テクノバン 無線LANクラウドサービス「Air Secretary」 コントローラ機能をクラウドで提供 手離れのよいフルマネージドが好評

テクノバンの「Air Secretary」は、大規模な無線LAN環境の構築に欠かせない無線LANコントローラ(WLC)機能をクラウドで提供する。充実した機能と月額の料金体系、情報システム担当者に負担をかけないフルマネージドにより、無線LAN導入のハードルを下げる役割を果たしている。
田中仁氏

ITビジネス第3部
ICTアドバイザー
田中仁氏
 
 

 スマートフォンやタブレットの本格的な普及に伴い、公共施設や学校、ホテル、レストランなどさまざま場所で無線LANアクセスポイント(AP)の設置が進んでいる。最近では、一般的なオフィスでもフリーアドレスの導入に合わせて無線LAN環境を構築し、有線と併用するケースも多い。

 大人数で無線LANを利用する環境では、APの乱立により電波干渉が多発する恐れがある。しかし、専門家の手を借りないで、ユーザー自身で電波干渉も考慮せずにAPを設置しているケースもあり、ユーザビリティの低下のみならず、セキュリティや運用上のリスクも高まっているという。

 広いエリアをカバーする際には、APの設定や管理を個別に行うと手間がかかることから、複数のAPを一元管理する「無線LANコントローラ(WLC)」が必要になる。ところが、WLCは1台当たり100万円前後かかるものもあり、予算や運用管理の面から導入が困難なケースも少なくない。

さまざまな自動化機能により手間のかからない運用を実現


 そうしたなか、独立系SIerのテクノバンは2012年7月、無線LANクラウドサービス「Air Secretary(エアー・セクレタリ)」の提供を開始した。これは、無線LANコントローラーの機能をクラウドで提供するという画期的なサービス。ユーザーはAPを設置するだけでよく、インターネット回線を経由し、テクノバンが運営するデータセンター内にある無線LANコントローラと接続してさまざまな機能が提供される。

 「予算や運用管理の面からWLCを導入したくてもできない顧客のために、クラウド型サービスを活用することで、手頃な料金で安定したサービスを企画した」とITビジネス第3部ICTアドバイザーの田中仁氏は背景を説明する。

 Air Secretaryの料金は、初期登録3万1500円、月額3129円(1AP当たり/1年更新)。シスコシステムズの「Cisco CleanAir」テクノロジーを採用した高機能なサービスでありながら、クラウドにより手頃な料金体系を実現している。

 Air Secretaryの主な機能は、「Smart」「Scope」「Secure」「Speed」という“4つのS”で表される。

 具体的には、APの増設で電波干渉が発生した場合、コントローラが自動でチャネルを変更し、不達エリアをカバーする「自動干渉回避」をはじめとする自動化機能により、デバイスの種類や数、利用方法に関係なく、手間のかからない運用が可能だ。

 また、電波強度や干渉ポイントなど電波状態を可視化する機能も備える。RF干渉を自動で検出し、干渉源の位置情報をマップ上に表示するので、従来は特定できなかった干渉源が正確に把握できるようになる(図表1)。

図表1 干渉源が特定できる「干渉ポイントマップ」

図表1 干渉源が特定できる「干渉ポイントマップ」

 無線LAN利用に不可欠なセキュリティも、証明書やユーザーID、パスワードによる認証、通信データの暗号化に加えて、ワイヤレス環境の存在を知られないSSIDステルス(隠ぺい)により、クラウドサービスでも堅牢なインフラを実現する。

 このように充実した機能に加えて、導入前後のフォローにも万全を期している。

 まず、導入前には電波調査(サイトサーベイ)サービスを実施する。専任のエンジニアが2名体制で調査ポイントに訪問し、実際に機器を持ち込んで調査する「現地オンサイトサーベイ」(首都圏内1サイト400m2につき10万5000円)と、調査キットを送付しインターネット回線を通じてリモート調査を行う「リモートサイトサーベイ」(全国1サイト400m2につき8万4000円)を用意する。

 現地オンサイトサーベイの方が圧倒的に人気が高く、すでに無線LAN環境を構築している企業の場合、専門家による調査により、障害の原因が見つかることもあるという。

 また、サービス導入後には、干渉源の特定や外部電波の影響、不正AP(公衆無線LANなりすましAP)や不正アクセスの監視状態に関する定期的な調査およびレポートも提供する。レポートの配信ペースは、週1回あるいは月1回など顧客のニーズに合わせて選択することができる。

 「フルマネージドで、しかも当社のサービスとして展開することから、導入企業は情報システム担当者の負担を増やすことがなく、手離れよく導入していただける点が評価されている」と田中氏は話す。月額課金のため、途中で解約できることも企業には好評だという。

 昨年7月のサービス開始以降、テクノバンはシスコシステムズと共同でセミナーを開催し、Air Secretaryの認知度向上に務めてきた。その結果1社の導入が決まり、今春から稼動している。病院や学校のほか一般企業の関心も高く、既存の無線LAN環境で障害が多発している状況を改善しようと、シスコシステムズのホームページを見て問い合わせてくるケースも珍しくない。テクノバンでは、年内に5件の受注を目指したい考えだ。

利用者の行動履歴を追跡 分析結果をマーケティングに活用


 今後の展開について、田中氏は「WLCだけでなく、ユーザー企業がビジネスに活用できるようなソリューションも組み合わせて提供したい」と話す。

 スマートフォンに搭載されているWiFiやGPS、位置連動プッシュ通知といった機能により、利用者の位置情報に連動してクーポンなどを配信し、購買行動を喚起するO2O(Online to Offline)が注目を集めている。テクノバンでも同様に、利用者の位置情報や行動履歴を追跡・活用するようなソリューションを検討しているところだ。

 人が多く集まる公共施設、病院、学校、デパートやスーパー、遊園地やゲームセンターなどでの利用を想定している(図表2)。「どのエリアで時間を費やしているのか」「特定エリアで最もよく利用されるルート」「店舗のピーク時間」「入らずに通り過ぎた買い物客の割合」といったさまざまなデータを集計・分析することで、ユーザー企業はマーケティングに活かすことができる(図表3)。

図表2 幅広い利用シーン

図表2 幅広い利用シーン

図表3 Location Analytics

図表3 Location Analytics

 テクノバンでは、スマートフォンの普及ペースなどを鑑み、来春以降の商用化を目指している。Air Secretaryにソリューションを加えることで、サービスの幅を広げていきたいという。

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