ICT×未来

デジタル変革と通信業界[第1回]

デジタル化に4つの「成功法」――業界構造によって異なる勝ちパターン

文◎松岡良和(NTTデータ経営研究所) 2016.12.19

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あらゆる企業が今、デジタル化による変革を迫られているが、その本質は何か。Uberなど、デジタル化をリードする企業を分析すると、4つの「勝ちパターン」が見えてくる。

 

「ITの戦略的活用」の重要性が叫ばれて久しい。歴史を振り返れば、SIS、ERP、クラウドなど、その時々のITトレンドが特定の業界を超えたビジネストピックスとして注目を浴び、重宝されてきた(図表1)。

 


図表1 産業界におけるITの進化・発展の歴史
図表1 産業界におけるITの進化・発展の歴史


 

そして近年、金融業界のFinTechや教育業界のEdTechに代表される、ITを活用した新たなサービス/ビジネスモデルの確立が各界で進められている。IoTやAI、ロボティックス等の最先端テクノロジーが安価に活用できる環境が整備されていくなか、この「X-Tech」へのチャレンジとその成否が今後の企業競争力に大きなインパクトを与えると目されている。

各産業のコアコンピタンスや基本的なビジネスモデルの有り様にITがプロアクティブに関わっていくトレンドが「デジタル化」の基本構造だ。

今後、ITは、従来以上に新しいビジネスモデルの創造や業界構造の質的転換を直接的に後押しすることが予想される。

ITの効果的なマネジメントが、各産業において最重要の経営課題となる日も近いだろう。

二面性を持つ「デジタル化」「デジタル化」は、業界の枠を超えた“確かな流れ”だが、他の産業とは異なり、通信業界にとっては、対峙の仕方が極めて難解かつ複雑な経営トピックスといえる。

金融、自動車、医療、教育等の各業界で進められている「デジタル化」は、基本的には自らの業界に閉じたイノベーションであり、従来ビジネスや競合他社を凌駕することだけに専念して変革を進めていくことが可能である。

もちろん、新たなテクノロジーやビジネスモデルを持ち込む異業種やスタートアップ、法律や制度の影響下で棲み分かれていた隣接プレーヤーの存在は無視できない。

しかし、見定めるべき事業ドメインの幅は限定されており、変革対象や投資対象は極めて明快に定めることが可能である。

一方、通信業界における「デジタル化」は2つの面を持つ。他の業界と同様、通信業界自身が新たなITを活用して自己変革していく側面と、ソリューションプロバイダーとして各業界の「デジタル化」にどう貢献していくかという側面の2つだ。

例えば、通信事業者には今後、「デジタル化」の波に合わせるかたちで、今まで扱ったことのない技術への対応が求められることは想像に難くない。各産業の「デジタル化」にスムーズに対応できなければ、法人マーケットにおいて自らのポジションをより「土管屋」へ誘うこととなる。

また、通信業界が各産業の「デジタル化」において、より重要な役割を果たすことを志向するならば、“規範”として自らが「デジタル化」で成功を収めることが肝要だ。人様の経営に口を出している本人が旧態依然とした事業運営を行っているようでは、各産業の「パートナー」として「デジタル化」の世界でしかるべきポジションを獲得することは困難である。

つまり、顧客の「デジタル化」への対応と自身の「デジタル化」、どちらを優先すべきかという問題ではなく、この両方を迅速に同時並行で進めていかなくてはならない。

そこでまずは、通信業界に限定せず、幅広い業界の「デジタル化」を概観することで、「デジタル化」の本質を明らかにしよう。

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著者プロフィール

松岡良和(まつおか・よしかず)

NTTデータ経営研究所 ビジネスソリューションコンサルティンググループ パートナー。専門領域は情報通信、ハイテク、メディア、エンターテイメント分野における事業戦略策定、新規事業開発、アライアンス/M&Aの実行支援等。国内大手システムインテグレーター、外資会計系コンサルティングファーム、外資戦略系コンサルティングファームを経て、NTTデータ経営研究所に参画

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