エンピレックス 通信事業者向け監視・分析ソリューション テレコム向けビッグデータ基盤で サービス品質や障害原因を簡単分析

通信事業者のチャレンジに終わりはない。NFVやIoT向け通信サービスなど、様々な新技術の導入がこれから本格化するが、その成功に不可欠なのがサービス品質の的確な把握や迅速なトラブルシューティング。エンピレックスのテレコム向けビッグデータ分析基盤なら、必要なデータがすぐ簡単に手に入る。
堀尾健一氏(右)と林子平氏

エンピレックス セールス シニアセールスエンジニアの堀尾健一氏(右)と林子平氏

 LTEネットワーク上でVoIPを提供するVoLTE──。日本では2014年からサービスが始まったが、その裏方として大活躍しているソリューションがある。エンピレックスのネットワーク監視・分析ソリューションだ。

 それまで回線交換網の上で音声通話サービスを提供してきた携帯電話事業者にとって、VoLTEは非常に大きなチャレンジ。当然、サービス開始当初は、数多くの課題に直面した。運用現場では、いかに迅速にトラブルシューティングできるかが問われたが、これに貢献したのがエンピレックスのソリューションだった。

 エンピレックスは、通信事業者向けのネットワーク監視・分析ソリューションなどを提供する企業だ。本社は米国マサチューセッツ州にあり、日本をはじめ、世界各地の通信事業者やISP、MVNO、CATV事業者などへの導入実績を持つ。

 その同社が掲げるのが、「カスタマーサービスアシュアランス(顧客体験の保証)」というビジョンだ。VoLTEの開始時にその実力の一端が示されたわけだが、真価はこんなものではない。

テレコム向け分析機能を標準搭載 ユーザー毎や端末毎で見える化


 エンピレックスのソリューションは大きく2つの要素で構成される。ネットワーク上を流れるトラフィックを収集してモニタリングするためのプローブシステム「E-XMS」と、テレコム版ビッグデータ分析プラットフォームといえる「IntelliSight」だ。

 「当社は、テレフォニカグループをはじめとする世界各国の顧客と、一体どんな分析レポートが必要かについて議論し続けてきました。そうしたノウハウが盛り込まれているのがIntelliSightです。ビッグデータを扱うスキルがなくても、標準で用意されている分析機能によって、見たいデータをすぐ簡単に見ることができます」とエンピレックスの堀尾健一氏は紹介する。

 では、どんな分析機能があらかじめ用意されているのか。それを示したのが図表1だ。

図表1 IntelliSightで提供される分析機能

図表1 IntelliSightで提供される分析機能

 「Single Subscriber Analytics」は、ユーザーごとのパフォーマンス分析を提供する機能だ。電話番号やIMSI(加入者識別番号)を入力すると、そのユーザーの過去のパフォーマンスデータが1つの画面内に表示される。顧客データベースとの連動も可能で、そのユーザーが加入している料金プランや応募したキャンペーンなども同一画面上で把握できる。

 「例えばユーザーからクレームがあった際、どのセルでエラーが多く発生していたかなどが一目で分かります。また、単にパフォーマンスを表示するだけでは、そのユーザーが満足しているかどうかまでは分析できませんが、加入している料金プランなど顧客属性と組み合わせて表示できるのがポイントです」(堀尾氏)

 ちなみに、Intellisightの分析レポート画面は、ドラッグ&ドロップ操作で簡単にカスタマイズできる点も特徴の1つとなっている。

 「Device Analysis」はデバイスの種類ごとのパフォーマンス分析が行える機能だ。「端末依存の問題が発生していないかが統計的に分かります」と林子平氏は説明する。

 「Network Performance」は、ノード視点でのパフォーマンス分析が行える機能。そして、「Subscriber Intelligence」は、カスタマイズした分析結果を表示するための機能である。「特定のユーザーをグループ化し、そのグループのサービス品質を監視・分析するといったことが可能です。例えば法人顧客やVIPユーザーのグループを作成してモニタリングするといったことが挙げられます」(林氏)

 ここまでの4つは蓄積されたデータを分析する機能だが、リアルタイム分析も行える。設定した計算式に従って、ほぼリアルタイムのパフォーマンスデータをダッシュボード表示できる「Near-Real Time Monitoring Dashboard」だ。例えば、特定のユーザーグループのサービス品質の推移やローミング接続しているオペレーター毎のエラー発生状況等を監視できる。

一気通貫で素早く原因把握 NFVやIoT時代にも対応


 このように充実した機能を備えたエンピレックスの監視・分析ソリューション。堀尾氏によると、その主なユースケースは2つあるという。

 まずはVoLTEの際にも貢献したトラブルシューティングだ。ユーザー毎、デバイス毎、ノード毎などにエラーの発生状況を把握・分析できるのに加えて、エラーの詳細も調査できるからだ(図表2)。「クリック操作でドリルダウンしていくと、シーケンスダイアグラムを表示できます。分析レポート画面から一気通貫でプロトコルレベルまで落とし込んで障害の原因を調べられるのです」(堀尾氏)

図表2 エラーの詳細もすぐ把握できるためトラブルシューティングが迅速に

図表2 エラーの詳細もすぐ把握できるためトラブルシューティングが迅速に

 NFVやIoT、VR、コネクテッドカーなど、携帯電話事業者は今後数多くの新技術や新アプリケーションに対応していく必要がある。これらの導入を成功させるためには、迅速なトラブルシューティングを可能にするツールが欠かせない。

 なお、エンピレックスのソリューションはNFV対応。同社ソリューション自身をNFVとして導入できるだけのはもちろん、vEPCなどNFV環境の監視・分析も行える。

 2つめは、より進化したサービス監視の実現だ。林氏によれば通信事業者の世界では、「NOC(Network Operation Center)」から「SOC(Service Operation Center)」への変革が加速している。「今までは単にネットワークを監視するNOCの時代でしたが、今後は個々のユーザー毎に細かくサービス品質をケアするSOCが求められます」

 すでに海外では、収益性の高い法人顧客やローミングユーザーなどを個別にモニタリングし、その満足度向上に努めている通信事業者が少なくないという。一方、日本の場合、今のところ一律に顧客満足度を高めようという傾向が強い。しかし、IoTが本格化すれば、ユーザー毎に多様なニーズが発生し、“一律指向”では高い顧客満足度を実現することが困難になる。

 ユーザーのタイプ毎にパフォーマンスを監視・分析できる体制を構築することが、IoT時代のサービス品質競争を勝ち抜くための1つの条件になるだろうが、エンピレックスのソリューションがこれを可能にする。

 さらにエンピレックスは現在、QoE(Quality of Experience:顧客体験価値)の指標作りにもテレフォニカグループと協力して取り組んでいる。

 「様々なパフォーマンスデータをすべて統合し、一体このユーザーは満足しているのかどうかを数値化。これにより、例えば『QoEの値が0.6以下になると解約の危険ゾーン』といったように、解約との相関関係を分析可能にするのが目標です」と堀尾氏は語る。

 ますます進化していくエンピレックスのテレコム向けビッグデータ分析基盤。NFV/IoT時代に、より高品質な顧客体験を提供していくうえで必要不可欠なソリューションと言えそうだ。

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