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IoTビジネスカンファレンス 講演レポート

BLEとLoRaWANでコストの障壁を突破――IoTサービスの創出に挑むレンジャーシステムズ

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2017.11.10

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レンジャーシステムズ 執行役員
IoT事業部長 木村秀一氏

2016年からBLEを中心とするIoTコネクティングサービス「monoコネクト」を展開するレンジャーシステムズが、11月からラインナップにLoRaWANを追加、IoTビジネスを加速させている。安価なデバイス・ネットワークコストと、多彩な技術を活かし、企業とともに新たなIoTサービスの創出に取り組んでいくという。

LoRaWANの活用で短期間・低コストで課題を解決木村氏は、講演の後半「本日のメインテーマ」として、この日、新メニューとして提供を開始したLoRaWANサービスについて解説した。

LoRaWANは、省電力性と長距離通信を特徴とするIoT無線技術LPWA(Low Power Wide Area)の1つだ。LPWAではLoRaWAN、sigfox、NB-IoTの3つが主力となっているが、このうちsigfoxは各国1社のサービス事業者(日本では京セラコミュニケーションシステム)、NB-IoTは携帯電話事業者が構築したインフラを、企業ユーザーが利用する形になるのに対し、LoRaWANでは「免許を受けずに自らネットワークを構築しサービスを行える」点が大きな特徴だという。

加えて、LoRa Allianceによって技術仕様が策定されているオープンな通信方式であること、1基地局で数kmをカバーできる広域通信性能、送信時で20mA程、スリープ時にはその100分の1程度という高低消費電力性などの特徴を持つが、1回に送信できるデータ量が最大で240バイトにとどまるといった制約もあると述べた。

さらに木村氏は、LoRaWAN技術仕様についてさらに踏み込んだ解説を行い、センサーネットワークで広く使われる通信モード「クラスA」ではTCPと同様の誤り訂正が可能であることや、LoRaWANでは伝送距離と通信速度がトレードオフの関係になることなどを説明した。

エンドデバイスから、ゲートウェイ、クラウド(ネットワークサーバー)までワンストップで提供する「monoコネクト for  LoRaWAN」
エンドデバイスから、ゲートウェイ、クラウド(ネットワークサーバー)まで
ワンストップで提供する「monoコネクト for  LoRaWAN」 


 
さて、今回新たに提供が開始されたLoRaWANサービス「monoコネクト for LoRaWAN」は、LoRaWANネットワークの構成要素である、エンドデバイス、ゲートウェイ、ネットワークサーバーの3つをレンジャーシステムズがワンストップで提供、企業のIoTサービス構築のニーズに応えていくというものだ。

木村氏が、このサービスの大きな強みとなると見ているのが「コスト」だ。レンジャーシステムズではLoRaWANの規格がオープンであることを活かし、「ネットワークサーバーを自社開発しコストの大幅削減に成功した」という。

加えて、台湾に本社を置くジェムテック(Gemtek Technology)と販売・技術提携を結び、屋内・屋外ゲートウェイ、GPSトラッカー、ソーラーパネル内蔵センサーなどの多彩なデバイスをラインナップ、レンジャーシステムズ自身でも、温湿度をはじめとする超小型センサーデバイスを開発している点も、同社のLoRaWANサービスの大きな強みとなる。

ジェムテック製のLoRaWANゲートウェイ、センサー
ジェムテック製のLoRaWANゲートウェイ、センサー


 
さらに、NVNEとして積み重ねてきた、ネットワークの保守・運用の経験・ノウハウもレンジャーシステムズのLoRaWANサービスの大きな差別化ポイントになると木村氏は見る。

レンジャーシステムズではLoRaWANによる実証実験を積み重ねており、すでにいくつかの導入事例もでてきている。その1つが、ある大手企業が300台規模の自社の駐車場に導入したスマートパーキングのケースだ。各駐車スペースの地面にパーキングセンサーを設置、データを1台のゲートウェイを介して集約し、ディスプレー上でリアルタイムに把握できるようにするものだ。LoRaWANを用いることで、整備完了まで1カ月弱という、圧倒的な工期・コストの削減を可能にしたという。

LoRaWANを利用したスマートパーキングの導入イメージ
LoRaWANを利用したスマートパーキングの導入イメージ




レンジャーシステムズでは、LoRaWANゲートウェイの位置と電波強度を利用し、誤差100m以下の精度で(ゲートウェイ間隔3㎞以下の場合)、デバイスの位置を把握できるシステムの開発を、来年3月の実用化に向けて進めており、近く地域通信会社のQTNet(本社・福岡市)と実証実験を開始するという。

さらに、木村氏はMVNEとして蓄積してきたモバイルコア技術を活かして今後NB-IoTにも取り組んでいくとした上で、「 当社が掲げる“先端モバイル技術とソリューションで、ワクワクの輪を広げるカンパニー”というビジョンの下、皆様とともに面白いサービスを作り上げていきたい」と述べ、講演を締め括った。

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