第2回 “Network of Things”実現の課題と将来構想


従来のM2Mサービスが抱える3つの課題


 第1回では、M2Mという言葉の意味やM2Mを取り巻く市場環境について、世の中で実現されているM2Mサービスの事例を交えて紹介した。また、従来のM2Mサービスは垂直統合型・システム構築型であったため、サービス開始のために多くのコストと時間を要することも解説した。第2回では、これらの課題を分析すると同時に、解決に向けたNECのアプローチを紹介していく。

 垂直統合型・システム構築型のM2Mサービスを利用者視点で捉えると、次の不満が存在すると思われる。1つめは、サービス利用料が高いことだ。これは、サービス構築コストが高額なことに起因する。2つめは、複数のサービスを相互利用できないことだ。垂直統合型でサービスが構築されているため、他サービスとの連携が難しいことが原因である。3つめの不満は、利用開始までに時間がかかることだ。サービス提供者が一からシステムを構築する必要があるため、ある企業がM2Mサービスを開始したいと思っても、すぐにサービスを開始できないのが現状である。

 より多くのサービス利用者を獲得してM2M市場を活性化させるには、サービス提供者は上記の不満を解消しなければならないが、そのためには以下の3つの課題を解決する必要がある。

 第一の課題は、デバイスやアプリケーションのインタフェースが統一されていないことである。ここで言うデバイス向けインタフェースとは、デバイスへの設定・制御やデバイスから上がってきたデータを受け取るなどのやり取りを行うインタフェースである。また、アプリケーション向けインタフェースとは、プラットフォームに蓄積されたデータの検索や、デバイスへの設定・制御の指示を行うインタフェースを指す。

 デバイス向けインタフェースに関しては、一部の業種では共通化の取り組みがなされているものの、基本的には統一されていない。このため一度開発したインタフェースが他へ流用されることは少なく、新サービスのたびにデバイス向けインタフェースを開発しているケースがほとんどだ。また、アプリケーションとのインタフェースも独自に作り込むことが多く、流用や他サービスとの連携が難しくなっている。こうした課題を解決できれば、構築コストは低減し、またサービス間連携も容易になる。

 第二の課題は、ソフトウェア資産の流用が困難なことである。垂直統合型では、特定のサービスに最適化されており、他のサービスへの流用を意識していないことが多い。サービス実現に必要な各機能がファンクションブロックとしてモジュール化されていれば、別のサービスにも流用し易いのだが、そのようには作られていないのが現実だ。このため新しいサービスを提供するには、ほとんどの機能について新規開発が必要となってしまう。

 第三の課題は、システム構築コストが大きいことである。システム構築型では、サービス提供者が一からインフラ設計・システム構築を行う必要があり、多大な開発コストと長期の開発期間が必要になる。また、ハードウェアの調達コストやシステム運用コストも悩ましい問題だ。

図表1 垂直統合型・システム構築型M2Mサービスが抱える課題

図表1 垂直統合型・システム構築型M2Mサービスが抱える課題

課題解決のアプローチとNECの活動


 これら3つの課題はどうすれば解決できるのだろうか。

 デバイスやアプリケーションとのインタフェースが共通化されていないという第一の課題に対しては、下記のアプローチが考えられる。

 デバイス向けインタフェースについては、多種多様なデバイスのインタフェースに柔軟に対応することができるプラットフォームを構築することにより、様々なデバイスとのやり取りを実現することである。

 また、デバイス向けインタフェースの標準化への対応も有効な手段である。例えばOpen Mobile Alliance(OMA)が策定したデバイス管理機能であるOMA-DMのような通信インタフェースなどにプラットフォームを対応させることが挙げられる。これにより、本規格に準拠したデバイスについては、すぐに取り込むことが可能となる。

 一方、アプリケーション向けインタフェースについては、プラットフォームで様々なデバイスの差異を吸収することで、デバイスのインタフェースの違いを意識することなく、アプリケーションからデバイスに容易にアクセスできるようになる。以上のアプローチにより、新たなデバイスを取り込む際の開発規模は、軽減することが可能だ。

 第二の課題については、どうだろうか。現状はサービスごとに個別最適化された垂直統合型のシステム構築が主流ゆえ、他のサービスへの流用性が低いことや、サービスの相互利用ができないという問題が存在する。これについては、様々なM2Mサービスで共通的に利用できる水平統合型プラットフォームの構築により解決できると考えている。求められているのは、M2Mサービスで使われる共通的な機能をファンクションブロック化して他へ流用できるようにし、さらにサービス連携できる仕組みを実装することである。

 第三の課題に対しては、前述の水平統合型プラットフォームをクラウド型サービスとして提供することが解決策になると考えている。これによりサービス事業者は、一からインフラ設計やシステム構築をする必要がなくなる。このため主にサービスアプリケーションのみを開発すればよく、開発・構築コストを低減できるほか、市場ニーズに合わせた迅速なサービス展開も可能となる。

 このようにM2Mが抱える課題解決へのアプローチは整理でき、NECではこれを具現化するM2Mソリューションとして「CONNEXIVE」(コネクシブ)の提供を開始している。

 CONNEXIVEは、M2Mサービスを実現するためのアプリケーションやシステム基盤などを、クラウドサービスとして提供する。M2Mサービスの導入を支援するコンサルティングサービスなども用意する。

 CONNEXIVEの核となっているのはシステム基盤である。このシステム基盤には、M2Mサービスの共通機能やサービスアプリケーションのためのAPI、デバイスインタフェースの差異を吸収する機能が具備され、各種デバイスの接続や多様なサービスの構築が可能となっている。さらにこのシステム基盤をクラウドサービスとして提供するため、迅速にM2Mサービスを実現できる。

 NECでは本CONNEXIVEを基軸にM2Mサービスを国内にとどまらずグローバルで展開していく。豊富に蓄積された業種ノウハウを活用し、様々な事業分野(公共、交通、流通、医療、農業など)でM2M事業を遂行していく計画だ。これにより、各分野におけるサービス連携や、事業分野をまたがった複合的なサービスも今後展開できると考えている。

 さらに、標準化団体やM2Mコンソーシアムなどにも積極的に参加。標準的なインタフェースの策定に意欲的に取り組み、CONNEXIVEに接続されるデバイスおよびアプリケーションのインタフェースをオープン化することで、M2Mのサービスを広げていく考えだ。

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