ICT×未来

[シリーズ]FUTURE NETWORK 第2回

衛星通信で「地球丸ごとIoT化計画」

文◎唐島明子(編集部) 2017.06.27

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僻地や災害時の通信手段として重宝されてきた衛星通信が、大きな変化の時期を迎えている。これから、衛星通信による「高速大容量」「低遅延」「低コスト」なインターネット時代の幕が開ける。

 
「衛星通信で高速インターネット」――。そう聞いてピンとくる人はどれくらいいるだろうか。「リアリティがない」といった感想を抱く人も少なくないはずだ。

しかし、宇宙から降ってくる電波で高速インターネットができる時代は、もうそこまで迫っている。

「次世代の衛星通信会社、米ワンウェブ(OneWeb)に、10億ドルの投資をする。ワンウェブでもう一度、通信革命を起こしたい」

ソフトバンクグループ代表取締役社長の孫正義氏が、2017年3月期第3四半期決算説明会でこう言及したワンウェブは、衛星通信による高速インターネットを実現しようとしている、2012年設立の衛星通信ベンチャーだ。

ワンウェブは、地上から衛星へのアップリンクは25Mbps、逆のダウンリンクは50Mbpsという高速インターネットサービスを2020年頃までに地球全体のカバレッジで提供することを目指しており、ソフトバンクのほかにも英ヴァージン・グループ、欧州エアバス・グループ、米コカコーラ、米クアルコムなど、世界の名立たる企業から資金を集めている。
ワンウェブの衛星通信用アンテナ。小学校の屋根などに取り付けられる
ワンウェブの衛星通信用アンテナ。小学校の屋根などに取り付けられる

また、米テスラのCEOとしても知られるイーロン・マスク氏が2002年に設立した米スペースX(スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ)は、「米国やインターネットが整っていない地域に対して、高速・低遅延で安価なネットワークを提供する」と米上院の通商・科学・運輸委員会で宣言。同社は1ユーザーあたり1Gbpsの高速な衛星通信サービスを目指している。

スペースXは、試験衛星を2017年後半から2018年前半にかけて打ち上げた後、2019年から本番用の衛星を打ち上げ始め、2024年には周波数帯域をフルに活用する衛星通信システムを完成させる計画だ。

変革期にある衛星通信ビジネス「衛星通信ビジネスは変化の時期にある」。こう語るのは、日本唯一の衛星通信事業者、スカパーJSATの森合裕氏だ。

同氏によれば、その背景には大きく2つの要因があるという。「2012~13年頃から、低軌道衛星を扱う事業者が世界中で出てきており、ベンチャー企業もどんどん参入してきている。HTS(High Throughput Systems)という技術的なブレークスルーもあった」
スカパーJSAT 宇宙・衛星事業部門 事業戦略部長 森合裕氏
スカパーJSAT 宇宙・衛星事業部門 事業戦略部長 森合裕氏

まずHTSについてだが、これは衛星通信を高速化する新技術だ。

衛星通信では、地球上から送られてきた電波を衛星がキャッチし、衛星で電波の周波数を変えたり増幅させるなどしてから再び地球上の目的地のアンテナへ送り返す。その際、従来の衛星のように1つのビームで広いエリアをカバーするのではなく、HTSは蜂の巣のようなスポットビームでカバーすることで、今までの衛星通信と比較して約10倍の通信容量を実現する(図表1)。

隣接するスポットビームでは異なる周波数を、隣接していないスポットビームでは同じ周波数を使うことで、周波数利用の効率化を図る。様々な種類の衛星で利用できる技術だ。

 

図表1 HTS(High Throughput Satellite)のイメージ図
図表1 HTS(High Throughput Satellite)のイメージ図


衛星通信のコストは、打ち上げた衛星1基に何ユーザーを収容できるかで決まる。スポットビームの数を増やせば増やすほど、ビット当たりの単価は安くなり、「20Mbpsほどの通信速度であれば、HTSを使えば、今でも地上のインターネットと変わらないコストで実現可能になってきた」という声もある。
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