シスコの「サービス事業」が急成長、AIで運用自動化

シスコの「サービス事業」が好調だ。企業のIT部門や通信事業者の運用管理業務をサポートする事業が全売上の25%を占めるまでに成長している。AIによる自動運用の導入により、さらなるサービスの拡充も進める。

あらゆる産業分野でIT人材の争奪戦が激化している。IoTやAI等のデジタル技術が今後の成長に欠かせないためだが、IT人材の不足は深刻な状況だ。経産省によれば2015年時点で約17万人が不足しており、2030年には約59万人に拡大する見通しだ。

一方、IT部門に対する経営層や現場部門からの要求は厳しさを増すばかりだ。今や企業にとってIT/ネットワークはビジネスの基盤。IT部門はこれまで経験したことのないプレッシャーにさらされている。

こうしたことを背景に、企業がICTベンダーに求める役割も変化している。高度化・複雑化するICT基盤の運用を丸ごとアウトソーシングしたい、さらには、IoTやAI技術を活用するためのビジネス戦略立案を支援して欲しいといったニーズが立ち上がってきた。育成が難しい専門スキルを社外に求めようというのだ。

全売上の25%まで成長この要求に応えて近年売上を伸ばしているのが、シスコシステムズが手がける「シスコ サービス」事業だ。元々は販売パートナー向けのサポートサービスが母体だが、徐々にエンドユーザー向けにもサービスを展開し、現在ワールドワイドでは売上の25%を占めるまでに成長した。サービス営業統括・専務執行役員の中島シハブ ドゥグラ氏によれば「シスコ サービスは当社で2番目に大きなビジネスユニット。エンジニアの数は世界で1万2000人に及ぶ」。

サービスの範囲は幅広い。ユーザー企業のビジネスニーズを実現するためのアーキテクチャ/テクノロジー選定から企画、ICT基盤の設計・構築、インフラ最適化、運用・保守までライフサイクル全般をサポートする。こうしたサービスはシスコのパートナーであるSIerも行っているが、「シスコとパートナーが一緒に行う」ことでより高度なサポートが実現できると中島氏は話す。「最新技術をシスコが担当し、ノウハウをパートナーに伝えていく」のだ。

(左から)シスコシステムズ 専務執行役員 テクニカルサービス 及川芳雄氏、サービス営業統括 専務執行役員 中島シハブ ドゥグラ氏、常務執行役員 アドバンスドサービス 上村省吾氏、サービス営業 公共・法人営業部 営業部長 納谷大輔氏
(左から)シスコシステムズ 専務執行役員 テクニカルサービス 及川芳雄氏、
サービス営業統括 専務執行役員 中島シハブ ドゥグラ氏、
常務執行役員 アドバンスドサービス 上村省吾氏、
サービス営業 公共・法人営業部 営業部長 納谷大輔氏

シスコは現在、このシスコ サービスの拡充を進めており、2月に新たなサービスを開始した。「ハイバリューサービス」と「ビジネスクリティカルサービス」だ。

図表 Business Critical Services(Agile Approach)主要サービス
図表 Business Critical Services(Agile Approach)主要サービス

新サービスには、従来と大きく異なる点がある。ユーザーやSIerに技術提供や障害対応等を行う既存の「テクニカルサービス」が製品単位で提供されるのに対し、新サービスは「ソフトウェアレベル、またはソリューションレベルで対応する」(中島氏)点だ。また、シスコ以外の他社製品もサポートする。

月刊テレコミュニケーション2018年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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