NEC UNIVERGE PFシリーズ(プログラマブルフロー) OpenFlowで実現するオープン化革命 商用利用にこだわりNECが先導

世界中に広がるSDN/OpenFlow旋風。その勢いはますます加速しているが、“立役者”の1人であるNECの渡辺裕之氏は「その本質的価値が見失われつつあるのではないか」と危惧しているという。「オープン」と「商用利用」――この2つに魂を込めてきたと語る同氏に、SDN/OpenFlowの真の価値を聞いた。
渡辺裕之氏

NEC
UNIVERGEサポートセンター
グローバルソリューション
主席事業主幹
渡辺裕之氏

 ネットワークの世界でパラダイムの大転換が始まった。この新しいパラダイムに付けられた名前は「Software Defined Network」(SDN)。そして、このSDNを実現するためのキーテクノロジーが「OpenFlow」だ。

 SDN/OpenFlowによるネットワークの変革はいま世界各地で進行している最中だが、なかでも最先端を走るのがここ日本である。一体なぜだろうか。

 「その“犯人”はほとんど私です」と言って笑顔をのぞかせるのはNECの渡辺裕之氏だ。世界初のOpenFlow対応製品「UNIVERGE PFシリーズ」(プログラマブルフロー)を2011年3月に世に送り出したNECはSDN/OpenFlow業界のリーダーであるが、そのプログラマブルフロー事業を統括するのが渡辺氏である。同氏はまだプログラマブルフローが商品化される前、SDNという言葉もなかった2009年頃にはOpenFlowの意義を説いて回り始めるなど、いち早くOpenFlowの可能性を確信し、精力的に活動を行ってきた。こうした下地があって、日本がSDN/OpenFlowの発火点となっているのだ。

従来ネットワークの課題解決へ ゼロから生まれたOpenFlow


 渡辺氏は、SDNの一番大きなメリットとして「フレキシビリティ」を挙げる。従来のネットワークは、スイッチなどのハードウェアを1台ずつコンフィグレーションしていくことが必要な“自律分散型”だ。それに対してSDNは“集中制御型”。ソフトウェアからの指示により、ネットワークの構成や設定を柔軟に一元的にコントロールすることができる。これまでなら数週間かかっていたような設定変更が、数分〜数十分で行えるのである。

 また、転送制御そのものの柔軟性も根本的に向上する。OpenFlowでは、「従来のレイヤ構造から離脱できる」(渡辺氏)ためだ。これまでのネットワークはレイヤ2(MAC)やレイヤ3(IP)といった各レイヤの宛先アドレスによって転送を制御してきた。一方、OpenFlowではレイヤ1からレイヤ4の情報の組み合わせにより定義した「フロー」という単位で転送を制御する。このため、例えば同じIPアドレス宛ての通信であってもポート番号によって処理方法を変えられるなど、非常にきめ細かな転送制御が可能になる。

 ただ、ここで注意したいのはSDNは必ずしもOpenFlowありきではないということだ。すなわちOpenFlowを活用しないSDNも存在し得るが、その場合、こうしたOpenFlowの恩恵は享受できない。また、OpenFlowはその名前からも分かるようにオープンなプロトコルだが、最近はプロプライエタリなアプローチをとるベンダーも目立ってきた。

 このような状況を鑑み、渡辺氏は「SDNという言葉が登場したことで、業界の動きは非常に加速しました。しかし他方で、本当の意味でのOpenFlowの価値が見失われつつあるのではないでしょうか」と懸念する。

 OpenFlowの歩みは、米スタンフォード大学の「Clean Slateプロジェクト」からスタートした。Clean Slateとは「ゼロからやり直す」という意味。新しいパラダイムの創造を目指したOpenFlowだが、「軸足が少しずれてきてしまったと感じています」というのだ。

業界構造のオープン化でビジネスチャンスが拡大


 では、OpenFlowが実現するパラダイムの本質とは何だろうか。「オープンなパラダイムに変わることで、ビジネスチャンスが大きく広がること」と渡辺氏は説明する。

 コンピュータの世界ではオープン化が進んで久しい。ハードウェア、OS、アプリケーションを1つのベンダーが一体提供するメインフレーム時代のクローズドな垂直統合モデルから、それぞれのレイヤがアンバンドルされたオープンな水平分離型へと移行。その結果、イノベーションが加速し、現在のITの隆盛がもたらされた。

 それに対して、ネットワークの世界はどうか。ハードウェア、OS、アプリケーションの一体提供が続いており、新機能の開発などはネットワーク機器ベンダーでしか基本的に行えない。また、運用保守も、そのベンダー固有の技術に精通した人に託さなければならず、多額のコストがかかる。

 こうした状況に風穴を開けるのがOpenFlowだ(図表1)。ネットワークのオープン化を実現するOpenFlowは、ベンダーロックインからの解放を可能にする。また、サードパーティやユーザー企業などが、APIを活用して新しいアプリケーションを開発することも容易になる。

図表1 OpenFlowが切り拓いた新しいオープン化の潮流

図表1 OpenFlowが切り拓いた新しいオープン化の潮流

 図表2は、プログラマブルフローの第1号ユーザーで、業務システムにおける世界初のOpenFlow事例でもある日本通運での導入効果だが、特に注目したいのはネットワーク設定変更にかかる外注費用だ。それまで年間600万円かかっていたのがゼロになった。企業はOpenFlowの活用によって浮いたリソースを、新ビジネスの創出などへ振り向けられるようになる。

図表2 日本通運での導入効果

図表2 日本通運での導入効果

 その一方でオープン化の進展は、既存ネットワーク機器ベンダーにとって既得権益の喪失にもつながるが、にもかかわらずNECがオープンにこだわるのは次の確信からだという。

 「目先の利益を優先してクローズドにビジネスをやるより、オープン化したほうがビジネスチャンスが大きく広がるということを、コンピュータの歴史もよく知るNECは深く認識しています。だから魂を込めてオープン戦略を進めているのです」

商用環境での採用が続々 「もう導入しない手はない!」


 NECではもう1つ魂を込めて取り組んでいることがある。それは、「商用利用での実績を1つ1つ作り、それを繰り返すことでマーケットを活性化していく」ことだ。

 OpenFlowは誕生してまだ日が浅い。そのため従来型のネットワークと比べて「成熟度が足りない」といった意見も聞かれる。こうした見方について渡辺氏は「総論として、それは間違っていません」と認めたうえで、次のように話す。

 「だからこそNECは、『こういう使い方であれば、商用で活かせるのではないか』と、商用利用にこだわり製品化を行い、実績を積み上げてきた」

 前出の日本通運をはじめ、金沢大学附属病院、北米のサービスプロバイダーのGenesis Hostingなど、プログラマブルフローを商用環境に採用し、大きな成果を得る企業は続々と増えてきている。「OpenFlowを活かせる場所は、現時点でも数多くあります。しかも、すでに成功している企業もいるのですから、もう導入しない手はありません」

 日本から離陸したプログラマブルフロー事業。渡辺氏はさらに「NECは、国内で商用化をリードしてきましたが、グローバルでもOpenFlowで貢献していきます」と目を輝かせた。

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