な機能を組み合わせ、独自のリアルタイムコミュニケーションを実現することも可能だ。

 ジェンバンドではより迅速かつ容易な開発を可能にするため、人気の高いアプリケーションをパッケージ化した「KANDY Wrappers」も提供している。これにより、コミュニケーション技術に詳しくないWeb開発者やゲームクリエイター、アプリケーション開発者などの開発のハードルを下げることができる。

 例えばオンラインゲーム上にプレイヤー同士が双方向でやり取りする機能を追加する場合、KANDYからコードサンプルをカット&コピーし、ゲーム画面の片隅に貼り付けるだけ。「30分から1時間程度で完了し、音声や動画によるコミュニケーションを安価に実現することができる」と日本法人ジェンバンド・ジャパンで営業副社長を務める易傑氏は話す。

 この他にも、ショッピングサイトにおけるリアルタイムのサポートなど多様な用途への活用が想定される。

 なお、ジェンバンド・ジャパンでは日本企業の利便性向上のため、KANDYの日本語化への対応を予定しているという。

提供事業者のブランドで運用可能 英仏独など複数の言語にも対応


「fring」は電話会議やテレビ電話会議にも対応する

「fring」は電話会議やテレビ電話会議にも対応する

 fringは、KANDYをベースにIP電話やグループ通話、メッセージングなどコンシューマー向けのサービスを開発できるもので、通信キャリアやMVNOなどを対象とする。

 ホワイトラベルで提供されるため、サービス提供事業者のブランド名やブランドカラー、デザイン、表記に合わせて作り込むことが可能だ。言語も、英語、フランス語、ドイツ語、日本語、中国語の5カ国語に対応する。

 スマートフォンの普及とともにさまざまなメッセージングアプリが登場しているが、fringはそれらと同様に写真や動画、音声メッセージの送受信、位置情報や連絡先情報の共有といった機能に対応する。他方、PaaS(Plaform as a Service)なので初期投資やランニングコストが抑えられ、より安価なサービスを実現するというメリットがある。

 例えば、今話題の格安SIMの音声通話は通常30秒20円(税別、以下同)だが、fringを使えば「4分の1程度まで下げることができる」(易氏)。SMSも通信キャリアのサービスでは海外への送信に1通あたり50〜100円かかるところを、1円程度で送信できるという。

 そのため、サービス提供事業者は国内外に関係なく格安従量課金プランや利用無制限のかけ放題プランを提供することができる。

 MVNOのニフティは、昨年11月に開始した「NifMo でんわ」にfringを採用している。

 NifMo でんわは、国内の固定電話や携帯電話、IP電話への通話が月額1300円でかけ放題になるサービス。オプションとして同1400円を追加すれば、固定60カ国、携帯20カ国向けの国際電話もかけ放題になる。

 MVNOは、総務省の後押しもあってこの1〜2年間に参入する事業者が相次いでいる。その結果、もはや乱立気味の状況で、かつてのISPのように一部の事業者を除いて淘汰される可能性を指摘する関係者も多い。

 「MVNOは今以上に料金面で他社と大きく差別化を図ることは難しくなっているので、これからは競争軸がかけ放題サービスやパッケージサービスに移るのではないか」とアジアパシフィック・カスタマーソリューション・シニアマネージャーのジャン・ドロレ氏は述べる。

 海外では通信キャリアがfringを活用し格安などを目玉にしたサービスを提供している。フランスのブイグテレコムは、フランス全域や固定55カ国、携帯7カ国のかけ放題とSMSし放題、3GBデータプランをセットにしたパッケージを提供。ユニークなところでは、インドのエアテルが海外在住者向けに、本国との格安通話サービスを展開している。

デバイスを問わずアクセス可能 1つの番号で複数端末からの利用も


 3番目のNUViAは、IP電話やクラウドPBX、ボイスメール、IM、電話会議、ビデオ会議などユニファイドコミュニケーション(UC)に特化した「UCaaS」という位置付けだ。法人を対象に、BtoBtoBのビジネスモデルとなっている。

 シスコやポリコムなどのデスクトップIP電話をはじめ、旧ノーテルのオフィス電話、デスクトップPC、スマートフォン/タブレットなどさまざまなデバイスから利用できる。

 NUViAの特徴的な機能に、「モバイルエクステンション」がある。

 ユーザーはこの機能を利用して社内のコミュニケーションネットワークにアクセスでき、内線通話、着信転送、電話会議などさまざまな機能をモバイル端末で実現でき、かつ発着信がデバイスに関係なく1つの番号で行える。

 例えば、デスクトップの電話機で取引先と話している間に外出する時間になった場合、スマートフォンのアプリを起動しボタンを押すと相手に気付かれることなく瞬時に切り替わり、引き続きスマートフォンから通話することができるという。このほか、固定やモバイルに関係なく、クラウド上に留守番メッセージを集約する「シングルボイスメールボックス」機能も備える。

 このように、従来は通信キャリアにしかできなかったことが、さまざまな業種や用途へと広がりが期待できるのは、クラウドサービスならではといえる。

 ジェンバンド・ジャパンでは、3つのクラウドサービスの日本における市場拡大を進めている。MVNOをはじめ、ゲームやWeb開発など、さまざまなシーンでの活用が期待できそうだ。

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