テレビ会議・Web会議システム最新動向[2016年版]

テレビ会議・Web会議は会議にとどまらない、さまざまな用途で使われるようになっている。導入が遅れている中小企業や小規模向けでシェア拡大を図る動きも見られる。

テレビ会議・Web会議に代表される遠隔会議システムはすでに大企業の約8割が導入しているといわれ、普及のステージは中堅中小企業へと移行している。

一昔前は1000万円を下らなかったテレビ会議も低廉化が進み、現在は数十万円台で入手することが可能になっている。とはいえ、IT予算の限られた中小企業にとっていまだに“高嶺の花”であることに変わりはない。そうした企業では、まず安価な音声会議やWeb会議から入り、使い勝手を把握した上でリプレイス時にテレビ会議にバージョンアップする傾向があるという。

調査会社のシード・プランニングの予測によると、ビデオコミュニケーションの市場規模は15年の455.4億円から、16年は前年比107%の488億円へと成長する(図表1)。

図表1 国内ビデオコミュニケーション市場規模予測(単位:億円)
図表1 国内ビデオコミュニケーション市場規模予測(単位:億円)

品目別ではビデオ会議(テレビ会議)とWeb会議で50%以上を占める。両者が牽引役となって市場は堅調に推移する見込みだ。

同社リサーチ&コンサルティング部エレクトロニクス・ITチーム2Gリーダ主任研究員の原健二氏は市場拡大の要因として、「社内会議にとどまらない、さまざまな用途への広がり」を挙げる。双方向の映像コミュニケーションを会議以外の目的に利用する企業が増えており、会議は用途の1つにすぎなくなっているというのだ。このため、同社では遠隔会議システム全般を「ビデオコミュニケーション」と呼んでいる。

会議以外の用途としては、金融機関の窓口相談、遠隔医療、遠隔拠点の作業指示、現地法人の採用面接などがあるという。

例えば金融機関の場合、資産運用などの専門家をすべての支店に配置するのは難しいことから、支店の顧客と本店にいる専門家を会議システムでつなぎ、相談業務を行っている。ユニークなところでは、東京と大阪、本社と工場など2拠点間を常時つなぎっぱなしにして、プレゼンスの“見える化”として活用しているケースもある。

また、政府が「世界最先端IT国家創造宣言」の中で、「2020年までにテレワーク導入企業数を2012年度比3倍に」といった明確な目標を掲げ、在宅勤務の導入などワークスタイル改革を推進していることも、市場の成長を後押ししている。

テレビ会議・Web会議の使われ方は従来の社内会議という閉じた世界から、社内外のコミュニケーションという開かれた世界へと大きく変化しており、今後もこの流れは続きそうだ。

こうした現状を踏まえ、ここからは、メーカー動向と製品動向を見ていくことにする。

月刊テレコミュニケーション2016年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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