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「クラウドは“三方一両得”のソリューション」NTTコム海野副社長――オペレーターズクラウド2011

文◎business network.jp編集部 2011.11.18

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クラウド、M2M、ビッグデータなど、通信キャリアのビジネスの最新トレンドをテーマとする「第11回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス オペレーターズクラウド2011」。2日目となる11月17日の基調講演では、NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長の海野忍氏、KDDI商品統括本部サービス企画本部長の小林昌宏氏、インターネットイニシアティブ(IIJ)常務執行役員の時田一広氏が、それぞれのクラウド戦略を説明した。

NTTコムの海野氏は、クラウドの性格や技術的な特徴を述べた上で、そのユーザーメリットはコストにとどまらず、(1)使いたい時にすぐに使える、(2)規模の拡大・縮減に柔軟に対応できる、(3)環境の構築、保守・運用が楽である点が重要だと指摘した。


NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長 海野忍氏
NTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長 海野忍氏


そして、クラウドの本質的な利点として、季節などの要因でピークが異なる業種(例えばおでん屋とアイスクリーム屋)がシステムを共用することで、設備の総量を抑え、コスト負担が低減できる点にあるとした。さらにこれに伴い従来導入できなかった規模の企業にもICTの導入が進むことになる点を指摘。クラウドはユーザー、キャリアのみならずサーバーなどのベンダーにもメリットがある「三方一両得」のソリューションだと述べた。

その上で、同社が4月に導入した新WAN回線サービス「Universal One(ユニバーサルワン)」を紹介。従来の法人向けサービスを「プレミアム」「ギャランティ」「バースト」「ベストエフォート」の4メニューに集約した形となるこの新サービスをクラウド時代の主力として展開していく姿勢を示した。加えて、同社が世界36カ所で展開するデータセンターの取り組みを紹介、これらを活用することで「企業は日本が沈没しても業務を継続できる」とアピールした。

さらにNTTコムの「BizCITY」を軸にクラウド導入のコスト削減効果やその活用形態を示した上で、「従来のICTはより企業の業務効率の向上、コスト削減を図るために使われてきたが、クラウドは、ネットワークやシステムの管理などをキャリアに任せ、企業が本業でできなかったことを実現できる点に意味があるのではないか」と述べ、講演を締め括った。

KDDIの小林氏は同社が2013年春頃の本格展開を計画している「KDDI MULTI CLOUD」のコンセプトを説明した。これは、現状では個別のアプリケーションとして展開されているクラウドサービスをネットワーク・サービス、デバイスを含むトータルの形で提供しようとするもの。(1)豊富なメニュー、(2)1人で複数のデバイス・ネットワークが使えるシームレスさ、(3)企業単位ではなく個人単位で機能を選べることが、その大きな特徴となる。KDDIでは広範なパートナーと連携し、既存システムとの連携など柔軟な利用ができるサービスの実現する考えだ。


KDDI 商品統括本部サービス企画本部長 小林昌広氏
KDDI 商品統括本部サービス企画本部長 小林昌宏氏


小林氏は、「情報システム部が契約したお仕着せのビジネスツールではなく、一人一人の社員が、一番使いやすい機能を使っていただきパフォーマンスを上げていただきたい」「イメージのつかみにくいクラウドをスマートデバイスの画面の上に表現、画面自体もユーザーが好みに応じて自由に選べるようにする」と、新タイプのビジネスクラウドサービスの展開に意欲を見せた。

IIJの時田氏は、広範囲にわたる同社のクラウドへの取り組みを説明した上で、2010年4月に開始したクラウドサービス「IIJ GIO」の現状を説明した。IIJ GIOは高い柔軟性と拡張性をもつクラウド環境を月額8000円からと安価に利用できる点が特徴。サービスプロバイダーやSierなどのパートナーと提携する形で、サービスの「部品」としても提供されており、IIJはこのサービスで約500社の新たな顧客を獲得したという。


IIJ 常務執行役員 時田一広氏
IIJ 常務執行役員 時田一広氏


海外展開も計画中だ。まず来年1~3月に米国で、中国でも来年早々に設立する現地法人を通じて、IIJ GIOのサービスの提供を開始。東南アジア各国でも今年10月に事務所を設立したタイを皮切りに広くサービスを展開する。欧州についても「M&Aも含めて事業基盤を整え、12年度にはサービスを開始したい」という。今後のクラウド戦略全般ではとしては、クラウドを単体として扱うのではなく、クラウド間や既存システムとの連携に力を入れていくという。

時田氏は講演の最後に「クラウドはネットワーク上に巨大なITリソースがあるといわれてきたが、どちらかというと今後クラウドは全体のITコンポーネントの1つとなり、クラウドや既存システムの相互連携・融合により、弾力的な運用やコストパフォーマンスの向上が図れるようになる」という見通しを示した。

このほかのセッションでは、IBMでグローバルテレコミュニケーションインダストリーのゼネラルマネージャーを務めるスコット・T・スタインケン氏が、同社のクラウドサービスのプラットフォーム「CSP2」を軸として、クラウドの新しい活用法を紹介した。


IBMのセッションの様子
IBMのセッションの様子


また、ブロケード コミュニケーションズ システムズ代表取締役社長の青葉雅和氏は、最新の技術トレンドを踏まえて競争に勝てるサービス基盤構築のポイントを解説した。セキュリティベンダーのチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ システム・エンジニアリング本部本部長の安藤正之氏は、サービス・クオリティの一要素としてのセキュリティをテーマに取り上げた。

並行して行われた技術セッションでは、 エンピレックスでコミュニケーション・プロダクツ・グループ技術ディレクターを務める大和田哲氏が仮想化環境でのネットワークの試験手法とトラブル回避技術を解説。テラブスのセールス・ソリューション・マネージャー上田昌広氏が、従来システムより効率的な運用が可能なP-OTS(パケット光トランスポート)によるデータセンター向け伝送システムを紹介した。

またEMCジャパン テクニカル・コンサルティング本部執行役員の飯塚力哉氏は 「クラウド」と「ビッグデータ」の融合を実現するソリューションを解説。日本オラクルの製品事業統括テクノロジー製品事業統括本部ソリューション本部プリンシパル・セールス・コンサルタントの中山耕一郎氏は、リアルタイムイベントハンドリング技術、各種認証基盤構築、PCRF、Hadoopに代表されるビッグデータの分析・活用システムなど、多様なオラクルのキャリア向けソリューションを紹介した。

さらにエリクソン・ジャパン 中国・北東アジア地域 カスタマーエンゲージメント本部モバイルブロードバンドプラクティス部長/シニアコンサルタントの恒松幹彦氏は、モバイルブロードバンド、モバイルクラウド、CDP、M2Mなどエリクソンの最新のソリューションを解説。Tail-f Systems ABのプリンシパル・ソリューション・アーキテクト ジャン・リンドブラッド氏は、エーアイコーポレーション 基盤ミドルウェアグループ ネットワークチーム リーダの岩下雅幸氏とともに、マルチベンダー環境のキャリアネットワークのコンフィギュレーションや運用管理を効率化する新しいソリューションを紹介した。

なお、次回の「オペレーターズクラウド」は2012年5月に開催される予定だ。

 
 

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