NEC Wi-Fiアクセスポイント付LED照明 無線LAN導入の配線工事を簡易化 観光施設や店舗の公衆Wi-Fi整備を支援

公共交通機関や観光施設、店舗、企業オフィスなどさまざまな場所で無線LANの導入が進んでいる。この動きを加速させるソリューションをNECが開発した。無線LAN導入に当たって課題となる電源やLAN配線の工事費用を大きく削減。無線LANをベースに多様なサービスを展開するためのアプリケーションと合わせて提供している。

 無線LAN(Wi-Fi)を快適に利用するためには、無線LANアクセスポイント(無線AP)そのものの性能・機能もさることながら、無線APを取り付ける位置とネットワークの設計が重要になる。障害物によって電波が遮断されたり、電波干渉によってパフォーマンスが劣化することのないように適切な設計・設置を行うことで、使い勝手は向上し、稼働後のメンテナンスの手間も減る。

 では、無線APの設置場所として最適なポイントはどこだろうか。

 考慮すべき点はいくつもある。(1)電波を広いエリアに放射するのに適したロケーションであること。(2)電源が確保しやすいこと。(3)既設ネットワークに接続するためのLAN配線が容易なこと。さらに、(4)故障や盗難、いたずら等を防ぐために人の手が届かない場所を選ぶ必要もある。Wi-Fi環境の構築・整備に当たって、この設置場所選びに頭を悩ませている担当者は少なくないはずだ。

 これを解決するヒントは、実に身近な設備にあった。照明である。

 照明の設置場所は、上記の(1)(2)、そして(4)にまさに合致する。しかも、ちょうど今、既設の照明設備を省電力なLED照明にリプレースする動きが加速してもいる。

 「このLED照明に無線APを合体させて設置すれば、これまでの悩みが一気に解消できるのではないか」という着想から誕生したのが、2014年末にNECが販売を開始した「Wi-Fiアクセスポイント付LED照明」だ。

 公共交通機関や商業施設・店舗等で公衆Wi-Fiサービスを整備・拡充しようという機運が盛り上がるなか、それを後押しするソリューションとして導入検討が進んでいる。

電気代削減と合わせてWi-Fiも整備 “一石二鳥”のソリューション


 Wi-Fiアクセスポイント付LED照明の仕組みは次のようなものだ。

 構成はいたってシンプルであり、LED照明の裏側、つまり天井裏に当たる部分に無線APを一体化させて設置する。照明器具と無線APは、ユーザー企業・団体の既存設備に合わせて機種を選定して組み合わせることも可能だ。例えば、NECライティング製の照明器具に他メーカーの無線APを合体させることも、すべてNEC製で組み合わせることもできる。

 最大の利点は、無線APの設置と電源工事が不要になることだ。照明器具の取り替え時に一緒に取り付けるため、無線AP敷設工事の手間とコストが無くなる。電源も、無線APと照明で共用。LED化によって照明の消費電力が減り、その範囲内で無線APの電力は充分にまかなえるため、新たに電力線を配線したり、PoE給電を行う必要もない。

 また、施設内LANやインターネット等との接続については通常、無線APとルーターとの間をLANケーブルで接続する必要があるが、これも無線化することが可能だ。無線中継機能を持つWi-Fiルーターと無線APを用いることで、図表1のようにLAN配線も不要になる。もちろん、広帯域かつ安定した通信を実現したい場合には有線LANで接続することも可能だ。製品選定と設計の自由度を高くし、幅広いニーズに応えられるようにしている。

図表1 Wi-Fiアクセスポイント付LED照明

図表1 Wi-Fiアクセスポイント付LED照明

 このように、Wi-Fiの初期導入時にかかる手間と費用を削減することが、この製品を開発した狙いだ。NECによれば、工事にかかる初期導入コストを従来の7〜8割程度に抑えることが可能という。

 加えて、照明を設置する天井はWi-Fiの電波を発するのにまさに最高の場所だ。ユーザーとの間に遮蔽物がないため、無線APごとのカバーエリアを広くして、高い品質で通信ができるようになる。この仕組みを導入しているホテルでは、3つの無線APで20以上の客室をカバーしているという。導入コストを低く抑えられることに加えて、台数自体が少なくなればメンテナンスも容易になる。

 NECはWi-Fiネットワークの設計・構築技術とともに、照明設備に関しても、天井の高さや壁・床の色、光の拡散などに配慮した工事設計のノウハウを有する。その両方を活かして、LED照明による電気代の削減と高品質なWi-Fi環境の整備という“一石二鳥”のソリューションを提案し、照明と電波の特性を踏まえた事前設計を支援している。

 14年10月から鉄道事業者が主要駅のホームに設置して実証実験を行っているほか、公共施設や店舗、自治体、企業のオフィスでも導入に向けた検討が進んでいるという。店舗や公共施設においては前述のメリットだけでなく、無線APが照明の裏側に設置されて人目に触れないために、美観を損ねずにWi-Fi環境を構築できる点も評価されているようだ。

 なお、メンテナンスのしやすさにも配慮している。無線AP部分にはリモートで制御可能な製品を選び、障害時には遠隔でリブートするなどして作業を省力化できる。また、照明設備と無線APでは耐用年数が異なり、短くとも10年以上は使い続けるLED照明に比べて、無線APは数年で更改のタイミングを迎えるが、その場合でも、無線APのみを新機種に取り替えられる構造にしている。

災害対策や観光客向けサービスにも 多目的に活用するアプリも提供


 NECは、本製品で敷設した照明・Wi-Fiを多目的に活用するためのソリューションも合わせて提供している。いくつか例を紹介しよう。

 1つ目が、緊急地震速報と照明の連動だ(図表2)。LED照明の調光・点滅・調色を制御する機能を搭載した場合(オプション)、これを緊急地震速報機器等と連動させることが可能になるのだ。地震が発生する前に照明の点滅や色の変化で注意を促したり、避難口の方向を示すように照明を順番に点灯させる(ライン点灯)ことができる。地震速報だけでなく、火災報知器の信号や自治体の津波警報等との連動も可能だ。

図表2 緊急時の照明制御のイメージ

図表2 緊急時の照明制御のイメージ
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 公共施設や交通機関にこの仕組みを導入すれば、通常時は来訪者に無料Wi-Fiサービスを提供しながら、非常時には安全を確保するための災害対策にも利用できる。ある企業のオフィスでも、社内LANの無線化を第一の目的としながら、地震速報との連動も検討している例があるという。

 もう1つ、多様な情報配信やサービス提供を行うプラットフォームとしてWi-Fiを使うためのソリューションも用意している。政府が訪日外国人を年間2000万人に増やすという目標を掲げている2020年に向けて、外国人観光客向けのサービスにWi-Fiを活用する動きが本格化すると予想されるが、これにフォーカスした「観光アプリ」である。

 NECはこれまでも複数の自治体に「観光アプリ」を提供し、ICTを活用した観光客誘致の取り組みを支援してきた。「観光アプリ」とは、観光客がスマートフォンにインストールして用いるもので、地域の観光情報を閲覧したり、店舗で使えるクーポンなどを提供するものだ。

 また、外国人への接客の質を向上させたい店舗や観光施設向けに、リモート通訳サービスも提供している。外国人観光客の接客を行う場合に、スマートデバイスとビデオ会議を使って通訳者がリモートから会話をサポートするものだ。接客業務の負荷を軽減しつつ、来客の満足度向上にも貢献する。

 NECは今後、Wi-Fiアクセスポイント付LED照明をこのようなサービスと連携させ、様々なシーンで多目的に利用できる社会インフラとする取り組みを続けていく方針だ。

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