第4回 NECのM2Mサービス実現への取り組み


 第3回では、M2Mソリューションの中核となるM2Mクラウドについて説明した。第4回では、このM2Mクラウド上で実現されるアプリケーションサービスについて、その要素技術と事例を交えて紹介する。

3タイプに分類されるM2Mサービス


 M2Mの要素技術には、「センシング」と「制御」の大きく2つが存在する。センシングとは、センサ等を通じて私たちの身の回りの様々な情報を収集・蓄積することである。M2Mサービスにおいてセンシングする情報としては以下の3つが挙げられる。

 1つめは「位置情報」である。自動車や貨物といったものは、場所の移動が伴うため、時間とともに位置情報が変化していく。例えば貨物の位置情報を管理し、これを活用することによって、配送ルートの決定や、トレーサビリティなどのサービスに活用することができる。

 2つめは「状態」である。ここで言う状態とは、センサを用いて収集された、その場所の気温や湿度などの環境データを指す。この環境データを活用し、気象サービスなどを実現することができる。

 3つめは「リソース使用量」である。電気やガスなどのエネルギー消費量をテレメータによって管理することで、検量などを自動化することができる。

 また、制御とは、ネットワークを介して遠隔から機械を操作することである。例えば、産業機械などの電源を遠隔からオン/オフしたり、操作切り替えをすることが可能である。

 このセンシングと制御を活用して実現されるM2Mサービスは、3種類に分類することができると考えている。

<見える化サービス>
 まずは、見える化サービスである。センシングにより収集したデータを統計し、グラフなどを使って利用者が認識しやすい表現で可視化することだ。見える化サービスによって、位置情報、状態、リソース使用量など様々な情報を簡単に把握できるようになる。

<分析サービス>
 次は、センシングにより収集・蓄積された情報を分析して活用する「分析サービス」である。収集・蓄積されたデータは見える化サービスなどで活用されるが、これをさらに様々な情報と組み合わせて分析されることによって、新たな付加価値が生まれる。この情報から支援サービスやデータ提供サービスへの展開が可能である。

<自動制御サービス>
 最後は「自動制御サービス」である。M2Mによって収集・分析された情報を用いて、人の手を介さずに機械の制御を実現する。例えば、発電量や需要予測をもとに、最適な配電を自動的に行なうスマートグリッドなどがこれにあたる。

図表1 M2Mサービスの分類と要素技術

図表1 M2Mサービスの分類と要素技術

テレマティクスサービスに見るM2Mの具体例


 ここまで、見える化・分析・自動制御の3つのサービスの概要を説明してきたが、ここからはテレマティクスサービスを例に挙げ、さらに詳しく見ていくことにしよう。

 テレマティクスサービスにおける「見える化」というと、まずは位置情報の表示が挙げられる。ドライバーに対して位置情報を提供するナビサービスだけでなく、例えば企業が自社車両の位置情報や運行ルートを見える化することで、効率的な動態管理が行えるようになる。さらに、災害などの緊急時における迅速な安否確認や情報提供にも活用できるだろう。

 また、位置情報のほかに、速度や走行距離、エンジンやブレーキの使用状況を見える化し、危険運転の予防や、エネルギー効率化、メンテナンス時期の通知などに役立てることもできる。

 見える化が収集したデータをそのまま使用するのに対し、「分析」とは収集したデータをより効果的に加工して提供するサービスのことだ。

 例えば、日々蓄積した個々のドライバーの位置情報を分析することで行動を予測し、そのドライバー向けにパーソナライズされた情報を提供することが可能となる。また、エリア・時間・季節などのパラメータにより大量のデータを分析することで、渋滞情報やエリア内の車両分布情報などに加工することができ、この情報を高度なナビゲーションやマーケティング情報として有効活用できる。

 最後にテレマティクスサービスの「自動制御」の例としては、収集した車両位置情報を解析し、各車両に最適な速度制御を行なうことで渋滞解消を図るようなサービスも将来的には実現できるだろう。また、車両が盗難された場合、センター側で位置情報によりこれを検知し、自動で機能を使用停止するといった防犯目的のサービスにも活用可能である。

図表2 テレマティクスサービスにおけるM2Mサービスの例

図表2 交通サービスにおけるM2Mサービスの例

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