ドコモが海外でコンサル事業 モバイルキャリアの通信品質改善を支援

海外事業では苦い経験続きのドコモが最近、新しいアプローチで成果を出し始めた。国内で培ったネットワークに関する経験や技術を活かし、海外の移動通信事業者をサポートするビジネスだ。

今年3月に発表されたアジア主要都市別のスマートフォン普及率によると、東京の普及率が87.4%なのに対して、香港や台北、北京、シンガポールなど8都市で90%を超えている(図表)。

アジア各国ではこの3~4年間で急速にスマホの普及が進んだ。その反動から大きな課題となっているのが、「つながりにくさ」である。そうしたなかNTTドコモが立ち上げたサービスが、通信品質の改善をサポートする海外の移動通信事業者向けビジネスだ。

図表 都市別スマートフォン保有率
図表 都市別スマートフォン保有率

高層ビルの林立で電波干渉ドコモが2015年11月に開始したネットワークコンサルティングサービスは、国内で培ったネットワークに関する技術や経験を活かし、現地のネットワークの設計・構築、運用・保守に関する課題の改善策を提案するというもの。

その第一弾として、フィリピンの移動通信事業者SMART COMMUNICATIONSから、メトロポリタン・マニラ地区にあるビル群の品質測定と屋内の無線品質改善に関するコンサルティングを受注した。

フィリピンの首都圏にあたる同地区は近年、著しい経済発展を遂げており、高層ビルの建設ラッシュが続いている。その結果、ビルの高層階では電波干渉などの影響を受けて携帯電話が利用しづらい状況が発生しており、エリア品質の改善が急務となっていた。

ビル内の電波環境の改善策としては、各階に屋内用基地局を一定間隔で設置するIBS(In-Building System)と呼ばれる方法がある。最も確実に改善できるとされる一方、高層ビルはフロア数が多く、コストと工期がかさむのが課題だ。

しかも、屋内用基地局をただ均等に配置すればいいわけではない。周辺の電波環境を測定し、さらにビルの構造や壁の材質を考慮したうえで適切な場所に配置することが必要で、そのための知識やノウハウが求められる。

ビル向けの改善策としては、この他にもレピータやブースターを設置するという簡単な方法や、ビルの外側から上層階に向けて電波を照射するNBA(Narrow Beam Antenna)などがある。

「事業者の予算や要望を聞き、適材適所に手法を組み合わせてエリアを改善するのがコンサルティングの腕の見せ所」とNTTドコモ 国際事業部事業推進担当 担当部長の田村基氏は説明する。

NTTドコモ 国際事業部 事業推進担当 担当部長 田村基氏
NTTドコモ 国際事業部 事業推進担当 担当部長 田村基氏

月刊テレコミュニケーション2017年9月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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