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通信業界のデジタルトランスフォーメーションの勘所は?――IDC Japanの小野陽子氏に聞く

構成◎唐島明子(編集部) 2016.12.01

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IDC Japan コミュニケーションズ
シニアマーケットアナリスト
小野陽子氏

デジタルトランスフォーメーションに注目が集まっている。しかし、デジタル化の波は、まだ動き出したばかり。IDC Japanの小野陽子氏に、デジタル化の意味や通信業界における先進事例を尋ねた。

 

――デジタルトランスフォーメーションが話題です。しかし、日本企業はデジタル化に対する意識が低いようです。

小野 「デジタル化に対応できない企業は生き残れない」――。長期的な視点ではそうなるとIDCは考えていますが、確かに海外と比較して、日本のユーザー企業のデジタルトランスフォーメーションに対する意識は高くありません。実際に調査の結果でもそのような数字が出ています。

その理由は、「ユーザー企業のIT部門がどれだけITに強いか」が、海外と日本では異なるからだと思います。

米国の場合、ユーザー企業側にITエンジニアが集まっており、技術力も高いです。ベンダー側に技術力がないとは言いませんが、ITの主導権はユーザー企業にあります。

ところが日本の場合、多くのITエンジニアがベンダー側にいます。そして終身雇用の傾向が強く、人材の流動性が小さい。ユーザー企業のIT部門は最新の技術に触れる機会も少なく、システム導入はベンダー主導の構図になりがちです。

デジタルトランスフォーメーションのキーワードは“スケール”――IDCはデジタルトランスフォーメーションをどのように捉えていますか?

小野 IDCは、デジタルトランスフォーメーションを次のように定義しています。「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創造し、競争上の優位を確立すること」。

デジタルトランスフォーメーションは、従来のクライアントサーバー型のシステムではなく、クラウド、モバイル、AI、IoTといった新しい技術で実現していくことになります(図表)。そのようなデジタルトランスフォーメーションでは、“スケール”がキーワードになるでしょう。

 


図表 デジタルトランスフォーメーションを支えるデジタル技術
図表 デジタルトランスフォーメーションを支えるデジタル技術

 

――スケールとは、具体的にどのようなことですか。

小野 例えばですが、スマートフォンの普及によりデバイス数は増加しましたが、単にデバイス数が多くなっただけでなく、利用されるアプリケーション数も劇的に増えています。

PCのアプリは数千~数万円しますし、バンドルされているものを利用するだけのことも多く、1人でいくつもアプリを購入することは多くありません。

ところがスマホになった途端、価格は無料や数百円になり、1人で何十個もアプリをインストールしたりします。このように、売れる数は増加する一方で、平均単価が下がるのはデジタルトランスフォーメーションの典型です。

他にも、IoTにより、単価が低いネットワークの回線数も増えます。これまで企業はデータセンターと各拠点との接続を考えていればよかったのですが、今後は膨大な数のIoTデバイスとクラウドを接続し、AIで処理する必要が出てきます。さらにAPIエコノミーが浸透すれば、クラウドに置かれたシステム同士がAPIで自動連携するなど、より多様な接続、すなわちエコシステムのスケールも起きるでしょう。

――通信業界は、ユーザー企業のデジタルトランスフォーメーションを支援する一方で、自らのデジタルトランスフォーメーションも進めなければなりません。

小野 IDCはデジタルトランスフォーメーションへのアプローチとして、①リーダーシップ変革、②オムニエクスペリエンス変革、③情報変革、④運用モデル変革、⑤ワークソース変革などがあると考えています。

業種や業態によって異なりますが、通信業界の取り組みとして重要になるものの1つに④があると思います。

例えば、従来の一般的なデータセンターの運用では、1人あたり数台から数十台のサーバーしか運用できていませんが、グーグルは様々なイノベーションで1人数千台を運用する規模感で、圧倒的なスケールを実現しています。通信事業者の運用にも同様の効率化が求められます。

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