日本電業工作 長距離無線LANシステム「FalconWAVE(R)」 高性能アンテナと省電力性で用途拡大 観光地や防災拠点のWi-Fi化を後押し

数十km離れた地点を無線でつなぎ、安定した高速通信を実現する長距離無線LANシステム。そのトップメーカーである日本電業工作から、Wi-Fiサービスを迅速かつ低コストに展開できる新製品が登場した。太陽光パネル一体型で自立運転可能なシステムも提供。政府が取り組む観光地や防災拠点のWi-Fi整備を後押しするソリューションとなりそうだ。

 無線LANを活用しようとする取り組みが全国各地で進んでいる。最近では、観光スポットや防災拠点における情報通信インフラとして無線LANの整備を進める動きが活発だ。

 無線LANには、通信事業者の携帯電話サービスに依存せず、設置・運用者が独自の通信回線として使えるメリットがある。また、山間部などの携帯エリア圏外でも、そして携帯電話サービスが輻輳で使えない災害時でも無線通信が行える。そのため、訪れた観光客に対して地元の魅力を伝えたり、災害時に避難住民・帰宅難民への災害情報の発信や安否確認に用いるなど、さまざまな用途が期待されている。

長距離・省電力無線通信で 観光地や防災拠点をWi-Fi化


 こうした無線LANの整備と用途拡大に貢献するのが、日本電業工作の長距離無線LANシステム「FalconWAVE」だ。2.4GHzまたは4.9GHzの周波数を使う長距離無線LANで離れた地点を中継する「バックホール機能」を有し、光ファイバー等の敷設が困難な場所でも、通信網を短期間・低コストに構築できる。4.9GHzを使う「FalconWAVE 4.9G-MP」と、2.4GHzを使う「FalconWAVE 2.4G」があり、前者は最大30kmの長距離通信が行える(1対1通信の場合)。従来の5GHz帯を使ったバックホール回線では、数km程度しか伝送することができないが、FalconWAVE 4.9G-MPでは干渉の少ない11j規格を使用して、さらに長距離通信に特化した設計により安定した伝送(30kmで7Mbps)を確保することができる。後者のFalconWAVE 2.4Gも6kmまでの伝送が可能だ。また、1対4のマルチポイント伝送(4.9GHzが最大16km、2.4GHzが最大880m)にも対応している。

 長距離無線LANシステムは他ベンダーからも提供されているが、FalconWAVEは長距離・大容量伝送が可能なことに加え、高利得・高指向性アンテナを採用しているため設置・運用が簡便な点も高く評価されている。4.9GHz帯平面アンテナは17.5cm四方と小型ながら、利得19.5dBi、半値幅は18度と高い性能を有する。そのため運搬・設置、位置合わせが容易で、かつ、設置後にアンテナの向きが多少ずれても影響を受けにくい。こうした特長から、離れた場所にある事業所をつなぐLAN構築や、河川・山間部の通信網整備など多様な場面で採用されてきている。

 日本電業工作は、ユーザーの用途に応じたさまざまな機能を一体化したFalconWAVEによるソリューションを開発・提供している。浅間山での火山映像伝送実験では、浅間山と詰所間の若干木にかかった約10kmでも高品質な火山の噴煙画像伝送(最大10Mbps)を実現している(図表1)。

図表1 浅間山での火山映像伝送実験の概要

図表1 浅間山での火山映像伝送実験の概要

災害時のBCP対応に有効 拠点通信とWi-Fiエリア構築を1台で


 冒頭に挙げた観光地のWi-Fiエリア化や防災対策ニーズに応えて開発、この春から販売を開始したのが「FalconWAVE 4.9G Wi-Fiプラス」(図表2)と「Wi-Fi防災灯」だ。

図表2 FalconWAVE 4.9G Wi-Fiプラス

図表2 FalconWAVE 4.9G Wi-Fiプラス

 1つ目の新製品であるFalconWAVE 4.9G Wi-Fiプラスは、前述の4.9GHzによるバックホール機能と、Wi-Fiアクセスポイント(Wi-Fi AP)機能を一体化したものだ。複数拠点を結ぶ基幹網を構築すると同時に、設置場所の周辺をWi-Fiエリア化することが可能だ。端末の有る方向に電波を集中して送受信するビームフォーミングによって、半径500m程度まで安定した通信が行える。

 日本電業工作の事業開発部長・マーケティング室長を務める藤本直樹氏は、「大規模災害を想定したBCP対応で、この製品が非常に注目されている」と話す。災害対策本部が置かれる市役所や消防署、大規模ビルやマンション、学校等の施設を4.9GHzで中継。かつ、それらの施設周辺は避難場所となるため、Wi-Fiエリア化して最新の災害情報を配信できる(図表3)。もちろん通常時は、フリーWi-Fiサービスや商業施設の活性化等にも役立てられる。

図表3 都市災害対策での利用イメージ

図表3 都市災害対策での利用イメージ

 もう1つの「Wi-Fi防災灯」は、バックホール機能とWi-Fi APに加え、太陽光パネルとバッテリー、照明も一体化した製品だ(図表4)。低消費電力なFalconWAVE 2.4GとWi-Fi AP機能、IPカメラをワンパッケージにした「マルチカメラ監視mini」に自立電源を組み合わせることで、電源が確保できない場所でも容易に基幹網の構築とWi-Fiエリア化が可能になった。太陽光パネルで、通信機能、カメラ、照明のすべての電力を賄える。

図表4 Wi-Fi防災灯

図表4 Wi-Fi防災灯

 例えば公園等で、光ファイバーが敷設されている事務所から2.4GHzで4台までのWi-Fi防災灯を中継すれば、通信ケーブルも電源設備も不要で、カメラ監視とWi-Fiも使える防災照明灯が設置できる。

IoT支える通信インフラにも 自立電源でカメラ監視を運用


 太陽光で完全な自立運用が可能なため、FalconWAVE 2.4Gは防災対策以外にも多様な場面に適用できる。

 まず有望視されるのが、外国人客の誘致に向けてWi-Fiサービスの整備を進めている観光地だ。国立公園や観光スポットは、電源・配線工事等が規制されているところも少なくない。そのため観光客向けのWi-Fiサービスを諦めていた地域でも、FalconWAVE 2.4Gなら通信網を構築してWi-Fiサービスを提供することができる。

 大規模・広域施設において、カメラやセンサーで侵入者を監視・検知するセキュリティシステムを構築する場合、通信と電源の確保が課題となるが、前述のマルチカメラ監視miniなら、それを一気に解決できる。

 熊本県の白鷺電気工業では、太陽光発電施設にマルチカメラ監視miniを導入、2メガピクセルの高画質で死角のない360度の監視ができるシステムを自立電源で運用している。また、藤本氏によれば、侵入者を見張る赤外線センサーとカメラが連動するセキュリティシステムも他の施設で運用中という。センサーが侵入を検知すると担当者の携帯電話にSMSで通知し、同時に監視カメラを検知した場所に向ける。センサーは誤検知が多いが、蓄積した録画も含めてカメラ映像で現場状況を確認できる。監視員が常時モニタリングする必要がなくなり、また現場に駆けつける前に状況を把握できる。

 今後は、火山や河川等の監視・観測現場での需要もさらに高まると期待される。現場の映像を遠隔地からリアルタイムに確認できるようになるほか、現場周辺をWi-Fiエリア化すれば、作業員がスマートフォンやIPトランシーバーを使い、遠隔地の本部と現場が密に情報を共有できる。

 このように用途やニーズに応じた機能を組み合わせることで、FalconWAVEの活躍の場はますます広がりそうだ。

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日本電業工作株式会社
TEL:03-6812-1415
【製品詳細】
URL:http://www.den-gyo.com/solution/solution03_b_k.html