DECTフォーラム J-DECT デジタルコードレス電話の“世界標準” DECTはスマートハウスでも主役に

「DECT」(デクト)という無線通信方式をご存知だろうか。国内のデジタルコードレス電話市場は、すでに6割以上がDECT準拠に移行。また、スマートハウス実現のためのホームエリアネットワーク向け無線通信としても最近、DECTは大いに注目を集めている。
森川和彦氏

DECTフォーラム
ジャパンワーキンググループ
代表 森川和彦氏

 今、日本のデジタルコードレス電話市場で“革新”が起きている。従来の2.4GHzデジタルコードレスから、1.9GHz帯を用いるDECT準拠方式への移行が急ピッチに進んでいるのだ。DECTフォーラム ジャパンワーキンググループ代表の森川和彦氏は「昨年末時点でデジタルコードレス電話の6割以上がDECT。おそらく今年は、国内で売られる8割以上がDECTになると思います」と話す。

 欧州で生まれたDECTは現在では北米、南米、オーストラリア、アジアでも広く普及するデジタルコードレス電話の“世界標準”だ。日本でも2010年10月の省令改正で利用可能になり、瞬く間に主流になった。

 DECTと従来の2.4GHzデジタルコードレスとの違いはまず、多くの無線機器が共用するISMバンドではなく、デジタルコードレス電話専用の1.9GHz帯を利用する点にある。このため干渉が少なく、安定した通信が行える。また、データ通信速度も2倍に高速化したほか、消費電力も従来の半分。それゆえ日本でも急速に普及したのである。

 ただ森川氏によれば、注意してほしい点もあるという。それは海外と日本では仕様が若干異なり、海外のDECT機器は国内では利用できないこと。そこでジャパンワーキンググループは日本仕様のDECTであることを示す「J-DECT」のロゴマークを制定するなど、DECTの認知拡大に努めている。

通信レンジは最大300m


 「スマートハウス」「スマートホーム」などのキーワードとともに、最近ホームエリアネットワーク(HAN)への関心が高まっているが、その実現技術としてもDECTは脚光を浴びている。HAN向けに省電力性などをさらに高めたDECT ULE(Ultra Low Energy)も登場した。

 同様の無線通信方式にはZigBeeやBluetooth LE(Low Energy)などもあるが、これらと比較したDECTの優位性は何か。森川氏が第一に挙げるのは、音声通信への対応である。「もともと音声用であるDECTなら、高品質の音声通信を実現可能。画像やセンサーデータ、そして音声までを1つのプラットフォームでやりとりできます」

図表 主なホームエリアネットワーク用無線通信方式との比較

  DECT ULE ZigBee Bluetooth LE
通信距離 300m 70m 10m
通信速度 1.152Mbps 250kbps 1Mbps
リンクバジェット 117dB 101dB 97dB
感度 −93dBm −97dBm −93dBm
送信電力 24dBm 4dBm 4dBm
暗号化 DSAA/DSAA2(AES-128) 32bit to 128bit AES AES-128
周波数帯 1.9GHz(専用バンド) 2.4GHz(ISMバンド) 2.4GHz(ISMバンド)

 テレビドアホン、赤ちゃんやペットの見守り、防犯センサーなど、すでにDECT機器はいろいろな広がりを見せているが、音声通信を活用した多様なスマートハウス用機器の開発が期待される。

 また、見通し通信で300m、屋内で50mというレンジの広さと、セル設計が不要な点も大きな特徴である。さらに消費電力についてもDECT ULEでは単三電池2本で最大10年稼働できる。

 こうした利点が注目され、欧州では有線/無線LANなどをサポートしたDECT対応ホームゲートウェイも発売されているという。「家庭内は全部DECTで、外の世界とはゲートウェイを介してつながるというビジネスが海外では始まっています」と森川氏は紹介する。デジタルコードレス電話の世界標準であるDECTは、HANの世界でも中核技術になろうとしているのである。

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