シトリックス・システムズ・ジャパン NetScaler SDX サーバ、ネットワークと進む仮想化 SDN時代のADCに求められるものとは

サーバの仮想化が一般化し、ネットワークの仮想化が進みつつある。とりわけ大規模なシステムを運用する通信キャリアやクラウドサービスプロバイダは、今後さらに進むであろう仮想化を見据えて、システムを進化させていかなければならない。そこで選ぶべきネットワーク機器の条件とは何だろうか。
犬塚昌利氏

シトリックス・システムズ・
ジャパン
クラウドネットワーキング・
ソリューション事業部
ネットワーク
クラウド技術統括部
SE部
統括部長
犬塚昌利氏

 これまでに様々な仮想化技術が登場し、ビジネスの世界へと広まっていった。なかでもサーバ仮想化技術は多方面に浸透し、実際のビジネスの世界を支えている。

 クラウドサービスを展開するプロバイダや通信キャリアのように、大規模なインフラを持つ企業にとって、仮想化技術はビジネスを強化する大きな力になる。機器集約によるコスト削減、効率化による運用管理負荷の軽減、インフラの柔軟性向上がもたらすユーザーニーズへの素早い対応力など、仮想化がもたらした恩恵は大きい。そのメリットを最大化するために、サーバ機器も仮想化に特化した進化を遂げてきた。

 サーバの仮想化に続いて期待が寄せられているのがSDN、つまりネットワークの仮想化だ。XenAppやXenDesktopなど、仮想化の世界で先進的な技術を提供し続けてきたシトリックス・システムズ・ジャパンクラウドネットワーキング・ソリューション事業部 ネットワーク クラウド技術統括部 SE部 統括部長の犬塚昌利氏は、仮想化技術の浸透について「サーバ仮想化が一般化し、ネットワークの仮想化に各キャリア、クラウドプロバイダさんが取り組み始めたところ」と述べる。また仮想化に特化したサーバ機器が生まれたのと同じように、ネットワーク機器にも仮想化のメリットを最大限に生かす能力が求められているとも指摘する。

仮想化技術の老舗 シトリックスのADCに注目


 仮想化のメリットを最大化するためのネットワーク機器選び、その視点とはどのようなものだろうか。今回はADC(アプリケーション デリバリ コントローラ)についてひもといていきたい。

 ADCは言うまでもなく、ネットワークの中核となる機器だ。サーバ負荷分散だけではなく、高速化やセキュリティ強化など、今では多様な機能が集約されつつあるポイントでもある。

 多機能化の1つとして今、ADCの世界に押し寄せているのが仮想化の波だ。1台の機器の中に、仮想化されたADCを何台も集約して運用できる製品が増えている。サーバ仮想化のADC版と考えるとわかりやすいだろう。少数の機器へ集約することによって機器コストを削減し、かつ統合管理によって運用管理負荷を軽減するというメリットも、仮想サーバのそれに似ている。

 シトリックスのNetScaler SDXも、仮想化機能を持つADCの1つだ。Xen ServerやXen Desktopなどで培ってきたノウハウが存分に注ぎ込まれており、その仮想化機能の在り方は他社製品とは一線を画している。

 「もっとも大きな違いは、NetScaler SDXが仮想化して集約する機能がADCにとどまらないという点です。各種のネットワーク機能を仮想アプライアンスとしてNetScaler SDXに集約して統合管理できる、いわばネットワーク機能に特化した仮想化プラットフォームとして機能する」と、犬塚氏は説明する。

 特に注目したいのは、集約可能な仮想アプライアンスとして提供されるのがシトリックス製品に限らないということ。ファイアウォールやアンチウイルス、ユーザ認証などのトップベンダとの協業で仮想アプライアンスが開発、提供される。ADCがまさにネットワークの中核となり、ネットワークに必要な機能を統合的に提供するプラットフォームへと進化しようとしているのだ。

 犬塚氏によれば「今後はネットワーク管理やセキュリティのトップベンダとの協業を広げ、これまで機能ごとに導入していたネットワーク機器をNetScaler SDXに集約できるようにしていく」とのこと。汎用性の高い仮想化プラットフォームの技術を持つシトリックスだからこそ可能な取り組みと言えるだろう。

 かつて、ファイアウォールやロードバランサなどのネットワーク機器は、使い方により設置場所が決まっていた。しかしSDNの世界では、これら上位レイヤーの製品の物理的な設置場所を気にする必要はなくなる。ネットワークを仮想化し、自律制御を含めた柔軟な変化を可能にするためにはむしろ、ネットワークに必要な各機能も物理的リソースの束縛から自由であることが望ましい。NetScaler SDXはそのための統合基盤へと進化しようとしている。

図表1 NetScaler SDX 〜ネットサービス集約パッケージ〜

図表1 NetScaler SDX 〜ネットサービス集約パッケージ〜

キャリアグレードにまで耐える スケーラビリティも魅力


 システムの規模が大きいほど、仮想化がもたらすメリットも大きい。しかしその分、集約された機器のパフォーマンスや安定性に対する要求は厳しくなっていく。NetScaler SDXはその点でも安心して選択できるだけの性能を持っている。その根幹となるのが「Citrix TriScaleテクノロジー」と呼ばれる概念である。

Citrix TriScaleテクノロジー

・スケールアップ
Pay-As-You-Growライセンスを採用しており、ハードウェアをリプレースすることなくライセンスのグレードアップだけで最大5倍までパフォーマンスを拡大できる。

・スケールイン
最大80台の仮想ADCを、1台のNetScaler SDXに収容可能。

・スケールアウト
大きなパフォーマンスが求められる場合には、最大32台までのNetScalerをクラスタリングし、仮想的な1台のNetScalerとして利用可能。

図表2 NetScaler TriScaleテクノロジー

図表2 NetScaler TriScaleテクノロジー

 特筆すべきは、Citrix TriScaleテクノロジーが単純に大規模システム向けに大きな処理能力を提供する技術ではないというところだろう。犬塚氏が「クラウドビジネスにおいてはスモールスタートできること、ニーズに応じてスピーディに拡大や集約が可能なことが、大規模な処理能力の確保と同じくらい重要です。Citrix TriScaleテクノロジーは大量のトラフィックをさばくための技術ではなく、ビジネス規模に応じた処理能力を得るための技術」だと語っている。

性能と安定性を裏付ける 大手サービスでの採用実績


 NetScalerはこれまで、数多くの通信事業者、オンラインサービス事業者に選ばれてきた。そうした実績こそが、パフォーマンスと安定性の実証と言っていいだろう。

 最近では、某大手サービス事業者が、SaaS型サービスを提供するプラットフォームに導入した。そのサービスは、共用設備上にユーザごとの仮想サーバを用意し、ビジネスに必要なインターネットサービスを提供するもの。昨今のセキュリティ意識の高まりから、オプションとしてWAF(Web Application Firewall)機能を提供することになり、そのためのプラットフォームとしてNetScaler SDXが採用されている。

 こうしたクラウドサービスでは共用設備上でユーザ同士の独立性をいかに確保するかが課題となるが、NetScaler SDXのマルチテナント機能を使うことでそれぞれ完全に独立した状態で設定、運用できるようになっている。

 そのほか、IDCフロンティアや大手通信事業者のクラウド基盤で採用されていることからもわかるように、パフォーマンスだけではなくビジネスサービス基盤での要求品質にNetScalerファミリは応えてきている。仮想化技術との親和性の高さ、パフォーマンスや安定性の高さを兼ね備えるNetScaler SDXは、今後のネットワーク仮想化時代を支えるADCの最適解の1つと考えて間違いないだろう。

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