加速する異業種の参入を支援、IIJがMVNE事業の説明会

インターネットイニシアティブ(IIJ)は2013年11月18日、同社のモバイル事業に関する説明会を行った。2012年2月から開始した、LTEサービス(ドコモ網を利用)と個人向けサービスを要因に、MVNOとして提供するIIJモバイルのユーザーの増加ペースが加速。また、サービス戦略部長の神田恭治氏は「MVNOをやりたいという企業からの相談が増えている」と話し、回線の再販やOEM提供の形態でMVNOのビジネスを支援するMVNE事業のさらなる成長にも期待した。

IIJサービス戦略部長の神田恭治氏(左)と、サービス戦略部・サービス企画1課長の青山直継氏

IIJはモバイル分野において、大きく分けて3つの事業を展開している。法人向けモバイルデータ通信サービス「IIJ mobile」と、個人向けモバイルデータ通信サービス「IIJ mio」、そして、MVNE/MVNO支援事業だ。このうち、MVNEとしての取り組みに注力する理由について、サービス戦略部・サービス企画1課長の青山直継氏は、「IIJが従来リーチしていなかった中小法人や個人向けの市場をパートナーとともに開拓していきたい」と話した。

IIJは、MVNOビジネスを行うパートナーに対して、ネットワークの提供以外にも、オペレーション(運用、端末デリバリ、ビリング、カスタマサポート)や、付加価値サービスの提供、制度法令面におけるサポートなど幅広い支援を実施。直販営業で大手企業を開拓する一方で、中小向けSIer/NIer、VAR(サービス事業者)、M2Mサービス事業者等と、法人向けのパートナービジネスを展開している。

ビジネスの形態としては大きく、(1)再販モデル(回線卸)、(2)再販モデル(帯域卸)、(3)ネットワーク接続モデルがある。(1)は1回線単位の仕入れ、(2)は帯域単位で仕入れて販売するモデル、(3)は、MNOとネットワークを接続して事業を行うモデルだ。(1)は自前でオペレーションを行う必要はないが、通信サービス自体に付加価値を付けることが難しく、(2)は、独自料金の設定が可能で、小規模なビジネスから開始できるが、サービス品質の責任を追う。また(3)は、接続回線や交換機、トラフィックマネジメントといった通信事業者としてのオペレーション機能を有することが前提となるが、独自の付加価値の幅が広がるなど、それぞれ特徴が異なる。こうした多様な形態に対応できるのも同社の強みだ。

パートナーの利用用途に応じて、複数の形態を選択できる

具体的なサービス提供の形態については、法人向け/個人向けともに、パートナーがエンドユーザーにIIJモバイルサービスを紹介し、IIJから取次手数料を支払う「取次モデル」、パートナーがエンドユーザーとの契約・請求業務を行う「再販モデル」の2種類を行っている。再販モデルは、パートナーが自社のソリューションと組み合わせた付加価値提案が可能になり、自社設備なしで自社ブランドとしての通信サービスの提供も可能になるのが利点。大塚商会やリコーがこの形態で、IIJのプラットフォームを使ったMVNO事業を行っているという。

法人向け再販モデルのイメージ

また、最近では、IIJが行っているクラウドサービスと組み合わせたビジネス事例も出てきているという。青山氏が例として挙げたのが、モバイルクリエイトが行っている3G網対応タクシー無線端末「ボイスパケットトランシーバー」だ(下図)。

モバイルクリエイトがIIJのプラットフォームを活用して行っているビジネス事例

タクシーの自動配車システムやトラック運用管理システムの開発・販売を行うモバイルクリエイトは、タクシー無線の代替として、3G網を活用したVoIP通話による音声通信システムを開発。無線免許が不要になることが利点だ。このシステムにクラウドサービス「IIJ GIO」など、IIJのプラットフォームを利用している。

青山氏は、こうした機器間通信(M2M)分野の開拓も、MVNO/MVNE市場を拡大させる重要な要素と捉えて注力していくと方針を示した。M2M分野には、大手キャリアも注力しているが、「大手の手がまわらない、数万から数千回線のセグメントをMVNOが開拓していきたい」と展望を語った。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。