第一弾は農業のクラウドサービス化


 このようにM2Mサービスは「見える化」「分析」「自動制御」の3つに分類できるが、NECでは農業生産の見える化を実現する「CONNEXIVE SaaS 農業ソリューション」の提供を2011年10月から開始した。これは、各種デバイス(機器)類、ネットワーク環境、アプリケーションまでをワンストップで提供し、M2Mサービスを手軽に開始できるアプリケーションサービス「CONNEXIVE クラウドサービス アプリ提供サービス」の第一弾となるものだ。

 日本の農業は、労働力の高齢化という問題に直面してきたが、さらにはTPP(Trans-Pacific Partnership:環太平洋戦略的経済連携協定)の脅威、そして震災による甚大な被害にも見舞われている。そこでNECでは、これに対応するためのソリューションとして農業のクラウドサービス化に取り組むことにした。

 CONNEXIVE SaaS 農業ソリューションは、農業センサによる定点観測とスマートフォンなどの端末を活用した移動観測によって、気温や日射量、土中水分量などのデータを収集・蓄積し、見える化するためのサービスである。

 本サービスでは、センサによるデータ収集だけでなく、Android端末を使って栽培記録を簡単に作成できるようにもなっている。栽培記録は音声によって入力することも可能である。さらに、ユーザフレンドリーなGUIからインスタントメッセージや掲示板を利用して、農業の専門アドバイザとコミュニケーションすることもできる。このデータを活用して、専門アドバイザは、見える化された農業生産データと栽培記録を参照したうえでアドバイスするので、より適切な助言を受けることができ、生産性や品質の向上を実現することができる。

 また、高齢化が進む日本の農業現場ではノウハウの継承が大きな課題となっているが、このサービスを利用することで、農業生産に関する様々なデータを収集・蓄積することができるため、ノウハウを継承することが可能である。

図表3 「CONNEXIVE SaaS 農業ソリューション」の概要

図表3 「CONNEXIVE SaaS 農業ソリューション」の概要


 今後、CONNEXIVE SaaS 農業ソリューションは、施設園芸において室温が一定値を超えたときに、自動で窓を開閉したりヒーターをオン/オフするような自動制御サービスや、物流時の品質トレーサビリティなども拡充していき、トータルな農業ソリューションとして発展させていく予定である。

まとめ


 NECでは今回ご紹介した農業ICTソリューションに引き続き、端末セキュリティ、産業機械監視制御、エネルギー、ウェルネス、テレマティクスなどの領域にも「CONNEXIVE クラウド アプリ提供サービス」を広げていく計画である。さらに、その先には個々の領域を超えた連携が可能なサービスも予定している。

 このようにM2Mサービスは今後一層の広がりを見せていくが、そこで重要になるのが、いかに多くの領域で活用可能な環境を整備できるかということである。そのためにもM2Mシステムにおける標準化がポイントになってくる。各社が独自仕様のM2Mシステムを構築してしまっては、M2M市場全体の発展は望めない。第5回では、M2Mの標準化動向と、標準化に対するNECの取り組みについて紹介する。

(2011年10月28日掲載)

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