企業ネットワーク最前線

「iPhone×作業現場」が解決した3つの課題とは?――店舗デザイン設計・施工会社、バウハウス丸栄のモバイル活用

文◎百瀬崇(ライター) 2014.11.17

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

店舗のデザインや設計、内装などを事業とするバウハウス丸栄。内勤者を除く全社員にiPhoneを貸与し、外出先から社内のイントラネットに接続できる環境を構築した。これにより、社員の業務効率は大幅に向上。“働きやすい”職場環境を実現している。

FaceTimeで作業現場の映像をリアルタイム伝達

バウハウス丸栄では、リモートアクセスソリューションを活用し、iPhoneから社内のイントラネットへセキュアに接続できるようにしている。

また、社内メールにはトランスウェアのWebメールサービスを採用。iPhoneを使って、どこでもメールの送受信が可能になり、外出先から社内メールをチェックできないという課題は解消された。

これと併せて、事業部ごとに共用のメールアドレスを使用して関係者だけが閲覧できる仕組みも整えた。そのメリットについて、中部第Ⅱ本部 第1事業部 事業部長の大洞昇司氏は、「事業部のメンバーがお互いにどんな仕事をしているのかが分かりますし、部下に届いたメールを見て、『こんなメールが届いているけれど、進捗はどうなっているのか』などと問いかけることもできるようになりました」と語る。

 

中部第Ⅱ本部 第1事業部 事業部長 大洞昇司
バウハウス丸栄 中部第Ⅱ本部 第1事業部 事業部長 大洞昇司氏



アップルのビデオ通話アプリ「FaceTime」も利用している。FaceTimeが活躍するのは、例えばこんなシーン。作業現場で不足した特注部品について説明する際、言葉だけでは相手に伝わりにくい場合がある。

「以前は現場近くのコンビニエンスストアのFAXを使ってイラストを送ることもありましたが、常にコンビニが近くにあるとは限りません。それがFaceTimeを使うことで、特注部品の映像を実際に見せながら説明できるようになり、正確な情報共有とスピーディな対応が可能になりました」(大洞氏)

 

作業現場の状況をiPhoneで撮影して情報共有 必要な部品をiPhoneで映して社内のスタッフに伝える
作業現場の状況をiPhoneで撮影して情報共有 必要な部品をiPhoneで映して社内のスタッフに伝える



スマホ向けのビジネス用クラウドアプリをセット利用できるKDDIのパッケージサービス「ベーシックパック」を利用し、様々なクラウドアプリも活用している。

例えば「KDDI ファイルストレージ」だ。これは、暗号化やウイルスチェックなどのセキュリティ機能が充実した1人あたり10GBのストレージサービスで、図面や写真などの大容量ファイルを外出先でもiPhoneから閲覧できるようになった。図面の細かいところまで見たい場合は、iPhoneではなく画面の大きなノートPCを利用しているが、「これができるのも、iPhoneにテザリング機能が備わっているからです」と小森氏は話す。

MDM(モバイル端末管理)サービス「KDDI Smart Mobile Safety Manager」を活用し、端末情報の取得や端末紛失時の遠隔データ削除など、セキュリティの一元管理も実現している。

「フィーチャーフォンの頃は、すべてユーザーである社員任せでした。しかし、iPhoneと同時にKDDI Smart Mobile Safety Managerを導入したことで、個人の裁量に任していたことを、会社で判断できるようになりました」(笠原氏)。例えばバウハウス丸栄では、KDDI Smart Mobile Safety Managerの機能を使って、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSアプリをiPhoneで利用できなくしている。

「iPhone導入と一緒に採用したサービスのなかで、最も利用価値が高いと思います」と笠原氏が話すのは、「KDDI SMARTアドレス帳」だ。これは、会社・共有・個人のアドレス帳をマルチデバイスで利用できるクラウド型アドレス帳サービス。権限設定やアクセス制限、アドレス帳の一括インポート機能などを備えている。

従来、新しい社員が入社したときなど、アドレス帳を変更する必要が発生した場合は、グループウェアで告知して社員1人ひとりにアドレス帳の変更作業を促していた。しかし、すべての社員が実行しているとは限らなかった。「それがKDDI SMARTアドレス帳を導入したことで、業務管理部で一元的にアドレス帳の変更を行えるようになったのです」(笠原氏)

なお、KDDI ファイルストレージだけではなく、KDDI Smart Mobile Safety ManagerとKDDI SMARTアドレス帳もベーシックパックに含まれているクラウドアプリである。

3つめの課題であった作業現場に常駐している社員が社内会議に参加できないという問題も解決した。テレビ会議システムを導入し、iPhoneと連動させることで、どこにいても社内会議に参加できるようになったからだ。現場の情報をリアルタイムに複数の社員に伝えることも可能になった。

「かつては毎月、本社に社員が集まって会議を行っていました。しかし現在は、そのうち8回はテレビ会議での参加に切り替え、今まで通り本社に集まるのは年4回にしています。これにより、移動にかかる交通費を大幅に削減できました」(笠原氏)

 

iPhoneからテレビ会議に参加することもできる 会議室に設置されたテレビ会議システムで作業現場にいる社員ともリアルタイムコミュニケーション
iPhoneからテレビ会議に参加することもできる 会議室に設置されたテレビ会議システムで作業現場にいる社員ともリアルタイムコミュニケーション



このようにiPhoneと、これと連動するアプリやシステムを導入することで、当初抱えていた3つの課題を解決したバウハウス丸栄。だが、iPhoneの導入効果はそれだけにとどまらない。

 

「社員が働きやすい会社」に向かって前進

前述の通り、バウハウス丸栄ではiPhoneから社内のイントラネットにリモートアクセスできるようにしている。この仕組みを使って、外出先からも経費精算システムや就業管理システムなども利用できるようにしており、業務効率が大幅に向上したという。

「定量的なデータはありませんが、社員の残業時間は確実に減っています。三ヶ尻社長が目指す『社員が働きやすい会社』の実現につながっているのです」(小森氏)

労働組合が発行する新聞に「おすすめアプリ」が掲載されるなど、社員の間ではiPhoneをさらに有効活用していこうという意欲も高い。全社規模でiPhoneを導入した企業はまだそれほど多くないため、社員はiPhoneを使えることを誇りにも感じてもいるという。

また、顧客から「iPhoneを使っていてカッコいい」「デザイン会社らしい」という声を多くもらうなど、企業イメージのアップにもつながっているそうだ。

今回のiPhone導入について三ヶ尻氏は、「まだ緒に就いたばかりですが、若い社員を中心にiPhoneをうまく活用している姿を見ると、一定の評価はできると考えています」と話す。

そのうえで、「一番大事なことは現場の安全を守ることです。その意味でも現場の映像をリアルタイムに共有できるのはとてもいいこと。将来的にはパートナー企業とも連携し、災害時などにも活用できるICTシステムを構築していきたいです」と付け加える。

社員の働きやすい職場環境をつくりたい――。三ヶ尻氏の願いは、iPhone導入によって大きく前進した。

スマートデバイス/クラウド活用事例

スペシャルトピックスPR

aruba1803
daiwa1802
ms1802

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】働き方改革×デジタルの
   新・教科書

5G+ロボットで遠隔就労/IoT家具で生産性向上/サテライトオフィス/RPAに単純作業はお任せ/音声AIが仕事を変える日

◆ノキア ジョン・ハリントン社長「5Gだけが『次世代』ではない。エンタープライズ市場への参入で拡大戦略」/◆NTTドコモの「トップガン営業」/◆LTE網を汎用ハードとOSSで作る/◆Tモバイルが600MHz帯に5G導入/◆マルチクラウド化の準備を始めよう!◆日立製作所のSD-WAN導入

>>詳しい目次を見る

新着記事

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

Office 365ユーザは使わなきゃ損
Teamsでチームワークが劇的に!

Office 365の新ツール「Teams」を使い始める企業が続出している。

CASO新技術のホワイトボックス
M2Mルーターは「切れない接続」

Foxconnグループでホワイトボックスを展開するCASO。

東京エレクトロンデバイスグローバル企業のSaaS活用を後押し
マルチクラウド化の準備はCASBで

マルチクラウドを一元的に管理したい。そんな望みを叶えられる。

拠点・モバイルをつなぐだけ!
クラウドの安全はシンプルに守る

クラウド利用の拡大とともに複雑化するセキュリティ課題を解決!

NetskopeCASBでクラウドはどこまで操れるか
既存のセキュリティとどう違う?
 

Netskopeを例にCASBの機能と使い方、メリットを整理した。

ソフトバンクソフトバンクがSMB向けの
ソリューションパートナー募集!

働き方改革を中心に新たなソリューション開発を支援する。

日本マイクロソフトSkype for Businessを
快適に使いこなすコツとは?

UCの導入効果を最大化するためには備えが必要だ。

日本ビジネスシステムズ“電話”からはじめる働き方改革!

日本ビジネスシステムズのクラウドPBXは、働き方改革を目指す日本企業にピッタリのIP電話サービスだ。

Dialpadピュアクラウドで進化し続ける電話

「PBXを買いたくない」「電話回線を引きたくない」。そんな企業に最適なクラウドテレフォニーがある。

東京エレクトロンデバイスIoTデバイス特化のAIで異常検知

IoTデバイスを狙ったマルウェアが急増中だ。ZingBox IoT Guardianは、IoTに特化したAIで検知する。

Aruba次世代NACでIoTの脅威をブロック

Arubaの次世代NACはエージェントレスでIoT端末にも対応! リスクを検知し有害端末を隔離できる。

ダイワテクニカルハドルルーム向け高品質テレビ会議
販売店の手軽なプラスワン商材に!

4KとGoogleアシスタント対応
販売価格は破格の約12万5000円!

日本マイクロソフトOffice 365の悩みはオフロードで解決! NIerが教えるNW構築法

Office 365の導入支援で豊富な実績を持つNIer 3社に秘訣を聞いた。

アイキューブドシステムズスマホでOffice 365をセキュアに
MDMには“働き過ぎ防止”機能

端末にデータを残さずブラウザやメーラー等のアプリを利用できる。

マクニカネットワークスセキュリティと生産性向上を両立
モバイル活用に必須のEMMとは?

スマートデバイスの業務利用に本当に必要なのは「EMM」だ。

ネットモーションソフトウェアあらゆる環境で「切れないVPN」

「スマホのアンテナは立っているのにつながらない」。NetMotionなら高速かつ安定した通信が可能だ。

日本制禦機器ついにISDNが終了、コスパ追求しながら光回線へ移行する方法

既存のISDN機器を使い続けながら、毎月の通信料金は今より安く!

日本マイクロソフトWindows 10/Office 365の更新
これだけ知っていれば怖くない!

ネットワーク帯域を圧迫するアップデートをうまく乗り切るには?

アクセスランキング

月刊テレコミュニケーション20180226
wsd_iot_ngn
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2017 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます