ユニファイドコミュニケーション集中講義[第1回]「ユニファイドコミュニケーション」とは何ですか?

IPTPC(IP電話普及推進センタ)の千村氏と竹井氏を講師に招き、ユニファイドコミュニケーション(UC)に関して基礎から学んでいく集中講義シリーズ。第1回は、UCの定義など、その基礎知識についてレクチャーしてもらいます。


――ユニファイドコミュニケーション(UC)とは何ですか。日本語にすると「統合されたコミュニケーション」となりますが、一体どのようにコミュニケーションツールが統合されれば、UCと言えるのですか。

竹井 オフィスの机の上には、さまざまなコミュニケーション端末とツールがあります。固定電話、携帯メールやショートメッセージングサービス(SMS)ができる携帯電話、メールやインスタントメッセージング(IM)、Web会議、ブログ、TwitterができるPCなどです。しかし、「多様なコミュニケーションツールを揃えるだけではUCではない」というのがUCの本質です。

UCはVoIPなどのような技術用語ではなく1つの概念用語ということもあって、業界標準の定義はないのですが、IPTPCでは次の3つの条件を満たすものをUCと定義しています。

(1)UCは必要なコミュニケーションツールをIPネットワークによって統合する
(2)UCは業務プロセスと連携して最適なコミュニケーションツールを利活用する
(3)UCはコラボレーションなどの企業の課題を解決するソリューションである

まず(1)ですが、先ほど机の上にはさまざまなコミュニケーションツールがあると言いました。例えば旧来の固定電話はレガシー電話網、メールはIPネットワークで動作する独立したツールであり、両者は統合されていません。また、固定電話や携帯電話、メールはそれぞれ電話番号やメールアドレスの固有の番号を持ち、相互に連携もしていません。そのため、電話をかけたときに相手が不在でも、音声メッセージをメールで送信することはできません。その結果、電話を何度もかけなおしたり、メールアドレスを調べたりする手間が発生します。

IPTPC 竹井氏
IPTPC エバンジェリストの竹井俊文氏(NEC所属)

次に(2)ですが、コミュニケーションツールは、個別に導入しただけの状態では業務プロセスと連携していません。そのため、例えばPC上の業務アプリケーションから即座に相手の居場所と状態を確認し、TPO(Time Place Occasion)に合った最適なツールを選んで相手に緊急な問い合わせをすることができません。次のプロセスにすぐ移れないので業務に遅れが生じます。

その結果(3)として、システムを個別に導入し多様なコミュニケーションツールを揃えるだけでは、業務プロセス改革など、コラボレーション課題を解決するソリューションにはなり得ないわけです。

そこでIPTPCでは、(1)IPネットワークによる統合、(2)業務プロセスとの連携、(3)企業の課題を解決するソリューションであることの3つをUCの必要条件と定義しました。

――とても分かりやすい定義だと思うのですが、IPTPCと異なる定義をしているベンダーなどはないのですか。

千村 各ベンダーの視点で言うと、それぞれもっと強調したいポイントはあるでしょうが、誰が聞いても納得できる定義になっていると思っています。

「ユニファイド」に込められた意味

――UCという言葉は、いつ頃から使われ始めたのでしょうか。

竹井 弊社では2003年にはプレスリリースで「ユニファイドコミュ ニケーション」という表現を使っています。例えば2003年9月2日のプレスリリースには、次のようにあります。

ユニファイドコミュニケー ションとは、IPテレフォニー、Web型グループウェア、ユニファイドメッセージ、Web会議などをポータル機能で統合的に利用可能とする。これにより、 PCやタブレットPCを利用し、自宅や外出先など、どこでもオフィスと同じ作業環境で仕事ができるようにするなど、業務の生産性向上やワークスタイル変革 を実現することができる。

タブレットPCとは今のiPadのような端末を指していますが、このプレスリリースを見ますと、UCのコンセプトは2003年当時からまったく変わってい ないことが分かります。

――2003年には、すでに現在と同じ意味で、UCという言葉が日本でも使われてい たのですね。ところで、UCよりも前に、ボイスメール/FAX/メールなどを一元管理できる「ユニファイドメッセージ」が登場していますが、UCという用語のルーツはこのユニファイドメッセージですか。

IPTPC(IP電話普及推進センタ)

IPTPCは、IP電話システム構築を実現するための知識・技術を持った技術者の育成をサポートする団体。2002年11月よりIP電話システムに関わる技術者の早期育成を目的とした「IPTPC VoIP認定技術者制度」の運営を行っており、OKI、NEC、日立製作所、岩崎通信機、富士通、パナソニック システムネットワークスの6社が参加する。現在、IPTPCの資格保有者の数は1万5000名以上

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