シスコシステムズ   組織・地理的な壁を越えて編成する「仮想チーム」で持続的な競争優位を

現在のビジネス環境において、どうすれば持続的な競争優位を確立できるのか――。その答えとなるのが「ダイナミック仮想チーム」だ。ユニファイドコミュニケーションやビデオ会議などのテクノロジーの力により、あらゆる重要なビジネス局面で世界中の経験豊富な人材からなる「最強チーム」の編成が可能になる。

 ビジネスの成功の源とは何か――。

 知識が唯一の競争資源となる「知識社会」がポスト資本主義社会として到来すると予見したのはP・F・ドラッカーだったが、現代にあっては、経験豊富な人材の専門知識と努力の集積、それこそがビジネスの成功を生み出す源泉と言えるだろう。ここでは、そうした知識のことを「経験的知識」と呼ぶことにする。

 経験的知識とは、例えば、長年の経験を持つマネージャーのプロジェクト管理の知識、ベテランエンジニアのトラブルシューティングの知識、熟練工の加工知識などのことだ。記述や体系化が難しく、OJTや実習などの体験を通じて身に付いていくものである。企業が持続的な競争力を確立するうえで、経験的知識は最も重要な役割を果たす。

人材難を乗り越える

シスコシステムズ
エンタープライズ マーケティング
マーケティングマネージャー
佐々木明夫氏

   ところが今、多くの企業において、この競争力の源泉が危機に瀕している。

 過去10年の間に、人材をめぐる状況は大きく変化した。1つは、経験豊富な人材の引退である。日本でも、団塊世代が定年を迎え始めて久しい。

 さらにビジネス環境そのものの変化も、経験的知識の集積を難しくさせている。グローバル化が進むなか、経験豊富な人材は世界各地の拠点に分散していった。また、コアコンピタンスへの集中、効率化やスリム化の旗印の下、経験的知識は少しずつ組織内から失われていった。もはや1つの組織内だけでは、現在のビジネス競争を勝ち抜くのに必要な経験的知識は確保できない。

 そこで必要となっているのが、自社の組織内だけでなく、サプライヤーやパートナー、コンサルタントといった外部組織も含めたエコシステム内の経験的知識を、リアルタイムで効果的かつ効率的に活用するための方策である。Web 2.0、IPコミュニケーション、ビデオテクノロジーなどの登場が、その実現を今では容易にしている。

 例えばシスコでは、調達、エンジニアリング、テクニカルサポートなど、特定分野の専門知識をいくつかの拠点で集中管理するという人材管理戦略を採用し、こうした専門知識をIPネットワークを介してさまざまなビジネス局面にグローバルに適用できるようにしている。「その成果は素晴らしいものです」とシスコ日本法人の佐々木明夫マーケティングマネージャーは語る。「競争上、重要な局面において、常にエースカードを置くことができる」からだ。

分散した力を仮想チームで集約

図表 ダイナミック仮想チームと仮想ワークプレイス
組織や地理的な境界を越えて編成されるダイナミック仮想チームは、プロジェクト責任を持ち、意思決定を行う「コアチーム」と、専門分野に関する知識を提供する「拡張チーム」から構成。IPネットワーク上の仮想ワークプレイスで、共同作業を行う

   社内外にわたるエコシステム内の経験的知識を最大限に活用するメカニズムを作るうえで、カギとなるのはダイナミック仮想チームと仮想ワークプレイスだ。

 ダイナミック仮想チームとは、既存の組織の枠を越えて、特定のビジネス状況に対応するために編成されるチームのこと。そのビジネス状況に対する責任を持ち、意思決定を行う「コアチーム」と、必要とされる経験的知識や専門技能を提供する「拡張チーム」で構成される。拡張チームのメンバーが持つ多様な専門分野の経験的知識を適用することで、コアチームは意思決定の質とスピードを飛躍的に向上させることが可能になる。ちなみに、コアチーム、拡張チームという役割は必ずしも固定的なものではない。例えば佐々木氏の場合、勤務時間の8割は拡張チームのメンバーとして、2割はコアチームのメンバーとして働くというのが平均的な1日だという。

 仮想ワークプレイスは、ダイナミック仮想チームのメンバーが共同作業するためのIPネットワーク上の“場”のことだ。具体的には、ユニファイドコミュニケーションやWeb会議、テレプレゼンス、WiKiなどのコラボレーションツールにより、仮想ワークプレイスは実現される。移動のための時間やコストの必要なしに、組織的・地理的に分散したメンバーたちが仮想ワークプレイスには集まれるため、あらゆる国や地域、あらゆるプロジェクトにおいて強いチームを編成できるのである。

 また、仮想ワークプレイスは、経験的知識を学習する場としても機能する。経験的知識は、直接的な体験によって修得されるものだ。そのため従来型の組織では基本的に、その部署内に閉じた形でしか経験的知識は伝承されない。対してダイナミック仮想チームの場合、仮想ワークプレイスにおいて、社内外のさまざまな専門家の経験的知識を直に学ぶことができる。例えてみれば、師匠が数多くいるようなものだ。経験的知識を拡大させていく場としても有用なのである。

中核業務から段階的に導入を

シスコシステムズ日本法人の本社オフィス。フリーアドレスを採用しており、今参加している仮想チームのメンバーの近くに座ったり、柔軟な働き方が可能になっている。

シスコでは会議室だけでなく、オフィスフロアにもテレビ会議システムを設置している。そのため世界各地のメンバーを加えたミーティングもすぐに始められる。

   さて、それでは実際にダイナミック仮想チームを導入していくうえでは何がポイントとなるのだろうか。

 まず不可欠なのは、当然ではあるが、会社の上層部が継続的に支持を与えることである。ダイナミック仮想チームに最適な人材を参加させるためには適切な評価や報償などを提供する必要があるし、また成功するまでにはさまざまな困難に直面する場合もあるからだ。

 小さい規模から開始し、段階的に拡大していくことも大切である。最初にダイナミック仮想チームを導入する分野としては、例えば新商品開発など、その企業にとって中核的な業務が適している。その理由は「複雑さが増していて異なる知識領域の統合が必要とされている」、「競争力を維持するためにはチームメンバー間の広範な対話、豊富な経験、迅速な実行が必要とされている」といった、共通の特徴が中核的業務にはあるからだ。ダイナミック仮想チームの導入効果が大きな分野から始めることで、組織全体への浸透がスムーズに進む。

 段階的な導入が望ましいのは、コラボレーションインフラの面――IT投資についても言えることである。「最初にすべてのIT投資をする必要はありません。社員の成熟度に合わせて、コラボレーションツールを徐々に提供していくことが重要だからです」(佐々木氏)。まずは、ユビキタスな接続を可能にするIPネットワークやVoIPを実現し、その次にWebベースの会議システムやコラボレーションツール、そして高度なWeb 2.0ツールやビデオテクノロジーと発展させていくというのが、シスコが推奨するロードマップだ。

 従来のIT投資の多くは、業務プロセスの効率化・自動化を図るためのものだった。一方、ダイナミック仮想チームの導入で獲得できるのは、企業競争力の本質的な源泉である。

 テクノロジーの進化が、ダイナミック仮想チームを可能にした。今、ダイナミック仮想チームへの取り組みを開始するか否かで、企業の中長期的な競争力は大きく変わってくるに違いない。

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