シスコシステムズ 「モチベーション3.0」で社員の力を最大化 新しい価値創造に貢献するコラボレーション

シスコシステムズは2010年11月24日、「Cisco Collaboration Summit Japan」を開催した。企業が競争力を向上させるうえで今後カギを握るのは、社員1人ひとりの力を最大化するモチベーション3.0環境への移行。そして、その牽引役となるのがビデオやWeb2.0ツールの活用による「コラボレーション」であると訴えた。

 企業にとって最も大切な資源は「人」であるが、どうすれば企業は「人」が創造する価値を最大化できるのだろうか――。

 あらゆる経営者が抱えるこの課題への答えとして、シスコシステムズが提示するのが「コラボレーション」だ。2010年11月24日、同社はセルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)で「Cisco Collaboration Summit Japan」を開催。グローバル化時代に求められる新しい組織のあり方や、進化したコラボレーションエクスペリエンスについて紹介した。

「どこでもビデオ」の時代到来


シスコシステムズ 代表執行役員 社長 平井康文氏

シスコシステムズ
代表執行役員 社長
平井康文氏

 「いかにモチベーション3.0に移行するか」。平井康文社長による基調講演は、ダニエル・ピンク著の『モチベーション3.0』の話題から始まった。信賞必罰による動機付けはルーチンワークには高い効果を上げるが、創造的な仕事においてはむしろマイナスであり、内面から出る「やる気」をいかに引き出すかが重要であることを同書は科学的データを用いて説いてベストセラーになった。社員1人ひとりが自律的にクリエイティビティを発揮できる環境が、ひいては企業に競争力をもたらすのである。

 では、どうしたらモチベーション3.0環境に企業は移行できるのか。そのカギとなるのが、SNSやTwitter、YouTubeなどのWeb2.0ツール、コミュニケーション技術の進化、端末の多様化などだという。

 「こうした新しいインターネットの価値を利用した参加型の組織のことを私たちは『ダイナミックネットワーク組織』と呼んでいます。これは、社員の持っているポテンシャルを最大限に引き出すための新たな組織形態です。しかも、1企業だけの人材やノウハウだけでなく、サプライヤーやパートナー、さらには顧客まで巻き込んだバリューチェーンの中で価値を創造していく新しい組織です」

 従来の組織は、上司の指令で部下が動くコマンド&コントロール型だ。対して、ダイナミックネットワーク組織では、より多くの権限を委譲された社員1人ひとりがイニシアティブを持ち、世界中に分散した社内外の人材とプロジェクトチームを作り、意思決定などを行っていく。

 ダイナミックネットワーク組織が機能するには、人事評価システムの整備など、さまざまな条件があるが、ツール面でいうと4つのフェーズに整理できるという。人と人を結びつける「Connect」、効果的・効率的な情報伝達の「Communicate」、内部・外部との協業・協調の「Collaborate」、情報共有・学習の「Learn」だ。例えばConnectで必要なのは、適切な担当者を探せるピープルディレクトリやブログ、その担当者の状況を把握するためのスケジューラやプレゼンスといったツールだ。ツールを適材適所で使うことも大事なポイントである。非同期通信である電子メールはコラボレーションには向いていない。

 平井社長が「コラボレーションを加速する大きなドライバーと確信している」としたのはビデオである。

 「ビデオを活用すれば、誰でもいつでもどこでも、さまざまなデバイスを通じてコラボレーションを実現できます。現在シスコの社員の40%は上司と別のロケーションで働いていますが、こうしたワークスタイルにおいてビデオを活用することは、生産性向上とコスト削減と同時に、機動力を増した意思決定、そして新しい価値創造を可能にします」

 グローバル化の時代にあって、最大の資源である「人」は各地に散らばっており、この分散した専門知識や経験をいかに有効活用できるかが企業にとっては決定的に重要である。ビデオは、そうした離れた場所にいる人材同士のコラボレーションを加速させる最適な手段なのである。

 実際にデモも行われた。まずはオフィス、社員の自宅、外部の協力会社、そして講演会場の4カ所をビデオでつないでのコラボレーションである。Androidスマートフォンにかかってきた内線通話で会議参加を求められた平井社長はiPadも取り出し、HD対応したWebExで資料共有などをしながらコラボレーションを行ってみせた。さらに注目のビジネスタブレット「Cisco Cius」も日本初お披露目。7インチ・500g弱のCiusなら、いつでもどこでもモバイルで、HDビデオによるコラボレーションが可能なことを示した。Ciusはシスコが開発した企業版SNS「Cisco Quad」も搭載する。

テレプレゼンスやWebExを使って、さまざまな場所にいる社内外のメンバーでコラボレーション。右はiPadの画面だ

テレプレゼンスやWebExを使って、さまざまな場所にいる社内外のメンバーでコラボレーション。右はiPadの画面だ

日本初お披露目となった「Cisco Cius」。HDビデオに対応し、モバイルでもハイクオリティなビデオ会議が可能に。通信方式はWi-Fiや3Gをサポートする

日本初お披露目となった「Cisco Cius」。HDビデオに対応し、モバイルでもハイクオリティなビデオ会議が可能に。通信方式はWi-Fiや3Gをサポートする

シスコの自社活用事例も紹介


アクセンチュア 経営コンサルティング本部 戦略グループ パートナー 中里剛氏

アクセンチュア
経営コンサルティング本部
戦略グループ
パートナー
中里剛氏

 基調講演に続いては、東京大学大学院経済学研究科の伊藤元重教授が登壇。「日本経済活性化の条件」と題して、将来の日本経済があるべき姿について講演した。そして午後のセッションはユーザー企業向けと販売パートナー向けの2つに分かれて実施。ユーザー向けセッションは、アクセンチュア経営コンサルティング本部戦略グループパートナーの中里剛氏による講演「Workforce of Oneを実現する『働き方変革』〜個々人の働き方リエンジニアリング & Managed Collaboration」でスタートした。

 中里氏は講演タイトルのManaged Collaborationについて、部署内なのか、部署をまたがったコラボレーションを強化したいのか等、「目指す成果を明確にする必要があるとの思いを込めた」という。また、「コラボレーションを仕掛けても余力がなければ成果につながりません」とし、不要な社内会議や移動時間、事務作業などの“仕事メタボ”を減らす「スマートな働き方への取り組みを両輪で回さなければならない」と強調した。さらにこれからのナレッジマネージメントの方向性の1つとして、「誰が最新の情報や専門性を持っているのか、KnowWhoという要素が大きくなってくると思っています」と語った。


シスコシステムズ 情報システム本部 本部長 廣崎淳一氏

シスコシステムズ
情報システム本部
本部長
廣崎淳一氏

 まさに、このKnowWhoという問題に長年直面してきたのが他ならぬシスコだ。150社を超えるM&Aを積み重ねてきた同社。「その強みは多様なカルチャーや経験を持った社員が数多くいることですが、それは同時に弱み、難しさにもつながっています」(同社情報システム本部本部長の廣崎淳一氏)という。誰がどういった経験や専門知識を持っているのかが分からず、人的なネットワークだけでコラボレーションを活性化させるのが難しかった。そこでシスコではビデオやWeb2.0ツールなど、さまざまなコラボレーションテクノロジーを自ら積極的に活用してきている。日本企業においてもM&Aは増えているが、廣崎氏はシスコが実際の経験から得たコラボレーションのポイントと価値などについて、講演で明かした。

武田薬品工業 事業戦略部 シニアマネジャー 沼田智氏

武田薬品工業
事業戦略部
シニアマネジャー
沼田智氏

 ユーザー向けセッションの最後を飾ったのは、武田薬品工業で事業戦略部シニアマネジャーを務める沼田智氏だ。同社はここ数年、急ピッチでグローバル化を加速させているが、そうしたなか、テレプレゼンスを東京、大阪、十三、シカゴ、ボストン、ロンドンに導入している。

 沼田氏は「64%の意志は非言語で伝達される」というある研究結果を紹介したうえで、「従来型のビデオ会議や電話会議、電子メールに依存してグローバル化を進めていくことに非常に危惧がありました」と説明。「出張をしなくてもフェース・ツー・フェースに近いコミュニケーションができる環境を作りたい」とテレプレゼンスの導入を決めたという。武田薬品工業は今後さらにテレプレゼンスの展開拠点を拡大していく計画だ。

 コラボレーション――。それは人々の力を最大化し、イノベーションを巻き起こす。シスコは今年度のテーマとして「Ignite Japan!」(燃え上がれ日本)を掲げるが、Collaboration Summitの来場者の多くが、心に火を灯して会場を後にしたに違いない。

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