Web会議選びのポイント(1)――テレビ会議の廉価版ではない! Web会議の“得意技”とは?

「テレビ会議と何が違うのか」「製品の種類が多すぎる」「どの機能を重視して選ぶべきか」等々、Web会議の導入・選択に苦慮する企業が少なくない。Web会議の特徴を整理しながら、その選択のポイントを全3回で解明する。

遠隔地とコミュニケーションを行う場合に、Web会議は非常に有効なツールである。ひと言で言えば、Web会議は映像と音声の交換、資料データやアプリケーションの共有、テキストチャットといった複数の機能を統合したコミュニケーションツールと表現できよう。しかも、PCとWebブラウザ、インターネット環境さえあれば利用可能で、場所の制約も少ない。専用端末を用いるテレビ会議システムの代替として普及・発展してきた経緯から、現状では会議室で使われているケースが多いが、それだけでなく、共同作業を行うさまざまな場面で活用できる。

遠隔会議システムの導入効果については、いまさら細かく説明する必要はないだろう。移動・出張に伴う費用と時間が削減できて、意思決定・業務遂行のスピードが上がる。Web会議を上手に活用すれば、これらの効果を「会議」だけでない幅広い場面で享受できる。

では、Web会議をうまく使いこなすためにはどうすればいいのか。基本的な機能と特徴を抑えながら解明していこう。

Web会議とテレビ会議はここが違う

Web会議って、なに?――。

「テレビ会議の廉価版」というイメージも根強い現状を鑑みれば、まずはそこから話を進める必要があるだろう。テレビ会議(本稿では、専用端末を使うものを一律にこう呼ぶことにする)との違いを整理することで、Web会議の特徴がつかめる。

まず、導入コストと導入スピードが大きく異なる。PCにWebカメラ、会議用マイクスピーカーやヘッドセットを接続し、インターネット経由で使えるため、端末・ネットワークともに既存設備を最大限活用できる。周辺機器も1台当たり、Webカメラやヘッドセットは数千円から、会議用マイクスピーカーも数万円から揃えられる。また、ASP/SaaS型のWeb会議を既存PCと回線で使うのであれば、1週間程度で利用開始できるケースもある。

“得意技”も異なる。テレビ会議が高機能なカメラと広帯域かつ安定した回線を使って、実際に対面しているような臨場感を再現することを得意とするのに対し、Web会議の真骨頂は「資料共有」にある。PC内のデータを参加者全員のPCに表示したり、ファイルを転送したり、あるいはアプリケーションごと共有して複数の端末から編集したりといったことが自在に行える。「Web会議は会議ツールではなく、コラボレーション(共同作業)ツールである」と言われるのは、これが所以だ。

繰り返しになるが、場所の制約を受けづらい点も大きな違いだ。会議室に据え置くしかないテレビ会議とは異なり、自席でも、ノートPCを持ち運べば空きスペースでも、外出先や在宅環境でも利用できる。また、社員同士のみならず、インターネット経由で外部とのコミュニケーションにも利用できる。

月刊テレコミュニケーション2010年10月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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