アドビ システムズ Adobe AIR Android&iOS向けアプリ開発の課題とは? 「Adobe AIR」なら劇的コスト削減

スマートフォン/タブレットが目覚しいスピードで普及するなか、アプリ開発の現場は重大な課題に直面している。それはAndroidとiOSというネイティブの開発言語が異なる2大モバイルOSにいかに効率よく対応するかという問題だ。その答えとなるのは「Adobe AIR」――。開発コストを従来の半分に削減できた事例もある。

 予想をはるかに超えた勢いで普及するスマートフォン/タブレット――。この波をいかにうまく乗りこなすかは、すべての企業において重要な経営課題となっている。

 コンテンツ/アプリ販売ビジネスという視点は、そのごく一部に過ぎない。マーケティングや顧客満足度の観点でも、その影響力はどんどん増していくだろう。さらに、高機能なこれらモバイルデバイスをどう活用していくかは、企業が生産性向上を図るうえでも大切なカギだ。

 あらゆる企業がスマートフォン/タブレット時代の到来と無関係でないわけだが、当然、PCがITの主役だった従来とは異なる点がいくつかある。なかでもポイントとなるのがアプリ開発だ。

スマホ向けアプリ開発の課題とは?


轟啓介氏

アドビ システムズ
マーケティング本部
ディベロッパー
マーケティング
スペシャリスト
轟啓介氏

西山正一氏

アドビ システムズ
マーケティング本部
クリエイティブ
ソリューション 第2部
部長
西山正一氏

 PCの世界ではWebブラウザ上で動くWebアプリケーションへの移行も進展しているが、スマートフォン/タブレットでは逆にアプリが復権している。その理由の1つは、PCと比べてスクリーンサイズや通信環境など、様々な面で制約があることだ。軽快かつリッチなユーザー体験を実現するには、アプリのほうが適している。

 ただ、ここに大きな課題がある。それはアプリの場合、プラットフォームごとの開発が原則として必要になるからだ。モバイルOSの2強といえばAndroidとiOSだが、AndroidはJava、iOSはObjective-Cとネイティブの開発言語が異なっている。そのため同じアプリをAndroidとiOSに提供するには、コンセプトなどは転用できるにしても、まったく別々にコードを書かなければならない。

 英国に本社を置く開発会社、Golden Gekko社は商用モバイルアプリの開発費の目安を公表しているが、その額はシンプルなアプリの場合でAndroid向けが1800〜3000万円、iOS向けが1200〜2400万円。「スマートフォン/タブレットは画面サイズも小さいからアプリの開発費は安いのでは?」というイメージを持たれている方もいるかもしれないが、そのようなことはない。結構な開発費が必要なことが理解できるだろう。まして、AndroidとiOSの両方に対応させるとなると、ROI(投資収益率)は非常に厳しくなる。

Android&iOS向けの開発コストが半分に


 そこで今、脚光を浴びているのが「Adobe AIR」だ。AIRは、複数の異なるプラットフォーム向けアプリのための開発/実行環境である。AIRを活用すると、容易にクロスプラットフォームに対応できてしまうのだ。基本的には1つの共有ソースコードを書けばよく、あとは各プラットフォーム向けにユーザーインターフェース(UI)などを最適化するだけでいい。

図表1 ソースコードの共有が可能なAIRアプリケーションの構造

図表1 ソースコードの共有が可能なAIRアプリケーションの構造

 このことは、どれほど劇的な効果をもたらすのだろうか。アドビ システムズの轟啓介氏は、AIRによりAndroid向けとiOS向けのアクションゲームを同時リリースした米Woven Interactive社のケースを紹介する。

 「同社の場合、Android向けとiOS向けのコードの差はスクリーンサイズの違いを吸収するための部分のみで、数分の作業で済みました。そのためネイティブで開発するのと比べて、開発コストを45%もカットできたそうです」

 アプリは一度作れば終わりではない。その後のメンテナンスやサポートも重要だが、これらも含めるとトータルでは50〜60%のコスト削減になるという。

 AIRが現在サポートするプラットフォームは、モバイルがAndroidとiOS、BlackBerry Tablet OS、PCがWindowsとMacintosh、さらにスマートテレビにまで対応している。開発ツールについてはFlash ProfessionalやFlash Builder、Flexなど、すでに数多くの開発者に親しまれた環境を利用可能だ。「Flash系のスキルをもった方は何百万人といますが、その方たちがAIRならそのままアプリを開発できます」とアドビ システムズの西山正一氏は説明する。

 AIR向けの開発ツールのうち轟氏が「一押し」と推薦するのはFlash Builder 4.5とFlex 4.5 SDKの組み合わせである。モバイル向けの場合、ボタンサイズやインタラクションなど、PCとは違った作法が求められるが、Flex 4.5 SDKにはモバイル対応のフレームワークが用意されており、「細かいことを気にしなくても、スマートフォン/タブレット向けアプリを開発できてしまいます」という。

轟氏の連載「Flexで作るAndroidアプリ開発チュートリアル」

轟氏の連載「Flexで作るAndroidアプリ開発チュートリアル」では、モバイルアプリの開発方法をチュートリアル方式で初心者にも分かりやすく解説している

パフォーマンスも機能も問題なし!


 このようにスマートフォン/タブレット向けアプリの開発コストを大幅に削減できるAIRだが、ネイティブ環境で開発するのと比較して、何か欠点はないのだろうか。

 まず気になるのはパフォーマンスかもしれない。複数のプラットフォームに簡単に対応できるといっても、アプリがサクサク動かないのでは意味がない。

 この点について轟氏は「ネイティブアプリがパフォーマンスで最強なのは間違いありません」と認めたうえで、「しかし、通常のアプリであれば、AIRもまったく問題なくサクサク動きます」と太鼓判を押す。処理スピードを測る指標の1つにfps(1秒当たりに処理されるフレーム数)があるが、モバイルでは一般的に30fpsもあれば十分と言われている。これに対してAIRのパフォーマンスはどのくらいなのか。今年6月に正式リリースされたバージョン2.7でスマートフォン/タブレット向けのパフォーマンスチューニングがなされたことで、AIRは30fpsを余裕でクリアしている。そのため、3Dをふんだんに使ったアプリなどでなければ、まず処理スピードに不満を感じることはないだろう。

図表2 バージョン2.7で大幅に向上したAdobe AIRのパフォーマンス

図表2 バージョン2.7で大幅に向上したAdobe AIRのパフォーマンス

 もう1つ心配すべき点があるとすれば機能面だ。ネイティブアプリでは実現可能だが、AIRではできないことはあるのか。

 AIRの基本思想は「最大公約数」である。多くのプラットフォームが共通に搭載する機能は最優先でサポートするが、特定のプラットフォームにしかない独自機能に対する優先度は低くなる。個々の環境に依存しないクロスプラットフォーム向けの開発/実行環境なのだから、これは当然といえるだろう。そのため、基本的なAPIはもちろん網羅されているものの、ネイティブアプリにはできて、AIRにはできない機能も一部だが確かにある。例えばmicroSDカードだ。現在のところAIRではmicroSDカードを利用したアプリは作ることができない。AndroidはmicroSDカードスロットをサポートするが、iOSはしないためである。

 しかし間もなく、この点も解決される。もうじきベータ版が公開予定のAIR 3.0にネイティブ拡張という新機能が実装されるからだ。これは、AIRアプリ上から外部プロセスを利用するための機能。ネイティブアプリと連携することで、AIRがサポートしない機能を実現することなどが可能になる。「3.0が登場すれば、AIRにできないことはなくなります」(西山氏)。

 AIRがAndroidとiOSの両方をサポートしたのは2010年10月のことだ。まだそれほどの時間が経ったわけではないが、App StoreやAndroid Market上にはすでにAIRを使ったアプリが数多く溢れている。クロスプラットフォームに対応した開発/実行環境がどれほど待ち望まれていたかがよく分かる。

 現在はAndroidとiOSの2強だが、Windows Phoneなど、まだまだモバイルOS市場の勢力争いは予断を許さない。3つ巴、あるいはそれ以上となれば、クロスプラットフォーム対応の必要性はさらに高まる。加えてモバイルだけでなく、これからもPCは重要なデバイスであり続けるのだから、モバイルとPCの両方に対応させたいというニーズも増えていくだろう。

 スマートフォン/タブレット時代が本格化すればするほど、AIRの果たす役割は大きくなっていきそうだ。

「Adobe MAX 2011 in Los Angeles」

アドビ システムズは2011年10月1日〜5日、「Adobe MAX 2011 in Los Angeles」を開催する。アドビが描くビジョンや製品に関する最新情報などを紹介される、見逃せないイベントだ。特別価格のツアーも準備され、日本からも参加できる

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