コア 準天頂衛星対応受信機「QZS+GPSシリーズ」 サブメーター級の高精度測位が実現! 準天頂衛星で位置情報ビジネスは新次元へ

2010年に打ち上げられた準天頂衛星「みちびき」は、位置情報ビジネスを“新次元”に導くものだ。サブメーター級の高精度測位が可能になるなど、衛星測位システムを大きく進化させるからである。2018年に予定される準天頂衛星システムの本格スタートに向けたサービス開発はすでに活発化しているが、この開発競争を力強く支援するのがコアの準天頂衛星対応受信機だ。
黒川涼氏

同 SE
黒川涼氏

額賀敏明氏

コア
エンベデッド
ソリューションカンパニー
ME営業統括部
GNSSビジネス担当
課長
額賀敏明氏

 私たちの生活にとって、すでに大変身近なテクノロジーとなっている衛星測位システム――。カーナビやスマートフォン対応のナビサービスなど、位置情報が普段の生活に欠かせなくなっている人は多いだろう。

 その衛星測位システムが今、進化を遂げようとしている。新時代の扉を開いたのは、2010年9月に打ち上げられた準天頂衛星の初号機「みちびき」だ。米国が運用するGPSに対して、準天頂衛星システム(QZSS)は日本独自の衛星測位システム。さらに3機の準天頂衛星が加わり、2018年4月から4機体制で本格サービスがスタートする計画だ。

準天頂衛星がもたらす2つの進化


 準天頂衛星は、衛星測位システムを2つの面で進化させる。1つはアベイラビリティ(可用性)の向上だ。

 衛星測位システムで正確な位置情報を算出するためには、4機以上の衛星から信号を受信する必要がある。しかし、GPS衛星は低い仰角に位置していることが多いため、場所や時間帯によってはビルや山林に阻まれ、4機以上の信号を受信できないケースも現状では少なくない。高層ビル街や山間部など、GPSの利用に支障があるエリアは意外に多いのである。

 準天頂衛星は第一に、この「GPSを利用できない」という課題の解決策となる。「準天頂」の名の通り、日本のほぼ天頂(真上)を通る準天頂衛星は、常に1機は日本の上空にいる。つまり、準天頂衛星から送信されるGPS互換の“補完信号”を利用することで、これまで必要なGPS衛星数を確保できなかった場所や時間帯でも測位できるようになるのだ。

 もう1つの進化は、高精度化である。GPSだけでは10メートル以上の誤差も発生するが、準天頂衛星からは1メートル弱の精度が可能なサブメーター級、さらにはセンチメーター級の測位を実現する“補強信号”が送信されているからだ。格段に高精度に位置を測定できるようになることで、自動車や農業用トラクターの自動走行、視覚障がい者向けの音声支援サービスなど、衛星測位の用途は“新次元”に突入する。

コアが神奈川県川崎市麻生区で実施した走行測位の実証実験結果

コアのR&Dセンター周辺(神奈川県川崎市麻生区)で実施した走行測位の実証実験結果。青線はコアの準天頂衛星対応受信機「QZS+GPSシリーズ」の測位結果、赤線は他社製GPS受信機での測位結果である。準天頂衛星のサブメーター級の高精度測位に対応したQZS+GPSシリーズは、正確に左車線を捉えていることが分かる

サブメーター級の高精度測位が可能なコアの準天頂衛星対応受信機


 こうした2つの進化により、どんな新しい位置情報活用サービスが生まれるのか。初号機みちびきを活用しての利用検証は早くも加熱しているが、多くの利用実証で採用されている準天頂衛星対応受信機がある。組込みシステム開発などで知られるコア社の「QZS+GPSシリーズ」だ。内閣府に正式採用され、一般財団法人衛星測位利用推進センター(SPAC)でも利用されているなど、同社の準天頂衛星対応受信機は高く評価されているが、当然これには明確な理由がある。

「CD311」 「QZNAVI」

コアは、準天頂衛星対応受信機「QZS+GPSシリーズ」として2つの製品を用意している。「CD311」(写真左)は、USB 2.0インターフェースを搭載し、付属ソフトウェアをインストールしたWindows PCに接続すれば、すぐに利用可能。また、「QZNAV」(写真右)はUSBに加えて、Bluetooth機能とバッテリーも内蔵しており、Androidスマートフォンとの組み合わせでも利用できる受信機だ。もちろん両製品ともGPSにも対応している

 最大のポイントは、サブメーター級の高精度測位を可能にするL1-SAIF信号に対応した受信機であることだ。準天頂衛星の役割は先述の通り、必要な数のGPS衛星が見えない場所や時間帯の“補完”と、GPS以上の高精度を実現する“補強”に大別できる。補完のための信号はL1-C/A、補強のための信号はL1-SAIFと呼ばれるが、実はほとんどの準天頂衛星対応受信機は、L1-SAIFには対応していない。つまり、サブメーター級の測位はできないのだ。「一般向けに市販されている準天頂衛星対応受信機の中で、L1-SAIFに対応しているのは我々の製品が唯一と言っていいと思います」とコアの黒川涼氏は語る。

 次は、測位性能の高さだ。準天頂衛星やGPS衛星から送信される信号は同じでも、実際の測位結果は受信機により異なってくる。なぜなら、受信した信号をベースに位置を算出する測位ロジックが、メーカー毎に違っているからである。「衛星測位の一番の敵は、山やビルなどに反射して届くマルチパスによる誤差ですが、その影響をどう処理するかなど、測位ロジックの優秀さによって測位性能には大きな差が現れます」(黒川氏)。以下のグラフは、コアの受信機を使った実証実験の結果だが、L1-SAIFの目指すサブメーター級の精度がしっかり達成できていることが分かる。

準天頂衛星のL1-SAIF信号を活用し、静止状態で測位した結果

準天頂衛星のL1-SAIF信号を活用し、静止状態で測位した結果。ほぼ誤差1m以内に収まっている

基礎技術から研究開発する国内メーカーだからカスタマイズも万全


 様々なカスタマイズ要件に柔軟に対応できる点もコアの大きな特徴だ。GPS受信機市場は、海外メーカーが中心。衛星測位の基礎技術を有した国内メーカーはほとんどいないのが実状だが、例外がコアである。コアなら、日本独自の衛星測位システムである準天頂衛星に関するカスタマイズも迅速に行えるのだ。

 「例えば、受信機を宇宙で利用する場合は、地上と違い電離層の影響を受けません。また、高速移動環境では、衛星との位置関係が目まぐるしく変化します。こうした特殊な環境では、通常の受信機をそのまま搭載しても正確な位置情報は取得できないため、測位ロジックをカスタマイズする必要がありますが、我々は自社で基礎技術から研究開発しているので、利用環境に最適化した受信機を提供できます」とコアの額賀敏明氏は話す。

 また近年、欧州のGalileoや中国のCompassなど、世界各国で独自の衛星測位システムが立ち上がっているが、これらをサポートしたグローバル対応の受信機のカスタマイズ開発などもコアに任せれば万全だ。

センチメーター級の測位を実現するLEX信号対応の受信機も開発中


 準天頂衛星システムはセンチメーター級の高精度測位も目指しているが、これを可能にする補強信号がLEX信号だ。コアはLEX対応受信機も開発中である。

 LEX対応受信機は、今のところ市販品がなく、大変高価だ。仕組みが非常に複雑だからである。このため、利用実証もなかなか思うように行えない状況にある。そこでコアでは、センチメーター級測位をもっと利用し易くするため、LEX対応受信機の開発に力を注いでいる。

 「現在は、受信した複数の信号をA/D変換して保存する装置で、LEX信号にも対応している『USBデータストリーマー』という仕組みを開発中です。これだけでは、まだLEX対応受信機の一部でしかありませんが、『データストリーマーだけでも欲しい』という要望も多いため、まずはデータストリーマーを製品化する予定です。もちろん最終的にはすべての仕組みを開発し、LEX対応受信機の完成品も発売します」と額賀氏は説明する。

USBデータストリーマーの試作機

USBデータストリーマーの試作機。最大6つのRFモジュールを搭載可能で、L1+LEX信号受信やL1+L2+L5などの多周波信号受信が可能だ

 最近、G空間(地理空間)情報を活用した新産業創出に大きな期待が寄せられているが、このG空間ビジネスにおいて中核的役割を担うのが準天頂衛星システムである。2018年4月の本格サービス開始まで残り4年――。準天頂衛星が実現する2つの進化を活かした製品・サービスを、ライバルに先駆けてどう準備するのか。その競争の火蓋はすでに切って落とされているが、コアの衛星測位ソリューションが頼もしいパートナーとなる。

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