「会議」以外へ拡がるビジュアルコミュニケーション活用事例 【Case 5】本部の“専門家”を各拠点で共有――Web会議で「遠隔窓口相談」を実現した中国銀行

急速に活用範囲が拡がっているビジュアルコミュニケーションシステム。5回目の今回取り上げるのは「遠隔窓口」。中国銀行ではWeb会議の活用により、高度な専門知識が求められる窓口業務の本部集中化を果たした。

高度な専門知識やスキル、豊富な経験を要する業務を複数の拠点で展開しようとする場合、人材の確保が大きな課題となる。要件を満たした人材を配置できなければ、業務効率の低下、サービス品質の悪化を招くことになる。

エキスパートを数多く揃えるのは、その業務やサービスの質が高度であればあるほど難しい。育成と確保には多大なカネと時間がかかる。また、多数の拠点にエキスパートを分散配置して待機させるのは、人材の効率活用という面からも無駄が多い。

こうした問題は、高い専門スキルをもった人材を本部拠点などに集中的に配置し、遠隔で対処させることで解決できる。本部の専門家と拠点との間で映像コミュニケーションを活用すれば、意思伝達の質も上がり、業務効率とサービス品質を高いレベルで均質化させることが可能になる。

各拠点で均質なサービスを提供

中国銀行(本社・岡山県)が2009年3月に運用を開始した遠隔窓口相談システムは、専門的業務の本部集中化を実現した例として興味深い。

銀行では多様な金融サービスを行っているが、中でも、預金などの遺産相続に関する手続きを行う相続業務には高度な専門知識と経験、そして顧客への配慮が求められる。当然、対応する行員のスキルによって業務の質には差異が生じざるを得ない。

中国銀行はそこで、本店内に相続業務のエキスパートを集中配置し、各営業店に来店した顧客に対してビデオ会議で手続きに関する説明を行う遠隔窓口相談システムの運用を開始した。本店内の「相続デスク」から、OKIのWeb会議システム「Visual Nexus」を利用して各営業店のPCと接続。顧客側のPCには対応する行員の顔と資料が表示され、必要書類への記入方法や注意点などについての書き込みをしながら説明を行っている(図表)。

図表 Visual Nexusを活用した中国銀行の「遠隔窓口相談システム」運用イメージ
Visual Nexusを活用した中国銀行の「遠隔窓口相談システム」運用イメージ

この遠隔窓口システムの設計・構築に当たってはVisual Nexusをカスタマイズしており、音量調整や書き込み、保留といった必要最低限の機能に絞り込んでいる。顧客側の操作は不要で、画面がシンプルなため行員側も容易に操作できる。専用端末型のテレビ会議システムと異なり、PCを端末として展開でき、カスタマイズも容易なソフトウェア製品の利点が発揮されている。

相談中は営業店のスタッフも同席してサポートを行っているが、従前と比べて業務負荷は大きく軽減されたという。

同システムは、全店展開に向け、09年末時点ですでに全169店舗中69店舗に導入されている。その事実が効果の高さを物語っている。

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月刊テレコミュニケーション2010年3月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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