第3回 M2Mサービスを支えるクラウド基盤の構成


 第2回では、従来のM2Mサービスが抱えていた様々な課題を解説するとともに、それらを解決するNECの取り組みとしてM2Mソリューション「CONNEXIVE」(コネクシブ) を紹介した。

 CONNEXIVEは、M2Mサービスの迅速かつ低コストでの導入を支援するソリューションだ。ありとあらゆるものが安心・安全にネットワークにつながることで生まれる新たな価値の創出をサポートすることで、豊かで革新的な社会の実現に貢献したいと考えている。

 CONNEXIVEは、次の3つから構成される。

(1)CONNEXIVE クラウドサービス
(2)CONNEXIVE プロダクト
(3)CONNEXIVE サポートサービス


 M2Mサービスを実現するためのアプリケーションやシステム基盤などをクラウドサービスならびにパッケージとして提供するほか、M2Mサービスの導入を支援するコンサルティングサービスなどのサポートサービスを提供していく。クラウドの利用により、企業はM2Mサービス用のシステム基盤を個別に開発する必要がなくなり、システム開発期間と導入コストを削減できる。

 このCONNEXIVEの第1弾として2011年9月1日から提供を開始したのが「CONNEXIVE クラウドサービス 基盤提供サービス」(http://www.nec.co.jp/solution/m2m/)である。第3回では、この「CONNEXIVE クラウドサービス 基盤提供サービス」について紹介する。

図表1 CONNEXIVE メニュー

図表1 CONNEXIVE メニュー

「CONNEXIVE クラウドサービス 基盤提供サービス」とは?


 今回取り上げる「CONNEXIVE クラウドサービス 基盤提供サービス」(以下、基盤提供サービス)は、M2Mサービスを支えるシステム基盤に求められる基本機能を、あらかじめNECのクラウド環境に組み込んで提供するクラウド型サービスだ。従来の垂直統合型・システム構築型M2Mサービスが抱える課題を解決するだけではなく、NECが目指す“Network of Things”の世界の基盤ともなるサービスだ。図表2に基盤提供サービスの機能の概要を示した。

図表2 基盤提供サービス

図表2 基盤提供サービス

 基盤提供サービスは、多様な機器(デバイス)の認証・制御、セキュリティ、各デバイスからのデータ収集・蓄積、収集したデータの統計・分析など、M2Mサービスのシステム化で求められる基本機能をクラウド上で提供する。

 これらの機能がクラウド型で提供されることのメリットはまず俊敏性だ。基盤提供サービスは、M2Mサービスを短期間で確実に立ち上げることが可能なICT基盤を提供する。また、拡張性も大きな利点である。スモールスタートを考えている企業から、大規模なM2Mサービスを検討している企業まで、幅広い対応が可能である。さらに、自社でシステムを所有する必要がないため、初期コストと運用コストを低減できるうえ、自らソフトウェアをバージョンアップしなくても常に最新の機能が利用できる。

 各デバイスとの接続インタフェースの多彩さも特徴だ。OMA(Open Mobile Alliance)の「OMA-DM」やBBF(Broadband Forum)の「TR-069」などの国際標準化技術に準拠したデバイスに始まり、汎用的なHTTPインタフェースまで、多様なデバイスがスムーズに接続できる。また、サービス向けインタフェースについても、デバイス毎に異なるインタフェースの違いを吸収する汎用的なAPIを提供しており、複雑なプラットフォームの仕組みを理解することなく、容易にアプリケーションを開発できる。

“Network of Things”実現のための6つの要件


 以上が基盤提供サービスの概要であるが、NECは“Network of Things”の世界を実現するため、「接続容易性」「カスタマイズ性・汎用性」「拡張性」「大規模化」「効率化」「セキュリティ」の6つの要件を重視し、基盤提供サービスを開発している(図表3)。“Network of Things”の世界では、ありとあらゆるデバイスのデータやアプリケーションの情報をクラウド上に集約・利活用することで社会の巨大な知恵袋®が形成される。こうした世界を現実のものとするうえで、この6つの要件は欠かすことができない。

図表3 基盤提供サービスの要件

図表3 基盤提供サービスの要件

<接続容易性>
 “Network of Things”の世界では、多様なデバイスがいつでもどこでも容易につながれることが大切だ。また、様々なアプリケーションから、これらデバイスが収集した情報を容易に利活用できなくてはならない。すなわち接続容易性がカギを握る。

 先に説明した通り、基盤提供サービスでは、OMA-DMやTR-069といった多彩なデバイス向けインタフェースに対応することで高い接続容易性を実現している。また、サービス向けインタフェースに関しても、共通APIを公開することで接続容易性を向上させている。

<カスタマイズ性・汎用性>
 基盤提供サービスは、M2Mサービスで共通に必要とされる汎用的な機能を提供するだけでなく、個別のカスタマイズ要求にも柔軟に対応可能なアーキテクチャとなっている。

 さらに、M2Mサービスの開発コスト軽減とサービス開始までのリードタイム短縮のため、開発者ツールも提供する。この開発者ツールを利用すると、例えばバッチ処理などの動作定義がコーディング作業なしに行える。デバイス処理や制御処理、収集データの統計処理などの代表的な部品があらかじめ用意されており、コンフィグレーションとして設定できるのである。

<拡張性>と<大規模化>
 “Network of Things”の世界を実現するシステム基盤にとって、最も不可欠な要件といえるのは拡張性と大規模化への対応である。M2Mのターゲットは、数十デバイスからなる工場の遠隔監視サービスから、何百万デバイスのセンサ情報を扱う交通サービスまで、規模が千差万別だからだ。

 CONNEXIVEの基盤提供サービスはあらゆる規模のM2Mサービスに対応しており、例えばスモールスタートでM2Mサービスを開始し、その後サービスの拡大に合わせて柔軟にリソースを拡張していくこともできる。さらに、何百万といったセンサから収集される大量のデータを蓄積・加工可能な大規模分散処理基盤を採用しており、クラウド上に集約される膨大な情報を迅速に処理できる。

<効率化>
 CONNEXIVEのシステムリソースはマルチテナントで共有される。このためシステムリソースの効率利用が可能であり、より安価にM2Mサービスを利用者に提供できる。また、クラウド環境ではシステム運用も共通化できるため、運用コストも低減できる。さらに複数サービスの連携も容易なことから、複合サービスの提供も効率的に行える。

<セキュリティ>
 クラウドと聞くと、セキュリティに不安を感じる方も少なくないだろう。だが、NECが提案するクラウド環境は、複数のM2Mサービスを安全かつ安定的に稼働させるためのセキュアな設計が、アプリケーション、サーバ、ネットワークおよびデータベースの各レイヤに施されている。インフラ全域で高いセキュリティレベルを維持していることから、秘匿性の高いデータを安全・安心に保存・活用することが可能だ。

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