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トヨタの子会社デルフィスに学ぶ「iPad全社員配布」の費用対効果

文◎太田智晴(編集部) 2014.08.18

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トヨタ100%出資マーケティング・サービス・カンパニーのデルフィスは、全社員約470名にiPadを配布し、ワークスタイル変革を進めている。なぜデルフィスは全社員にiPadを配ったのか。そして、全社導入から約1年半、一体どのような投資効果が出ているのだろうか。

全社員にiPadを配布したからこそ実現できた社内会議改革

このように、社外業務が多い社員へのiPadの導入に成功したデルフィス。ただ、やはり特筆すべきは、その後iPadの配布を全社員に拡大し、さらに大きな成果を得たことだろう。

「社外でのメール確認からiPadの活用を始めましたが、社員の働き方を変えて生産性を上げるために、iPadでできることはもっとたくさんあります」。そう考えた植田氏が、まず目を付けたのは“会議”だったが、なぜ全社導入まで必要だったのか。

iPadの全社導入前、デルフィスの社内会議資料は、当然ながら紙ベースだった。会議当日までに資料を作成してA3用紙で印刷。そして、同社で慣例となっていたのが「Z折」である。これは、A3の資料を3つ折にしてA4サイズにする作業のこと。また、「社内資料はカラーではなくモノクロ」というのもデルフィスの社内ルールだ。

役員会議などの準備を担当している総務局 経営企画室の江口美恵子氏によると、Z折にかかる時間は「1回の会議につき、およそ2~3時間」。しかもこれは「順調にいった場合」の所要時間だという。なぜなら資料の準備が終わった後に、資料の差替えが発生することも頻繁にあるからだ。

 

デルフィス 総務局 経営企画室 江口美恵子氏
デルフィス 総務局 経営企画室 江口美恵子氏



江口氏が準備を担当する役員会議などは月2、3回。差替え時間も含めると、およそ月10時間を会議資料の準備に費やしていた。さらに、「資料の差替えが発生した場合に備えて、会議のある日は朝早く出社していました」という。

もちろんデルフィスでは、役員会議以外にも数多くの会議が開かれている。そして、これらの会議でも同様に、Z折や差替えなどの作業が行われていた。

つまり、全社員にiPadを配布し、会議をペーパーレス化すれば、資料の印刷、Z折、差替えなどに要していた時間を抜本的に削減できる――。実際、iPadの導入後、江口氏が会議資料の「紙」準備に費やしていた2~3時間から、「PDF」準備で数分に激減したという。

 

会議資料用のビューアには「GoodReader for iPad」を採用



全社導入の検討にあたっては、その費用対効果も試算した。会議のペーパーレス化により効率化できる業務時間を算出。これに社員の時間単価を掛けて、導入効果を数値化したのである。これに加えて、会議のペーパーレス化により削減できる印刷関連コストも計算して合算。iPad全社導入の投資効果は、その費用を上回るという結果を得た。

この数字的根拠をもって、植田氏はiPadの全社導入を社長に提案。デルフィスは、全社員約470名にKDDIのiPadを配布した。

なお、社内には「総務などの管理部門はいらないのでは?」という意見もやはりあったそうだ。しかし、植田氏は当初から、全社員に導入するからこそ、会議のやり方を変革できると確信していた。

「例えば、当社では全社説明会をよく開くのですが、3枚綴りの紙資料を全従業員に用意する場合で1500枚。毎回、予備も含めて2000枚以上を印刷していました。それが、全社員がiPadを持ったことで、『iPadを持ってきてください』だけで済むようになったのです」

管理部門を含む全社員がiPadを持っていないと、こうはいかない。また、社内会議用の資料はモノクロ印刷だったが、iPadに変わったことでカラーになり、より見やすくもなった。

さらに、会議の中身の充実度や効率にも大きな変化が起こっているという。

会議中、追加で資料や情報が欲しくなることはよくある。こんなとき以前であれば、追加資料を印刷するために会議を中断してデスクに戻ったり、次回の会議までの“宿題”にしていたりしていた。

これがiPadの全社導入により、その場で社内資料やインターネット上の情報などにアクセスできるようになった。

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