ETSI TC M2Mの標準化


 ETSI TC M2Mにおける標準化は、M2Mサービスプラットフォーム、M2Mゲートウェイ、M2Mデバイス(M2Mエリアネットワーク/センサネットワーク)の3つの領域をカバーしており、M2Mサービスを水平統合モデルで実現するための中核を担っている。このため、各種フォーラムや他の標準化団体との連携も密に行っている。また、ETSI TC M2Mを補完する形で、M2Mデバイスの遠隔管理の標準化を、移動デバイスはOMA(Open Mobile Alliance)、固定ブロードバンド環境下のデバイスはBBF(Broadband Forum)で実施している。

 ETSI TC M2Mで検討し定義したハイレベルアーキテクチャを図表2に示す。

図表2 ETSI TC M2Mハイレベルアーキテクチャ

図表2 ETSI TC M2Mハイレベルアーキテクチャ


 M2M Service Capabilities Layer(以下、M2M SCL)は、ETSIが定義するM2M通信共通部であり、M2M Network Domain、M2M GatewayおよびM2M Deviceに配置される。

 また、M2M Applicationは、個々のM2Mサービスを実現するためのものであり、M2M SCLのサポートにより動作する。

 ETSI TC M2Mの標準化の主なスコープは、このM2M SCLを中心とした振る舞いと次の3つのインタフェースである。

・mIaインタフェース:M2M Network Domainに存在するM2M SCLと各種M2M Application Server間の通信参照点

・mIdインタフェース:M2M Network Domainに存在するM2M SCLとM2M GatewayあるいはM2M Device内のM2M SCLとの間の通信参照点

・dIaインタフェース:M2M Device内のM2M SCLとM2M Application間の通信参照点、M2M Gateway内のM2M SCLとM2M Application間の通信参照点、あるいはM2M Gateway内のM2M SCLと該当Gateway下の他のM2M Device内のM2M Application間の通信参照点

 現在ETSI TC M2Mで標準化作業中(発行済みも含む)のドキュメントを図表3に示す。

図表3 ETSI TC M2Mの標準化ドキュメント

図表3 ETSI TC M2Mの標準化ドキュメント


 実際の技術仕様書としてTechnical Specification(TS)番号が付与された3つのドキュメントと、技術レポートとして Technical Report(TR)番号が付与されたドキュメントがある。

 リリース1のTSドキュメントとしては、サービス要求仕様を定義するStage1ドキュメントTS 102 689が発行済み、アーキテクチャを定義するStage2ドキュメントTS 102 690が今年9月の会合で承認され発行処理中、技術仕様(インタフェース等)を定義するStage3ドキュメントTS 102 921は現在、最終議論中である。

 TRドキュメントとしては、主に様々な産業毎のユースケースなどを記載したドキュメントや、M2Mサービスを実現する上で潜在する脅威の分析や解決手段の提言をレポートするドキュメントなどがあり、現在議論中となっている。2件は初版が発行済みである。ETSI TC M2Mでは次のURLでその活動概要を紹介している。

http://docbox.etsi.org/M2M/Open/Information/M2M_presentation.pdf

電気通信以外の業界のM2M標準化への関心


 これまで、電気通信業界の視点でM2M標準化を論じた。ETSI TC M2M、OMA、BBFなど基本的には通信キャリアや通信ベンダーのメンバーが中心となって議論している。

 しかし、M2Mサービスの実際のユーザは、様々なニーズを持っており、電気通信業界のメンバーシップだけではニーズの絞り出しが十分にできず、結果的に全産業で相互利用可能なM2M通信環境が十分に構築できないことにもなりかねない。

 そこで、既存の様々なフォーラムや標準化団体は、非電気通信業界との連携を密にし、ユースケースなどで整理している。さらに、電気通信業界のメンバーと非電気通信業界のメンバーとが一堂に会して話し合う場が必要であり、積極的にそうした場を作ることが、これからのM2M普及には大切なことであると考えている。国内でも昨年11月に設立された「新世代M2Mコンソーシアム」でそうした取り組みを行っており、NECは理事として本コンソーシアムに参加している。

NECのM2M標準化への取り組み


 最後にNECのM2M標準化への取り組みについて述べる。

 NECは事業活動の一環として、技術仕様の標準化に積極的に取り組んでいる。これまでもNECグループは、3GPP、IETF、BBF、OMA、ZigBee Alliance等、多くのフォーラムや国際標準化団体、プロジェクトに積極的に参加し、技術仕様の策定に貢献してきた。また、ETSI、TTC、ARIBといった地域標準化団体においても、多くの技術領域で継続的な活動を続けている。

 M2Mの標準化においてNECは、M2Mサービスプラットフォーム化による各種アプリケーションへのサービスの水平展開および各種M2Mデバイス接続を実現するため、特にETSI TC M2M、OMA(Device Management)、BBFを中心に活動しており、3団体の間の連携に対しても支援を行っている。

 また、ETSI TC M2Mでは、今年9月の標準化会合をアジア圏初としてNECがホストし、会合終了後に参加者から多数の謝辞をいただいた。

 M2M通信に関わる技術領域は幅広く、多くの団体、フォーラムで関連仕様を策定しているが、当該領域全体を見渡し、重要な技術仕様を策定することのできるベンダーの1つとして、NECは標準化活動を通して関連企業とともに、M2M市場全体の発展に寄与していきたいと考えている。

連載のまとめ


 これまで全5回の連載にわたり、M2Mの未来への可能性について紹介してきた。あらゆるデバイスがネットワークとつながり、異なる業種間で相互連携していくことで、今までになかった新たな価値を創造することが可能になる。

 NECでは、世の中のあらゆるものが安心・安全につながることで、便利で新しい世界を実現する“Network of Things”の実現に向け、M2MソリューションCONNEXIVEを展開している。

 標準化活動などの取り組みやCONNEXIVEによって各業種の垣根を越えた統合的なサービスが創出され、そしてそれがスマートシティやスマートコミュニティの実現にもつながる。NECは、そうした便利で明るい世界の実現に貢献していきたいと考えている。

(2011年11月9日掲載)

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