日本電業工作(DENGYO) FalconWAVE(長距離無線LANシステム) 長距離無線LANを防災用途で製品化 簡易・迅速さと性能に高い評価

携帯電話基地局アンテナトップメーカーの日本電業工作がその技術力を活かして取り組む長距離無線LANシステム「FalconWAVE™」が防災ソリューションとして注目を浴びている。災害時に避難所と役場などを結ぶ通信システムとして、また可搬型映像システムとしての抜群の性能を発揮するのだ。土石流監視などの分野でも利用が広がりつつある。

 日本電業工作は、無線通信用アンテナ・フィルターを主力とする通信機器メーカーで、1947年(昭和22年)の会社設立以来、日本の通信・放送分野のインフラ構築に重要な役割を担ってきた。特に、移動通信分野では長年の取り組みが評価され、基地局アンテナでは国内市場シェアナンバー1の位置にある(2012年、MCA調べ)。さらに「電波の未来を切り拓く」のスローガンの下、今春発表された「アクティブアンテナシステム」や「5周波共用アンテナ」など、次世代移動通信インフラ構築の鍵となる最新技術への取り組みを加速させている。

 日本電業工作の最近の取り組みで特筆されるのがレクテナ(マイクロ波電力給電)など新たなワイヤレス技術の製品・事業分野へ積極的に挑戦していること。中でも今高い評価を受けているのが、2011年から展開を本格化させた「長距離無線LANシステム」だ。

災害現場での使い勝手で防災関係者に注目


 長距離無線LANは、オフィスや工場などで使われている無線LAN技術を拠点間通信に用いるもの。高利得アンテナを用いることで、10km以上離れた場所を容易に結ぶことができ、映像監視の中継システムに利用されている。

 日本電業工作は、今年からこの長距離無線LANシステムを「FalconWAVE™」のブランドで防災ソリューションとしても展開。東日本大震災以降、非常時の通信手段として無線が見直される中で、その性能と使い勝手の良さが防災関係者に注目されている。

 FalconWAVE™の中核となる無線機には、無線局免許が不要で手軽に使える2.4GHz帯を用いる「FalconWAVE™2.4G」と、2.4GHz帯に加え、無線局の届け出が必要だが干渉のない安定した通信が期待できる4.9GHz帯を使える「FalconWAVE™4.9G」の2機種がラインナップされている。

 無線局の設置には通常、PCなどを使った無線回線設定が必要だが、それが電源onのみで自動設定が行えるコントロールボードとバッテリーを防水仕様のケースに納めた可搬型パッケージが、「FalconWAVE™2.4Gテレポータブル®」「FalconWAVE™4.9Gテレポータブル®」として提供されている。

 テレポータブルは、内蔵バッテリーで4時間の運用が可能で(4.9GHz帯)、これにオプションの高利得無線LANアンテナを接続すれば、電源のない場所でも容易に他拠点との接続回線を設けることが可能。長時間稼動が必要な場合は車のバッテリーなどから電源をとることもでき、まさに災害時の利用にはうってつけの製品だ。

 長距離無線LANの可搬型パッケージ製品は、現状テレポータブルが唯一のものである。これに加えて(1)簡易設定機能を使うことでチャネル設定をボタン1つで行える、(2)アンテナメーカーとして蓄積した技術を活かし、4.9GHz帯小型平面アンテナで19dB超の高い利得を確保しつつ18度と広い半値幅を実現、目視でも容易にアンテナを設置ができるなどの特徴を活かし、無線の専門家がいなくても容易に使える製品に仕上げた。(2)は風や地震などでアンテナの角度が多少変わっても通信への影響が少ないなど、災害現場での使い勝手を大きく向上させている。

 日本電業工作でFalconWAVEの立ち上げを担ってきた事業開発部長の藤本直樹氏は、これらに加えてFalconWAVEが採用している周波数帯域にも防災用システムとしてのアドバンテージがあると指摘する。

 「長距離無線LANでは25GHz帯を利用する製品が多く提供されているが、この帯域は降雨に弱く、荒天時には数キロ程度しか飛ばない。FalconWAVE2.4G/4.9Gは天候の影響が少なく、防災用の主流になっていく」と見る。「干渉の影響を受けにくい4.9GHz帯の利用をお勧めしている」という。

避難所通信と可搬映像伝送を2本柱に


 日本電業工作では現在FalconWAVEを2つの用途で訴求している。

 1つが、自治体庁舎などの防災拠点と、災害時に避難所となる学校などを結ぶ臨時通信システムとしての利用だ。

図表1 FalconWAVEを活用した避難所通信システム

図表1 FalconWAVEを活用した避難所通信システム

 FalconWAVEテレポータブルと平面アンテナ、三脚、ケーブルをセットにして発電機などと倉庫に配置しておけば、災害で電力と有線回線が途絶しても短時間で防災拠点と避難所間の通信を確保できる。

 高速通信が可能なので、(1)避難所側のテレポータブルにネットワークカメラを接続して避難状況を映像で確認する、(2)防災拠点からの最新情報を映像で流すといった使い方にも対応可能だ。回線にIP電話を接続して安否確認に利用するなど多様な活用が期待できる。

 もう1つの用途が、災害現場での映像伝送などに用いる可搬型無線システムとしての利用である。

 日本電業工作は今年1月、熊本県にある国土交通省川辺川ダム砂防事務所が実施した防災訓練にFalconWAVEによる映像伝送システムで参加した。想定は、山岳部で発生した土石流の映像を現場から直接には見通せない遠隔の対策本部に送るというもの。

図表2 川辺川ダム砂防防災訓練でのFalconWAVEによる4段中継の構成

図表2 川辺川ダム砂防防災訓練でのFalconWAVEによる4段中継の構成

 訓練では、設定が簡単で多段中継も容易というFalconWAVEの特徴を活かし、2.4/4.9GHz帯を組み合わせた4段階中継により参加。遠距離無線LANシステムでは唯一、現場と対策本部を結ぶことに成功した。

 訓練に参加した日本電業工作マーケティング室担当課長の澤田正義氏は「橋の橋脚の隙間を通して回線を設定する非常に厳しい条件だったが、送られてきた鮮明な映像に砂防事務所のご担当者も驚かれていた」と語る。

川辺川ダム砂防事務所の防災訓練の対策本部

川辺川ダム砂防事務所の防災訓練の対策本部。電波の届きにくい谷間にあるが、4段階中継で山越えによる映像伝送に成功した

 FalconWAVEの映像伝送での利用は可搬型によるものだけではない。

 日本電業工作ではパナソニック システムネットワークスと共同で埼玉県の坂戸事業所内に、ソーラーパネルと新型リチウムイオンバッテリーを搭載することで、電源が得られない場所で24時間FalconWAVEによる映像伝送が行える「自立型無線伝送システム」の実証実験を実施している。このシステムは日照の全くない条件でも3〜5日間稼動できるもの。今年7月にも商用製品として発売される予定だ。

自立型無線伝送システム

日本電業工作坂戸事業所内で実証実験が行われているFalconWAVEによる「自立型無線伝送システム」

 実証実験では隣接する農業用水の流速・流量の観測が行われているが、このシステムは日本電業工作が開発した画像解析による河川監視システム「DynaMode™」と組み合わせることで、土石流の発生を早期に、安全に検知するといった使い方も期待できる。FalconWAVEの防災分野での利用は今年大きく広がることになりそうだ。

 なお、今回紹介した商品は5月29日から31日まで東京ビックサイトで行われるワイヤレスジャパン(ブースNo.L-7)で展示される。

※「FalconWAVE」「テレポータブル」は、日本電業工作株式会社の商標または登録商標です。

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