日立製作所がSD-WANを導入した理由――2800拠点へ2~3年で展開

日立製作所は、日立グループのイントラネット「GWAN」にSD-WANを導入した。イントラのセキュリティ強化、ネットワークの柔軟性確保、そしてコスト削減を実現するのが目的だ。

日立グループのイントラネット「GWAN」は、日本を含め世界中の約2800拠点を結ぶ大規模ネットワークだ。日立製作所はそのGWANにSD-WANを導入する。

SD-WANとはSoftware Defined WANの略称で、ソフトウェアで制御されるWANのことだ。

SD-WANではそれぞれの拠点にSD-WANルーターを設置し、専用線やISDN、インターネット回線など物理回線の上に仮想的なネットワークを構築する。これにより回線の違いを意識することなく、WebブラウザーからSD-WANのコントロールパネルにアクセスするだけで、WAN全体を一元的に管理・制御できるようになる。

4つのSD-WAN製品を採用日立は2800拠点すべてに同じSD-WANを採用するわけではない。日本/日本小規模/中国/グローバルの4つに分類し、それぞれに適したSD-WANサービスを使い分ける計画だ。

まず日本国内に1000拠点ある大・中規模拠点は、NTTコミュニケーションズの「Master’s ONE CloudWAN」を採用。ニーズに応じて機能をカスタマイズできるのが特徴だ。数百拠点ある国内の小規模拠点には、ソフトバンクのマネージド型SD-WANを選定した。コストパフォーマンスを重視しての結果だ。

次に約100拠点ある中国に関しては、政府による規制がある特殊市場であるため、中国製品から選定中である。その他のグローバル拠点については、ベライゾンが提供するシスコ「Viptela」ベースのSD-WANサービスの導入を決めている。

図表 日立グループのSD-WAN構成イメージ
図表 日立グループのSD-WAN構成イメージ

これほど大規模なSD-WANは世界的にも珍しいが、導入に踏み切った理由について、同社の里山元章氏は次のように語る。「日立には約850のグループ会社があるが、各社の経営陣は成長やスピード感をますます重視するようになっており、ITインフラもその要望に応えるため、先回りして準備する必要があった」。

(左から)日立製作所 ITビジネスサービス本部 統合IT プラットフォーム本部 本部長の里山元章氏、ITビジネスサービス本部 e-プラットフォーム本部 ネットワーク統括部 部長の加藤栄二氏
(左から)日立製作所 ITビジネスサービス本部 統合IT プラットフォーム本部 本部長の里山元章氏、
ITビジネスサービス本部 e-プラットフォーム本部 ネットワーク統括部 部長の加藤栄二氏

里山氏が属するITビジネスサービス本部は、日立グループの社内向けITソリューションを開発・提供している部門だ。NTTコムのサービスを利用する国内1000拠点に対しては、今年4月1日からSD-WANサービスを提供開始するが、「グループ会社からの引き合いは非常に多く、すぐにでもSD-WANを入れたいという声が寄せられている」と同氏は語る。

月刊テレコミュニケーション2018年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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