キーパーソンが語る

テレワーク協会の宇治会長に聞く「最も必要なのはマネジメント層の意識改革」

聞き手◎土谷宜弘(月刊テレコミュニケーション編集長) 2015.01.28

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政府は、「世界最先端IT国家創造宣言」に基づきテレワークを活用した新たなワークスタイルの実現を推進している。日本テレワーク協会の宇治則孝会長は「テレワークが当たり前の働き方になる。2015年はそのスタートの年にしたい」と話す。


――テレワークは古くからありますが、これまでなかなか普及してきませんでした。しかし、ワークスタイル変革の機運が高まるとともに、その働き方が見直されています。同じテレワークという言葉で表現されていても、以前とはその意味が大きく変わったのではないでしょうか。

宇治 その通り、格段に変わっています。現在、多くの方が関心を持っているテレワークは、例えば10年前のテレワークとはまったく違うものと考えるべきでしょう。

テレワークを定義すると「ICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」となります。これは以前から変わっていませんが、違うのは、テレワークを実現するための技術が飛躍的に進歩したこと、そして、ワークスタイル変革が企業の、日本の成長のために極めて重要だという認識が広がったことです。

技術面については、高速なネットワークが安価に利用できるようになりました。また、クラウドの普及も大きな後押しになります。

一方、ワークスタイル変革の機運について言えば、時間と場所に縛られた働き方から、縛りのない柔軟な働き方に変わることで、多様な人材を活用できるようになります。働き方のパラダイムシフトが起こりつつあり、その重要性が広く認められるようになりました。


日本テレワーク協会会長 宇治則孝氏
日本テレワーク協会会長 宇治則孝氏

2020年までに「在宅型テレワーカー」倍増へ

――そうした新しい働き方を実践するためにテレワークが有効だという考え方が広がっているのですね。

宇治 そうです。本当にいろいろな人がテレワークに関心を持っています。政府関係者にも企業経営者にも、テレワークの必要性を認識する人が一気に広がりました。これが最も大きな変化だと言えます。

さらに言えば、日本の成長戦略の肝である女性の活用促進と地方創生の2つを推進するために、テレワークが有効なツールになるということも多くの人が認識し始めています。

こうしたことから私は、テレワークが新しい時代に、第2フェーズに入ってきたと感じています。実は十数年前にも当協会の理事を務めていたことがありますが、そのときとはまったく違う追い風を感じています。

――現在の普及度はどの程度ですか。

宇治 モバイルワーク(外出先や移動中にPCや携帯/スマートフォン等で仕事を行う)も含めたテレワーク人口は日本全体で1120万人、全労働者の17%です。そのうち、週に一度以上在宅勤務を行う「在宅型テレワーカー」の数は260万人、全労働者の4.5%です。

テレワーク制度の導入企業については、従業員が100人以上の企業を対象にした調査結果で、全体の9.3%が導入しています。資本金50億円以上の企業に限れば、導入率は38%になり、大企業ではかなり導入が進んでいると言えます。ただし、日本企業の大部分はこの調査に含まれていない中堅中小企業が占めていますから、実際の導入企業数はまだまだ少ないのが現状です。

政府は、2020年までに在宅型テレワーカー数を現在の4.5%から10%に、導入企業数も2012年度比で3倍に増やそうという目標を立てています。

――テレワークの導入率を高めるには何が必要でしょうか。

宇治 課題の1つは、中堅中小企業にまだ広がっていないこと。そして、大企業に関しても、制度は導入されているものの使っている人は一部の社員に過ぎません。まだ「みんなのための制度」になり切れていないというのがもう1つの課題です。

これを解消するには、意識の変化を促す取り組みが不可欠です。特別な人の働き方ではなくて、働き方の多様化や生産性向上のためにテレワークを活用するというふうに考え方を変えなければなりません。

 

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著者プロフィール

宇治則孝(うじ・のりたか)氏

1973年京都大学工学研究科修士課程修了。同年、日本電信電話公社(現NTT)入社。NTTデータに異動後、新世代情報サービス事業本部長、経営企画部長、法人分野の事業本部長等を経て、05年代表取締役常務に就任。07年日本電信電話株式会社(NTT持株)の代表取締役副社長就任。12 年同社顧問。13年、日本テレワーク協会会長にも就任。企業情報化協会(IT 協会)会長、国際大学GLOCOM客員教授等も兼ねる。著書に『クラウドが変える世界- 企業経営と社会システムの新潮流』(日本経済新聞出版社)等。

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