ICT×未来

[シリーズ]FUTURE NETWORK 第3回

ネットワークに「知性」が宿る――「エッジ」と「スライス」で進化

文◎坪田弘樹(編集部) 2017.07.03

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

キャリア網は今後、リアル世界のモノを動かす基盤へと進化する。そのためには、ネットワーク内に知性を備える必要がある。これを実現する2つの潮流が、エッジコンピューティングとネットワークスライシングだ。

 
「ネットワークの進化の方向性が変わる」――。通信業界に関わる人の多くがそう口にする。

まず、役割が変わる。これまでのネットワークは相手とつながり、情報を獲得するためのものだった。だが、「これからは物理的なモノを動かす役割を担う」と話すのは、NTT未来ねっと研究所所長の川村龍太郎氏だ。従来とは「役割が決定的に違う。それに伴って新しい要件が出てくる」。

NTT未来ねっと研究所 所長 川村龍太郎氏
NTT未来ねっと研究所 所長 川村龍太郎氏


ノキア IP/OpticalネットワークIPルーティング本部長の鹿志村康生氏も、技術進化を促す「ドライバーが変わる。これまでにない要求が出てくる」と話す。

代表例は低遅延化だ。鹿志村氏によれば、自動運転で許容されるネットワークの遅延は最大2ms(ミリ秒)。電力グリッド制御では1msという。ちなみに、人間の前庭動眼反射(姿勢保持のための反射)は7ms。要件がいかに厳しいかがわかる。

ノキア IP/Opticalネットワーク IPルーティング本部長 鹿志村康生氏
ノキア IP/Opticalネットワーク IPルーティング本部長 鹿志村康生氏


もちろん帯域に対する要求も、これまでとは桁違いだ。シスコシステムズの年次調査「Cisco VNI Global Data Traffic Forecast」によると、モバイルトラフィックは年率53%増で推移し、2016年の6.2EB(エクサバイト)から2020年には30.6Eを超える見込みだ。

このように過酷かつ多様な要件に応えるには、ネットワークアーキテクチャを大きく変える必要がある。

 

ネットワークを変える2つの潮流新たな進化の方向性の1つが、「エッジコンピューティング」である。

ユーザーに近いところでコンピューティング処理を行うもので、クラウドの処理を代替したり、受け取ったデータを一次処理してからクラウドに送る等の補完的な役割を担う。

現状では、工場等の施設内にエッジサーバーを配置して特定用途に使う形態が主流だ。しかし、今後は、汎用的に使える“エッジコンピューティング基盤”をキャリア網内に配置し、複数のサービスで共用する形態も広がる可能性がある。エッジに小型のクラウドが分散するイメージだ。

2つめの方向性は、ネットワークの“使わせ方”が変化することだ。

キャリア網はこれまで静的だった。サービスごとにネットワークを作り、基本的にはそれを何年も使う。

だが、それではこれからの時代に対応できない。「1つのネットワークを資源として、複数のサービスに使わせる消費型のモデルになる」と鹿志村氏は話す。これを実現するのが、サービスごとに仮想スライスを作って提供する「ネットワークスライシング」だ。

こうした運用を実現するために重要なのが、インテリジェンスを備えたネットワークである。刻々と変わるネットワークの状態を把握しながら、リソース配分や経路制御を動的に行って、サービス要件に応えるスライスを動的に作りユーザーに提供する。さらに、エッジコンピューティングの機能をスライスに組み込んで提供するといった運用も必要になるだろう。これは、人間の手作業では不可能だ。「運用の自動化が必須」とNECのテレコムキャリアビジネスユニット SDN/NFVソリューション事業部で主席技師長を務める村上紅氏は語る。

NEC テレコムキャリアビジネスユニット SDN/NFVソリューション事業部 主席技師長 村上紅氏
NEC テレコムキャリアビジネスユニット SDN/NFVソリューション事業部 主席技師長 村上紅氏


では、この2つの新技術はどのように実現され、ネットワークの使い方はどう変わるのかを見ていこう。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

daiwa1802
ms1802
i31802

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】働き方改革×デジタルの
   新・教科書

5G+ロボットで遠隔就労/IoT家具で生産性向上/サテライトオフィス/RPAに単純作業はお任せ/音声AIが仕事を変える日

◆ノキア ジョン・ハリントン社長「5Gだけが『次世代』ではない。エンタープライズ市場への参入で拡大戦略」/◆NTTドコモの「トップガン営業」/◆LTE網を汎用ハードとOSSで作る/◆Tモバイルが600MHz帯に5G導入/◆マルチクラウド化の準備を始めよう!◆日立製作所のSD-WAN導入

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

Office 365ユーザは使わなきゃ損
Teamsでチームワークが劇的に!

Office 365の新ツール「Teams」を使い始める企業が続出している。

CASO新技術のホワイトボックス
M2Mルーターは「切れない接続」

Foxconnグループでホワイトボックスを展開するCASO。

東京エレクトロンデバイスグローバル企業のSaaS活用を後押し
マルチクラウド化の準備はCASBで

マルチクラウドを一元的に管理したい。そんな望みを叶えられる。

拠点・モバイルをつなぐだけ!
クラウドの安全はシンプルに守る

クラウド利用の拡大とともに複雑化するセキュリティ課題を解決!

NetskopeCASBでクラウドはどこまで操れるか
既存のセキュリティとどう違う?
 

Netskopeを例にCASBの機能と使い方、メリットを整理した。

ソフトバンクソフトバンクがSMB向けの
ソリューションパートナー募集!

働き方改革を中心に新たなソリューション開発を支援する。

日本マイクロソフトSkype for Businessを
快適に使いこなすコツとは?

UCの導入効果を最大化するためには備えが必要だ。

日本ビジネスシステムズ“電話”からはじめる働き方改革!

日本ビジネスシステムズのクラウドPBXは、働き方改革を目指す日本企業にピッタリのIP電話サービスだ。

Dialpadピュアクラウドで進化し続ける電話

「PBXを買いたくない」「電話回線を引きたくない」。そんな企業に最適なクラウドテレフォニーがある。

東京エレクトロンデバイスIoTデバイス特化のAIで異常検知

IoTデバイスを狙ったマルウェアが急増中だ。ZingBox IoT Guardianは、IoTに特化したAIで検知する。

Aruba次世代NACでIoTの脅威をブロック

Arubaの次世代NACはエージェントレスでIoT端末にも対応! リスクを検知し有害端末を隔離できる。

ダイワテクニカルハドルルーム向け高品質テレビ会議
販売店の手軽なプラスワン商材に!

4KとGoogleアシスタント対応
販売価格は破格の約12万5000円!

日本マイクロソフトOffice 365の悩みはオフロードで解決! NIerが教えるNW構築法

Office 365の導入支援で豊富な実績を持つNIer 3社に秘訣を聞いた。

アイキューブドシステムズスマホでOffice 365をセキュアに
MDMには“働き過ぎ防止”機能

端末にデータを残さずブラウザやメーラー等のアプリを利用できる。

マクニカネットワークスセキュリティと生産性向上を両立
モバイル活用に必須のEMMとは?

スマートデバイスの業務利用に本当に必要なのは「EMM」だ。

ネットモーションソフトウェアあらゆる環境で「切れないVPN」

「スマホのアンテナは立っているのにつながらない」。NetMotionなら高速かつ安定した通信が可能だ。

日本制禦機器ついにISDNが終了、コスパ追求しながら光回線へ移行する方法

既存のISDN機器を使い続けながら、毎月の通信料金は今より安く!

日本マイクロソフトWindows 10/Office 365の更新
これだけ知っていれば怖くない!

ネットワーク帯域を圧迫するアップデートをうまく乗り切るには?

アクセスランキング

月刊テレコミュニケーション20180226
ngn
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2017 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます