KDDIがネットワーク戦略説明会――EV-DO Advancedを6月末までに全国展開

KDDIがネットワーク戦略に関する記者説明会を開催。EV-DO Advancedの導入やストリートや地下街を丸ごとWi-Fi化する「ストリートセル構想」など、3GおよびWi-Fiの通信品質向上に向けた取り組みについて紹介した。

KDDIは2012年4月5日、3Gネットワークの通信品質向上やWi-Fiに対する取り組みなど、同社のネットワーク戦略に関する記者説明会を開いた。

会見ではまず、技術統括本部 副統括本部長の西山治男氏が、3Gネットワークについて解説した。KDDIは800MHz帯の周波数再編に対応するため、2006年度から新800MHz帯への移行と2GHz帯エリアの構築に取り組んできたが、西山氏は「基本的な構築は2011年度に終わった」と説明。今はさらに品質を向上させていくフェーズにあるそうだが、すでに旧800MHz帯時代を上回る通話品質が実現できているという。

旧800MHz帯時代と現在の新800MHz帯+2GHz帯のマルチバンドを比較すると、全国の基地局数は約2.6倍、エリアカバーは20%アップしたとのことだ。

旧800MHz時代と現在の新800MHz帯+2GHz帯の基地局数とエリアカバーの比較
旧800MHz時代と現在の新800MHz帯+2GHz帯の基地局数とエリアカバーの比較

また、つながりやすさを示す「接続率」と、途切れにくさを示す「切断率」についても、下スライドのように向上しているという。「単純に基地局を増やすだけでは、つながりやすいエリアは作れない。3Dマップを使ったエリアシミュレーションなどにより能動的に品質劣化箇所を検知し、お客様からクレームを受ける前にエリア改善を図っている」と西山氏は説明した。

「接続率」と「切断率」の比較
「接続率」と「切断率」の比較

また、西山氏は、ユーザーの生活動線をしっかり考えたネットワーク改善もKDDIの特徴として挙げた。その取り組みの1つが電車内の通話品質改善である。東名阪の地下鉄トンネル内のエリア化に関しては携帯4キャリアが共同で現在取り組んでいるが、KDDIでは「地下鉄の駅間が連続的につながると(ユーザーの)使い方が変わる」と、コアネットワークの強化も含めた対応策を考えているそうだ。

さらに地上を走る電車についても、電車沿線を意識したエリア構築を行うことで、ハンドオーバーによる切断などを抑えるよう努力しているという。

混雑エリアの通信品質向上のため、EV-DO Advancedを4月10日から順次導入し、6月末までに全国展開することも明らかにされた。EV-DO Advancedは、基地局の混雑度合いをリアルタイムに把握し、混雑基地局配下のユーザーを隣接する非混雑基地局に接続させる技術(関連記事)。これにより混雑局の実効速度は「平均で大体2倍に向上する」(西山氏)という。

EV-DO Advancedの導入により、混雑基地局の平均速度は2倍に向上するという
EV-DO Advancedの導入により、混雑基地局の平均速度は2倍に向上するという

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