国内IoTは限定的導入のステージ――阻害要因は技術乱立や見えにくい費用対効果

IDC Japanは、国内のIoTユーザー企業に対してIoTの取り組み状況について調査し、成熟度を分析した結果を発表した。それによれば、国内ユーザー企業の47.9%が「限定的導入」の段階であり、組織全体のビジネス基盤として活用している企業はまだ少ないことが明らかになった。

同社は、IoTを含めたIT環境の導入状況を5段階で評価している。5段階はそれぞれ、ステージ0が未導入、ステージ1が個人依存、ステージ2が限定的導入、ステージ3が標準基盤化、ステージ4が定量的管理、ステージ5が継続的革新となっている。

今回の調査では、国内IoTユーザー企業においてはステージ1の企業が2.8%、ステージ2の企業が47.9%、ステージ3が36.1%、ステージ4が12.6%、ステージ5が0.6%だった。この傾向を米国の調査結果と比較した場合、日本企業の限定的導入の割合は15ポイント程度高い一方で、継続的革新は米国企業の方が10ポイント程度低くなっている。

国内企業において、限定的導入から標準基盤化へのシフトが遅れている理由は、IoTの費用対効果が見えにくいこと、IoTに関わる技術標準が乱立しており選定が難しいこと、法規制が障壁となっていること、情報セキュリティ上の不安が払しょくできないことなどが関係しているという。

IDC Japan コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣悠太氏は、「IT技術を駆使することで、企業は単なるIoTユーザーではなく、IoTをベースとした『サービスプロバイダー』になることが可能になってきている」とした上で、「企業はIoTのサービスプロバイダー化を進めるには、ITベンダーとは顧客とサプライヤーの関係ではなく、ビジネスパートナーとして対等な関係を構築することが重要になる」と分析している。

国内IoTの成熟度ステージ分布
n=163
Source: IDC Japan, 8/2016

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