シスコシステムズ Cisco Virtual Managed Service(vMS)ソリューション シスコのサービスプロバイダ向けNFV/SDN クラウドからネットワークまで完全自動制御

サービスプロバイダにとって“真に使えるNFV/SDN”とは──。シスコシステムズが目指すのは、クラウドからネットワークまでエンドトゥエンドでサービス展開を自動化できる基盤を構築することだ。データセンター内に限定された取り組みがまだ多いなか、シスコはWANやCPEまでカバレッジを広げるNFV/SDNソリューションを提供している。

 ソフトウェア制御によって迅速にネットワーク構成を変更できるSDN (Software Defined Network)と、各種ネットワーク機能を仮想化するNFV(Network Function Virtualization)。これを自社のビジネスに活かして競争力を高めたいというサービスプロバイダ(SP)は多いはずだ。

 しかし、現在のNFV/SDNの多くはデータセンター内に閉じているため、まだ実用レベルに達していないと判断するSPも多い。NFV/SDNをビジネスに活かせるようにするには、キャリアグレードの機器もソフトウェア制御の対象とし、WANやCPEもカバレッジに含めていく必要がある──。これが、シスコが考えるNFV/SDNのあるべき姿だ。

 そのため、シスコのNFV/SDN戦略は、一般的なNFV/SDNに比べて対象エリアが広い。ポイントは次の4点だ。

 第1は、マルチドメイン、マルチレイヤをまたいだオーケストレーションである。これにより、ネットワークのすべての要素の制御を集中化・自動化できるようになる。第2は、モジュラーアーキテクチャの採用により、各モジュール同士がオープンなAPIと標準プロトコルで緩やかに連携していることだ。

 第3は、既存のOSS/BSSとシームレスに統合できること。従来のスキームをそのまま生かしつつNFV/SDNに移行できる。そして第4が、モデル駆動型のメカニズムの採用により、運用オペレーションを簡素化できることだ。

クラウドとネットワークを統合 サービス展開の完全自動化も可能に


 この戦略を具現化したソリューションが「Cisco Virtual Managed Service(vMS)」だ。SPがマネージドサービスを提供するためのプラットフォームとなるもので、クラウドサービスとネットワークサービスを統合し、顧客に対してサービスの可視化やサービス制御をセルフサービス型で行えるポータル機能を提供、エンドトゥエンドでのサービス展開を自動化する(図表1)。

図表1 vMS - マネージドサービスを提供するためのプラットフォーム

図表1 vMS - マネージドサービスを提供するためのプラットフォーム

 これによって、顧客サイトに設置されたCPEを、SPのデータセンター内で動く仮想サービスと連携させ、ネットワークサービスを柔軟かつ迅速に提供できるようになる。仮想サービスの立ち上げや各種設定、サービスチェイニングだけでなく、CPEの設定や、CPEと仮想サービスをつなぐネットワークトポロジの制御まで、全て自動化できるからだ。

 このvMSは、先述の戦略に基づいた次の4つの特徴を備えている。

[1]オープンかつモジュラリティの高い製品群の提供

 vMSは、オーケストレータの「Cisco Network Service Orchestrator(NSO)」、VNFコントローラである「Cisco Elastic Services Controller(ESC)」、そして仮想サービスを仮想的なトポロジでチェイニングする「Cisco Virtual Topology System(VTS)」で構成されるが、これらはいずれも、ETSIのMANOフレームワークの各構成要素に対応する。重要なのは、すべてをシスコで統一する必要がないことだ。NSO、ESC、VTSは標準化された外部向けインターフェースを使用しているため、一部を他社のものに置き換えてもよい。

※ETSI:European Telecommunications Standards Institute、欧州電気通信標準化機構

[2]多様なネットワーク機器のサポート

 NSOは多様なネットワーク機器のプロビジョニングやコンフィグレーションの自動化が可能なため、SPは既存の機器をそのまま利用できる。

 さらにCPEの選択肢も広く、多様な顧客ニーズに対応しやすくなる。Cisco ISRのようなリッチな機能を求める顧客、最低限のL3 CPE機能だけで構わないという顧客、あるいはオンプレミスにはL2スイッチだけを設置したいというケースなど、多様なニーズに対応することも容易になる。

[3]データモデルをベースにしたサービス定義

 NSOはYANGベースのモデル駆動型アプローチを採用しており、複雑な内容もシンプルな形で表現できる。

 NSOではモデルをサービスモデルとデバイスモデルに分割することで、ネットワークサービスを抽象化している。事前にモデルを定義しておけば、どのサービスモデルに基づいてサービスを展開するのかを指示するだけで、NSOがデバイスモデルとのマッピングを行い、設定内容の生成とデプロイを自動的に実行、サービスを立ち上げられる。

[4]仮想サービスの自律的なライフサイクル管理

 OpenStackのようなクラウド管理ソフトウェアを活用すれば、仮想サービスを自動的に立ち上げることは可能になるが、仮想サービスの自律的な管理を実現したいのであれば、この程度の機能だけでは不十分だ。仮想マシンを立ち上げた後も、その上で動く仮想サービスの設定、稼働状況のモニタリング、発生イベントの分析とそれに対応した処理の実行等、ライフサイクル全体を視野に入れた管理が必要になる。

 これを可能にするのがESCだ。ESC はOpenStackと連携して、ライフサイクル管理までを自律化させる。自律的な管理に必要な各種定義はXMLで記述可能。またVNF側に特別なエージェントを必要としない点も大きな特徴だ。

ドイツテレコムがCloudVPNに採用 中堅中小向け新ビジネスを開拓


 シスコは2015年4月に「vMS Release 1.0」をリリースし、すでにドイツテレコムが、中堅中小企業向けの「CloudVPN」のサービス提供に活用している。レンタルCPEとクラウド上の仮想サービスの組み合わせでVPNに必要な機能を提供するというものだ。顧客がWebポータルでサービスを注文するとCPEが配送され、開梱しプラグインするだけで自動的にサービスが開通する。

 その仕組みを示したのが図表2だ。

図表2 vMS1.0:CloudVPN(ISR)CPEユースケース

図表2 vMS1.0:CloudVPN(ISR)CPEユースケース

 「テナントポータル」で入力されたオーダー情報がNSOに伝達され、NSOはその内容に従って、ESCとOpenStackを経由してデータセンター上で仮想サービスを立ち上げ、これらをチェイニングする。さらに、顧客が求めるサービス内容に合わせて各仮想サービスのコンフィグレーションを実行する。

 顧客サイト側でCPEが接続されると、CPEはNSOが用意したPnP(プラグ&プレイ)サーバにコンフィグレーション内容の問い合わせを行い、その内容に従って自分自身の設定を実行、データセンター内の仮想サービスと接続する。

 注目すべきは、これらの処理が完全に自動化されていることだ。オペレーションコストを最小化しながら、中堅・中小企業を対象にした新ビジネスの開拓に成功しているのである。

 この事例ではL3ネットワーク上でIPSecトンネルを使用したオーバーレイネットワークが構成されているが、2015年9月にリリースされたvMS 2.0ではMPLSも利用可能になる。また今後は、LISPを使ったメッシュ型ネットワークも構成可能になる予定だ。

 さらに、vMS 2.0は前述のVTSにも対応する。オープンなプロトコルであるMP-BGP EVPNを使用してVXLANオーバーレイのトポロジを構成できる。このプロトコルに対応したサードパーティ製品も将来的にサポート可能だ。VTSにはフォワーダの機能も含まれ、これを利用すれば1コアで10Gbpsという高速なフォワーディング処理が可能だ。また、アンダーレイにL3ネットワークが利用できるため、問題発生時の切り分けやロードバランシングも行いやすい。

 このようにシスコのvMSは、多様な機器、多様なソフトウェアを組み合わせることで、幅広いマーケットセグメントに対応できるように配慮されている。現時点では中堅・中小企業をターゲットにしたものが主流だが、vMS 2.0の登場で大企業向けサービスでもより活用しやすくなるだろう。

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