5Gが拓く未来――SFの世界がついに現実に

5Gによる超高速・大容量、超低遅延な通信インフラが実現したとき、我々の生活はどう変わるのだろうか。5Gの特性を活かした未来のアプリケーションとサービスを大胆に予想してみた。

「5Gは社会インフラを変え、我々の生活を変える」─。通信事業者やベンダーはそう口を揃える。多種多様な産業が5Gシステムをプラットフォームとして活用することで、これまでにないアプリケーションやサービスが創出されることが期待されている。

では、5Gが実現すると、我々は何ができるようになるのか。5Gの特性を活かしたアプリケーションやサービスの具体像を見ていこう。
選手の視点でスポーツ観戦高速・大容量化だけを取ってみても、我々の生活への影響は大きなものとなる。単純な例で言えば、ピークレート10Gbpsの高速性を活かして、家庭向けのFTTHサービスが代替できる。米ベライゾンが2017年から、光ファイバーの代わりに“5Gに近い無線技術”を使って、フィックスドワイヤレスアクセス(固定無線アクセス:FWA)の提供を計画している。

超高速・大容量の特性を活かす最も有望な分野は、やはり映像系サービスだろう。

例えば、KDDI研究所が2020年までの実用化を目指して研究を進めている「3D自由視点」がある。スポーツ中継等で、スタジアムに設置された複数台のカメラ映像を合成し、視聴者が求める視点の映像を作り出すことで、自由に視点を操作できるようにする技術だ。サッカー中継であれば、「上空からフォーメーションを見たい」「ゴール裏から臨場感のある得点シーンを見たい」「選手と同じフィールド上の目線で見たい」など、好みの視点を選んで視聴できる。

この3D自由視点でリアルタイム中継を楽しむには、映像品質やフレームレート、伝送データの形式・圧縮率にもよるが、4K映像の場合で200Mbps程度の通信速度が必要だという。

録画映像を基にサーバー側で映像を合成してから送るのであればもっと少量のデータでも足りるが、リアルタイムに視聴するには、複数のカメラ映像を端末に送り手元で合成する必要があるため、どうしてもデータ伝送量が大きくなる。現在では光ファイバーが必須だが、5Gが実現すれば、タブレットなどのモバイル端末でも利用できるようになるだろう。

なお、この技術はスポーツ以外にもコンサートや、バーチャルな観光地めぐりなどにも応用できる。ステージ上の人物や名勝地を自分好みの視点で見ることも可能になる。

月刊テレコミュニケーション2016年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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