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5Gの“技術革新”の核心とは?(超低遅延&フレキシビリティ編)

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2016.07.12

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5Gの高い能力は、1つの技術革新だけで実現するわけではない。5Gは、様々な最新技術の集合体だ。前回の超高速大容量に続き、今回は超低遅延とフレキシビリティの2つの観点から5Gの技術面を解説する。

超低遅延(1) 伝送時間間隔をもっと短く5Gの3つのユースシナリオの1つであるミッションクリティカル通信。これを実現するうえで肝となるのが遅延時間だ。

4Gでもネットワーク構成を考慮すればエンド・ツー・エンドの遅延時間を数十ms程度に抑えることができるが、自動運転や遠隔手術といったユースケースでは、数ms程度に遅延時間を短縮する必要があるとされる。5Gではエンド・ツー・エンドで数msの超低遅延を実現するため、まず無線区間の遅延時間を4Gの10分の1、1ms以下に短縮することを目標としている。

では、これはどのように実現されるのだろうか。

1ms以下の遅延時間を実現するための具体策の1つとなるのが、前回の「高速大容量化(2)」で紹介したOFDMAのサブキャリア間隔の拡大である。ノキア テクノロジーマネージャーの野地真樹氏の説明にしたがって解説しよう。

前回説明した通り、4Gでは15kHz幅の多数のサブキャリア上にデータを乗せて伝送を行っている。このサブキャリアは時間軸で見ると、1ms単位の「サブフレーム」(パケット)ごとに分割され、データを運んでいる。サブフレームの長さは、TTI(Transmission Time Interval:伝送時間間隔)と呼ばれる。

ノキアが3GPPに提案した5Gの無線仕様(OFDMA拡張仕様)は、サブキャリアの幅を4Gの5倍の75kHz幅とすることにより、1つのサブキャリアで5倍の情報を伝送するというものだ。ノキアでは、これに伴い、TTIを5分の1の0.2msとすることを提案している。

TTIが短くなると、データのやりとりの際の待ち時間が減り、遅延時間を短縮できる。併せて再送処理の簡素化などの手法を採ることで、無線区間の往復1msというスペックが実現できるのだという。

以上はノキアの提案をベースにした説明だが、他の大手ベンダーも若干の数字の違いはあるものの、同様の提案を行っている。

4Gの遅延も短縮

OFDMAの15kHzのサブキャリア間隔は変更せずに、1つのサブフレームで送れるデータ量を減らすことで、TTIの短縮を図る手法もある。情報量を半分にすればTTIは0.5msに、7分の1では0.14msとなる(図表3)。

 


図表3 低遅延化の実現技術(フレームサイズの短縮、4G)
図表3 低遅延化の実現技術(フレームサイズの短縮、4G)

 

この手法は、4Gの発展規格であるLTE-Advanced Pro向けに現在提案されているものだ。野地氏は「5Gの遅延時間だけが短縮されても、それ以外の広いエリアをカバーする4Gが現状のままでは用途が限られてしまう。この手法を利用すれば、ネットワーク全体の遅延時間を短縮できる」と話す。

5Gは、6GHz以上の高周波数帯だけではなく、4.5GHz帯などにも導入される見込みだ。こうした比較的周波数帯については、5Gでも4Gと同じ15kHzのサブキャリア間隔のOFDMAを使おうという意見が大勢になりつつあるという。そうなった場合、6GHz以下の5Gについては、この手法が使われることになりそうだ。

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