企業ネットワーク最前線

IoTセキュリティは「水道」が理想――トレンドマイクロがNFVで目指す新アーキテクチャ

文◎太田智晴(編集部) 2018.02.15

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

IoT時代のセキュリティはどうあるべきか。トレンドマイクロが提唱するのは、NFVを活用した新しいアーキテクチャだ。ユーザーに意識させることなく脅威を防ぐ、「水道」のようなIoTセキュリティの実現を目指す。

 
「IoTが大きく成長していくことで、ネットワークの作り方、特にセキュリティのアーキテクチャは変化していくというのが我々の考えだ」

こう語るのは大手セキュリティベンダー、トレンドマイクロの津金英行氏である。

インターネットが始まって数十年、「セキュリティのアーキテクチャはほとんど変わっておらず、エンドポイントとインターネットとの境界という2箇所で対策がとられてきた」。

その長年続いてきたアーキテクチャがIoT時代になぜ限界を迎えるのか。津金氏は2つの理由を挙げて説明する。

まずはデバイスの問題である。IoT時代、ネットワークにつながるデバイスの数は爆発的に増え、さらにその種類も多種多様になる。性能やコスト、運用負荷などの問題から、エンドポイントでのセキュリティ対策が難しいケースが数多く出てくる。

もう1つは、通信形態の多様化にともなう課題だ。例えばコネクテッドカーでは、近くにいるクルマ同士が直接、あるいは基地局ですぐ折り返す形で通信し、衝突を防止するユースケースが検討されているが、「従来のアーキテクチャだと、経路上にセキュリティ対策を行うポイントがない」。このため、1台のクルマに感染したマルウェアが、クルマ同士の通信を介して拡散していく可能性もある。

エンドポイントとインターネットとの境界という2箇所でのセキュリティ対策では、IoT時代、脅威を防げなくなるのだ。

トレンドマイクロ IoT事業推進本部 ソリューション推進部 部長 ディレクター 津金英行氏
トレンドマイクロ IoT事業推進本部 ソリューション推進部
部長 ディレクター 津金英行氏


NFVで分散・連携型では、IoT時代の新セキュリティアーキテクチャとは一体どのようなものか。トレンドマイクロでは、分散・連携型のアーキテクチャを提案している。

これは、「従来、エンドポイントやインターネットとの境界に集中していたセキュリティ機能を、機能ごとに分解し、通信経路上の適切な場所に再配置しようという考え方」だという(図表1)。具体的には、キャリアネットワークやクラウドにも、必要なセキュリティ機能を動的に分散配置。そのうえでユースケース毎に必要なセキュリティ機能を連携させて、セキュリティを担保する。

 

図表1 IoT時代は分散・連携型のセキュリティアーキテクチャへ
図表1 IoT時代は分散・連携型のセキュリティアーキテクチャへ


こうしたアーキテクチャを実現可能にしたのがNFVだ。津金氏によれば、分散・連携型のアイデア自体は以前からあったが、これまではインフラ側の準備が整っていなかった。しかし、NFV技術が発展し、ついにIoT時代に間に合ったのである。

分散・連携型のメリットは、エンドポイントやインターネットとの境界での対策が難しいケースにおいて、必要なセキュリティ機能を提供できることだけではない。費用対効果の面でも優れているという。

アンチウィルスが代表例だが、エンドポイントとゲートウェイなど複数のポイントで、重複するセキュリティ機能を適用していることは少なくない。まったく無駄ではないものの、費用対効果は高くないだろう。

一方、NFVを活用した新アーキテクチャでは、必要なセキュリティ機能を、必要な場所に、必要なパフォーマンスの分だけ、柔軟に提供しやすくなる。このため、機能の重複をなくすこともでき、セキュリティ投資の最適化が可能になる(図表2)。

 

図表2 ユースケース毎に必要なセキュリティ機能を分散配置
図表2 ユースケース毎に必要なセキュリティ機能を分散配置


また、例えばセンサーは一般的なWebサイトにアクセスしないのでURLフィルタリングが不要など、IoTの場合、限られたセキュリティ機能で足るケースも多い。こうした点から見ても、柔軟にセキュリティ機能を提供できるNFVには、高い費用対効果が期待できる。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

casb1804
kccs1805
watchguard1805

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】IoT FUTURE CITY
 [IoTは暮らしをどう変えるか]“おらが街”もデジタル化
 [柏の葉スマートシティ]IoT事業創造の一大拠点に
 [Fujisawa サスティナブル・スマートタウン]持続的に成長する街を
 [Fukuoka City LoRaWAN]IoTで変化を生み出す街


◆[インタビュー] NEC 河村厚男常務「キャリア事業を構造改革」 ◆「日中間通信」の課題と攻略法 ◆ソフトバンクが日本初のNB-IoT ◆モバイル市場の公正競争の今後 ◆急成長するシスコの“サービス”事業

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

インテル5Gをエンドツーエンドでカバー
新たな価値創出を目指すインテル

インテルは強みの仮想化技術で5G時代のネットワーク構築に貢献する。

コマーチキャリア向けOSS/BSSに強み
自動化やe-ヘルスで社会課題解決

自動化やe-ヘルスで多くの実績を持つコマーチが日本市場に参入した。

ブロードメディア・テクノロジーズ小森コーポレーションが
Aryakaで日中間通信を安定化!

日系企業の中国ビジネスに立ちはだかるのが通信環境の問題だ。

IIJグローバルソリューションズ日中間ネットワークの安定運用へ
VPN規制を乗り切る解決策提供

安定的な越境通信を実現するには何が必要か?

NTTコミュニケーションズIoTビジネスの種まきから結実まで
NTT Comの「次の一手」とは

自社発行型eSIMでの新サービス提供に期待!

SAS Institute Japanデータ分析の老舗、SASが提案するIoT時代のデータ活用

IoTのはじめの一歩を踏み出す前に考えるべきポイントは?

SigfoxSigfoxが開始1年で100万回線!
いよいよ花開くIoTビジネス

LPWAの代表格「Sigfox」の最新動向と活用事例を徹底レポート!

WatchGuard Wi-Fi Cloud不正APを自動遮断するWIPS搭載!
ソーシャルWi-Fiで販促支援も

セキュアな無線LAN環境を実現できる「WatchGuard Wi-Fi Cloud」

無線LAN構築・運用のポイントをSCSKが語る

無線LANの大きなトレンドとなっている「クラウドWi-Fi」で課題解決!

ジェイピー・セキュア導入実績100万サイト以上の
国産WAF「SiteGuard」

業界最速レベルで防御機能を提供するジェイピー・セキュアのWAF製品

ライムライト・ネットワークスクラウド型WAFでWebサイトを保護

ライムライトなら、自社のCDNやDDoS対策との多層防御でオリジンサーバーを攻撃から防御できる。

Office 365ユーザは使わなきゃ損
Teamsでチームワークが劇的に!

Office 365の新ツール「Teams」を使い始める企業が続出している。

CASO新技術のホワイトボックス
M2Mルーターは「切れない接続」

Foxconnグループでホワイトボックスを展開するCASO。

東京エレクトロンデバイスグローバル企業のSaaS活用を後押し
マルチクラウド化の準備はCASBで

マルチクラウドを一元的に管理したい。そんな望みを叶えられる。

拠点・モバイルをつなぐだけ!
クラウドの安全はシンプルに守る

クラウド利用の拡大とともに複雑化するセキュリティ課題を解決!

NetskopeCASBでクラウドはどこまで操れるか
既存のセキュリティとどう違う?
 

Netskopeを例にCASBの機能と使い方、メリットを整理した。

ソフトバンクソフトバンクがSMB向けの
ソリューションパートナー募集!

働き方改革を中心に新たなソリューション開発を支援する。

日本マイクロソフトSkype for Businessを
快適に使いこなすコツとは?

UCの導入効果を最大化するためには備えが必要だ。

アクセスランキング

月刊テレコミュニケーション20180226
iot
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます